第421話 ドレイク集団、再び3

 ドレイクの集団に対して、端の方から順番に少しずつ倒していく進み方は、ゆっくりではあるが確実である。

「いったん後方に下がる。追撃に気をつけて、全員で撤退する!」

 そのような中にニキアスの号令がかかる。事前に聞いてはいたものの、戦いに集中していた者の中の一部には不満が出て、愚痴っている者も実際にいる。


 安全な距離をとって小休憩をとる集団に、改めてニキアスが話しかける。

「せっかく上手く行っていたところを中断させて申し訳ありません。ですが、今のまま休憩もなしでこの山脈を越えることはできません。ただの1人も死んで貰いたくないので、これからも適当に休憩をして貰います」

「はーい、怪我をちょっとでもした人はこちらへ」

「少し小腹が空いた方はこちらへ。この温かいスープは疲労回復にも効きますよ」

 ニキアスに続けてカミラやジーモントが声かけをしていく。

 騎乗していた者たちも下馬して地面に腰を下ろしてみると、意外と疲労していたことに気づく。そのまま戦闘を続けていれば思わぬミスをした可能性があると理解する。


「見ていたところ、だいたい30〜40体ぐらいは倒した感じかな」

「そうですね。魔術師団全員で10体ほど、エックハルトさんたちが10体ほど、シミリートさんたちが数体、他の冒険者たちが10数体くらいですかね」

「やはり金級冒険者というものは凄まじいものだな」

「はい、そうですね。それに自由行動をさせているので成果も出やすいかと。シミリートさんたちも自由に行動させれば同じくらいになりますかね」

「ニキアスは随分と彼らを買っているようだな」

「そうですね、なんだかんだとかなり助けられていますから」

「そうだな」

 中隊長フェルバーと副官ニキアスが全体把握をきちんとしていて、休憩タイミングを指示したことを認識している者は少ない。

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