第364話 フスハレ代官館3
「それって何かおかしくない?怪しいわね。アンデッドなどの魔物かもよ?」
「カミラ、本当に奥ゆかしいだけの人かもしれないわよ」
「まぁ行ってみれば分かるのだろうけど、ポーションの提供だけにするか?」
「本当の怪我人、病人だったらという後悔をするかもしれないし……」
「ユリがそういうならば、奥方様の部屋にも入れて貰える可能性のある女性陣の私、ゾフィ、テア。それに護衛としてシミ、ジモ、おまけでヨルクもついていくわよ」
「オマケかよ。まぁそうだな、せめて近くまでは一緒に行こうか。敷地くらいなら入れてくれるだろう」
「みんな……」
「決まりだな」
フェルバーとニキアスの泊まる宿に向かい、ニキアスに苦笑いされながら彼を含めた8人で代官館に移動する。
「アナスガー様、山脈の東側の情報を入手しましたので」
ニキアスが代官の興味をひきそうな話題から切り出すことで、人数の多く入れる応接室に案内して貰う。
「なるほど。ストローデ領の状況は分かった。早速、領都ヒマーセンと王都シャトニーには私の方から報告をあげておく。最前線の街なのに、ずっと情報入手が出来ていなかったので助かる」
アナスガーが顔で合図することで、職員の1人が部屋から出ていく。早速手配をするのであろう。
「いえ、とんでもないことです。それと……」
壁に並ぶ職員の中に、奥方マルゴットの症状を伝えてきた男性がいることを確認したニキアスは、シミリートから預かった高級の傷回復ポーションをテーブルの上に置く。
「これは?」
「はい、こちら“選ばれた盟友”は、先般のフィノイス付近での戦いの折に治療やポーション提供などで活躍した冒険者達になります。奥方様の治療にご協力させて頂けないかと」
ニキアスの目線から職員が情報を伝えたことを知った代官は、漏らしたことへ部下への怒りが最初に出たが、妻の症状を改善させられるかもしれない安堵の表情に変わり、頭を下げる。
「マルゴットのこと、お願いする」
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