第466話 フェルバーの悩み2

 先発隊になった王国魔術師団員はフェルバーとニキアスを含めて15人。うち半数は平民であり冒険者登録も元々行っていたので、トリアンの街の中に拠点を移しているが、残りはフェルバーを含めて貴族出身のため、街中に溶け込むのが難しそうである。

「今からでも冒険者登録はした方がいいですかね?」

「街の外であるここをいつまでも拠点にはできないでしょう。でも、トリアンの中にずっといる対外的な理由が無いと、独立派に目をつけられる可能性がありますよね。潜伏ならば目立たないようにしないと」

「かといって商人などの真似事も上手くできる自信はないし、やはり冒険者になるのが現実的ですよね」

「そう思います。ただ、7人も一気に魔法使いが登録すると目立ちますので、せめて2班には分かれた方がいいですね」


「屋外の野営であれば我慢できますが、街中になるときちんとした家を希望するものも多く……」

「そこは諦めて貰った方が良いですね。もちろん家の購入もできますが、今のタイミングでは怪しすぎですよね。冒険者として中級ぐらいまでの宿にして貰わないと」

「シミリートさん、あてはあるのですよね?」

「申し上げたことはなかったですかね?ジーモントの実家がそのような宿ですので、ちょうど良いかと」

 とは言うものの、貴族出身の7人全員を“満月の宿木亭”というのも難しいので、フェルバーを含めた4人が街の北側にあるそこに。残りの3人とニキアスを、街の東側にある“木漏れ日の雫亭”などのある港街の宿屋に。そしてそれ以外の既に冒険者として潜伏済みの7人は今まで通り、街の南側でダンジョンの入口にも近い宿屋に分かれることになった。

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