第469話 仲間たちの逃げ場2
「ということで、ジモの様子を見にやって来たわよ」
「カミラ、何を言っているのかわからんよ」
ヨルク、カミラ、ゾフィと一緒にジーモントの実家の“満月の宿木亭”に来ているユリアンネ。
「みんな、実家に帰ると修行の成果を親に問われているのよ。ジモはどうだった?」
「なるほどな。俺も、だよ」
「でもジモはすごくたくさんの人に料理を振る舞って満足して貰っていたじゃない。いろんな街で新しい料理も勉強して」
「まぁな。でもAランクやBランクの魔物の肉を使った料理も多かっただろう?だから、素材の良さに胡座(あぐら)をかいた調理方法だ、と指摘されて、な。まぁ多人数への料理提供については、宿屋での料理人にはいい経験だったとも言われているがな」
「なんだ、結局は評価されたんじゃない。って、ドロテアは何をしているの?」
「あ、この宿でお手伝いをさせて貰っています」
「なんで!」
「カミラ、どうした?彼女はトリアンに実家が無いし、1人だけこの宿に何もせずに泊まるのは申し訳ないからと言って来てな。確かに仲間から正規料金を貰うわけにもいかないし、手伝いでもして貰った方がお互いの気持ちが楽になるからな」
「カミラ、良いの?ドロテアの方がジモのご両親と仲良くなってしまうわよ」
ゾフィからカミラにこっそり耳打ちされ、カミラが立ちあがろうとしたとき、ジーモントが、そうだ、と話を切り出す。
「魔術師団の人たちもこの宿に泊まるようになったんだ」
それで、フェルバーたちがこの宿に、ニキアスたちが自分たちの実家の近くの宿に泊まるようになったこと、皆がトリアンダンジョンに潜るようになったことなどを知る。
「確かに、ダンジョンの中で情報連携した方が他人の目や耳を気にしなくて良いわね」
「そうだろう?シャドウたち兄妹も、ウィンデルさんたちがいなくなって2人だけだとこれ以上深いところに潜れないので困っているようだし。俺たちも手分けしてダンジョンに潜るのを手伝ってやれないかな?」
ストローデ領を独立させる派閥に対して直接的に打撃を与えるような何かができると思っていないが、それに敵対するはずの魔術師団たちへの協力になることと、ユリアンネが考え込む時間を減らす何かがあると良いだろうと思っての発言であることは皆が理解する。
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