第418話 モンヴァルト山脈での夜明け

 吸血鬼ダニロによるレイスを引き連れた夜襲は、ダニロが撤退したことで終了する。

「レイスの攻撃を受けてしまった方はこちらへ」

 ユリアンネから預かった魔力回復ポーションを飲ませていくカミラとジーモント。普通の怪我人はほぼ居なかったので治療行為は免除されたものの、ニキアスに経緯説明をさせられるシミリートとユリアンネ。


「ですので、前回に取り逃したご説明をしましたが、今回もレイスを引き連れて来たようです。それも始祖吸血鬼ニキシオンの指示との発言で」

「ニキシオンがこの山脈の魔物の発生原因とのお話でしたよね」

「まぁ、あのダニロって吸血鬼の発言を全て信じた場合の話ですが」

「ニキアス、我々には真偽は分からないのだから、明日に備えて皆を休ませるように」

 隊長フェルバーの判断で情報収集は解散となり、残った夜の間は睡眠に充てられることになった。エックハルトとシグランが一緒に集まって来て話に興味があったようであるが、解散になったので何も言わずに戻っていっていた。


 少ない睡眠時間ではあったが、見張り当番だったカミラたちに起こされたユリアンネたち。

「山の西側だと夜明けもつまらないものね。世の中が少し明るい感じなったのはわかるけれど、太陽そのものは山脈に隠れて見えないしね」

「ま、無事に朝を迎えられたことを喜ぼう。AランクやBランクのアンデッドたちに襲われたんだから」

「そうね。じゃあ、ジーモント、朝ごはんをお願いね。今日はいよいよ地龍(ドレイク)たちとの戦闘だしね」

「そうだな。カミラもしっかり食べてくれよ」

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