第374話 山脈への挑戦3
「ユリ!テア!大丈夫か?」
集団の中程に下がっていたシミリートが森を抜け出して来る。戦馬のライオを操り、王都で購入した大きな盾、カイトシールドを手にユリアンネの前に出る。
「見える限り、アーチャーが3体、メイジが2体、ファイターが5体というところかしら」
「まずいな。こっちはほとんどが後衛の魔法使いたちだ」
「大丈夫よ、壁魔法を使えば」
すでに魔術師団員の一部が≪土壁≫≪石壁≫を出現させていたが、姿を現してきたハイオークファイターたちの前にユリアンネも≪炎壁≫を発動する。
「それよりもシミはあっちをお願い」
近接攻撃に弱いはずのハイオークメイジの方向に≪魔力矢≫を複数打ち込むのと合わせて指示をする。
「わかったよ。気をつけろよ」「テアも、な」
おまけのように言われたドロテアも頷きながら、自身が使える一番火力の強い≪火炎≫をハイオークアーチャーに発動する。
森から魔術師団員たちが抜け出し終わると、その後ろにいたジーモントやゾフィたちもやって来てユリアンネの周りに集まる。
「ジモ、ヨルク、カミラはシミのところへ」
「「「了解!」」」
残ったゾフィはハイオークメイジに対して矢を射る。
「王国魔術師団を甘く見るな!」
伍長か兵長あたりと思われる者が団員たちを指揮し、壁魔法で防御、もしくは敵の近接部隊であるハイオークファイターたちの行動を制限させ、≪結界≫魔法で敵の攻撃魔法や矢を防ぎ、そしてこちらの攻撃魔法で上位ハイオークたちを少しずつ削って行く。
ちょうど森から抜け出るところで不意を突かれた感じはあったが、落ち着いてみると、流石は軍隊行動に慣れた魔術師団員たち。前衛である騎士団員などが居なくても体勢を立て直し反撃から撃退まで無事に終えることができた。
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