第474話 ダンジョン内での初会合2
「ニキアスさん、血統魔法って何ですか?」
「シミリートさんはご存じなかったですか。古(いにしえ)の契約で、たとえば先祖が悪魔などの強力な存在と契約することで、その恩恵が血を受け継いだ子孫も享受することができるものです。良いことばかりではなく欠点もあり、たとえば直系では女性だけになるとか、虚弱体質になりやすいとか。ただその体質が現れたものほど強い恩恵を受けていることも」
「なるほど(これは、ユリに共有したら喜ぶかな……)。で、領主の侯爵家の血統魔法ってどういうものなんでしょうか?」
「うーん、それは俺たちも詳しいことは。ただ、魔物を操れるとか聞いたことがあるな」
「それって従魔契約やテイミングとは違うんですかね?」
「どうだろうな。ただ、そんな一般的な程度では血統魔法とまで呼ばれないだろうし、何か強力なんだろう」
シミリートの疑問にニキアスやマンファンが答えるかたちだが、共有は進む。
「それにしても良くわからないのが、なぜ独立に踏み切ったのでしょうか。いくらトリアンダンジョンを擁しており経済的に優位であっても国家として独立するには……自給自足も困るでしょうし、外交交渉など今まで一都市では不要であったことも発生しますし、情勢不安になると冒険者たちも逃げ出すことを分からなかったのでしょうか」
「領主代行である弟のインガルズ様が、甥であるデレック様に侯爵家の実権を引き渡すのが惜しくなったと想像されています。ただ、単に侯爵家を乗っ取るだけでは大義名分が不足するので、モンタール王国にダンジョンの利益を吸い取られるだけのストローデの不満を、自分が代表して、と」
「それでも弱いですよね。そそのかされたということでしょうか」
「はい、おそらくはエードフル・シャイデン男爵でしょう。黒い噂が絶えず、独立宣言の後にもすぐにトリアン内で略奪行為に走った男ですから」
「なるほど……」
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