第435話 メイユの朝2
同じ宿に泊まっているニキアスのところに訪れたシミリート。ユリアンネを寝かせるためにも一人で来ている。
「こちら、ユリも喜んでいました。ありがとうございました」
借りていた魔導書をニキアスに渡すシミリート。
「もう!?ということは、これからの同行はお願いできないということですか。残念です……これまでの報酬はこちらに用意してあります。皆さんのおかげでここまで来られたこと、本当に感謝しています。どうか皆さんもご無事で」
「ニキアスさん、早とちりしないでください。引き受けないとは言っていませんよ」
「え、では」
「これからの街でも魔術師団員の方だけでは色々と情報収集が難しいですよね?」
「……分かりました。それらも含めて、追加の報酬を準備いたします」
「流石はニキアスさん!」
「はぁ。ま、このメイユの代官は独立に関して中立派、様子見のようですが、他の街はどうなのか。皆さんのお力をお借りした方が把握しやすいでしょうから」
「ニキアスさん、やはり……ご自身を囮にされましたね。他の団員とは別の宿にされて」
「まぁ平民出の副官ですし。この宿には皆さんがいらっしゃいますから」
「苦労人ですね」
「分かってくださるならば、報酬をまけてくださいよ」
「それとこれは別の話です」
何かと迷惑をかけている自覚もあるシミリートだが、逆に心の距離は縮められたと感じている。
「では、団員たちの休息のためにも今日は一日メイユで滞在し、明朝に街の東で合流しましょう。これまでの報酬は先にお渡ししておきますね」
「ありがとうございます」
仲間達にニキアスとのやりとりを報告したシミリート。
「ニキアスさんをあまりいじめたらダメよ」
「分かったよ……」
「じゃあ、ユリはしっかり寝て貰って、私たちは追加の買い出しね」
「え、私も書店などは行きたい」
「じゃあ昼までちゃんと寝ていたらね。新しい魔導書の魔法練習もダメよ」
徹夜一晩ぐらいと思うのに、前世からの精神年齢も足すとかなり年下の仲間たちに見透かされて子供扱いされるユリアンネであった。
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