第484話 ドロテア誘拐騒動2
誘拐犯と一緒に連れてこられたのはトリアンの街でも南部の衛兵団の拠点である。ガラクタ市が開かれているのが南部なので最寄りの場所であり、シミリートの知り合いの衛兵はおそらく居ない場所である。
「周囲の目撃者からの話も、お前たちの発言を否定するものではなかった。ただ、殺してしまったのはまずかったな。もう少し確認に時間を貰うぞ」
「そんな!女性を誘拐したのはアイツらですよ。そのまま逃したらどうなっていたか!」
「カミラ!気持ちはわかるが落ち着いて」
殺人罪で裁かれるとは思っていないシミリートは、以前に誘拐された経験があり興奮するカミラをなだめる。
誘拐されかかったドロテアも興奮していたが、落ち着こうね、というユリアンネの言葉で、奴隷に対する命令扱いになったのか、過剰な言動は無い。元の性格かもしれないが。
念のために、と死んだ男に刺したダガーは2本とも衛兵が持って行ったが、残る2人の足を刺したシルヴィスは現地で腕輪に戻したままである。
怪我は治療しておいたこともあるのか死んでいないからか、ダガー2本以外は、“選ばれた盟友”の誰も武器などを取り上げられることもなく、待機のままである。
「親たちが心配すると思うんですが」
「すまないが、もう少し待ってくれ……おっと、結果が出たようだな」
生きていた誘拐犯2人を犯罪奴隷にする奴隷契約をするため、奴隷商の到着を待っていたようである。そして、奴隷契約で今回の行動を説明させたところ、誘拐を認めたとのこと。
「詳細は引き続き確認していきますが、もう夜も遅いので明日に再度来て貰えますか?まずこちらは返却しておきます」
魔法のダガー2本だけがシミリートに返却される。誘拐犯たちの装備は衛兵に提出したままである。
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