第370話 吸血鬼モラク3
服飾業を目指すゾフィの逆鱗に触れてしまったモラクとのやり取りは、適当なところでカミラ達になだめられる。
「逃げられても面倒なので始末しましょう」
ニキアスの判断で首をはねた上で胸から魔石を取り出す。
「これは皆さんがお持ちください。さすが、“選ばれた盟友”、“薬姫”でしたね」
取り出した魔石と共に、モラクの唯一の装備品であった指輪を渡される。
「何でしょうか?何か紋章のようなものがありますが」
「こちらアナスガー様の関係でもないそうなので、その始祖というニキシオンの関係の可能性が高いですね」
ある意味で面倒を押し付けられたのかと思いつつ、金細工のようなのでカミラが預かると手を伸ばす。残った身体も念の為にユリアンネが魔法の袋に収納しておく。
「ヴァンパイアも下級でなければ、霧や蝙蝠になって逃げられたのでしょうけれど」
今後に下級(レッサー)でないヴァンパイアに出くわしそうなものを押し付けて来た割に、ニキアスが不吉なことを言う。
「今回の報奨以外に、消費したポーションの代金も経費として頂けますか?」
シミリートがニキアスにやり返すと、
「それは私が負担しよう。元々は、妻の治療のために来てくれたのだろう?」
とアナスガーが暗い顔で言ってくる。妻と思っていた者が吸血鬼であり、この街の情報が吸血鬼に流れていたと考えるとその表情も仕方ない。
余計なことを外で言うな、という口止め料とも認識し、素直に代金を貰って宿に戻る“選ばれた盟友”。
使用した武器の手入れや、消費したポーションの補充の調合をしながら今日のことを振り返る。
「なんか大変なことになったわね」
「まぁ山脈の魔物が増えた理由もわかったようだけど、私たちには関係ないわよね。山脈を越えてトリアンに帰るだけなんだし」
「そうなると良いよな……」
「って、なんだコレは!?」
魔剣であるダガー2本の手入れをしていたシミリートがつぶやく。
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