第363話 フスハレ代官館2

 宿にフェルバーとニキアスが戻ったところに、ちょうどシミリートが来ていた。

「あ、ご報告がありまして。山脈の東側について街で情報収集できたことになります」

「え!?それはありがとうございます。ぜひに」


 シミリートが金級冒険者エックハルト達から聞いた内容を2人に報告する。

「そうですか、ストローデ領軍のなかも一枚岩ではない可能性ですね。それにトリアン以外の街では変化が無かったと」

「はい、彼らが通過した時点での情報ということにはなりますが」

「いえ、それでも重要な情報です。代官館経由で、領都や王都へ使者を出して貰いましょう」

「それで……」

「はい、情報を入手するのにかかった経費ですよね。皆さんの働き分も追加してお支払いしますのでお待ちください」

「は、ありがとうございます!」



「ニキアス、それと」

「あ、はい」「シミリートさん、お願いがありまして。ユリアンネさんと代官館に向かって貰えないでしょうか」

「なぜユリと?まさか!」

「顔姿は隠したままで大丈夫です。代官の奥方様が怪我をされたのに治療を避けているようで。冒険者達からポーションを奪ってはならない等の理由のようですが」

「え?でも代官館でしたら備蓄品ぐらいありますよね?」

「それなのに、という懸念もあり、信頼できるお二人にお願いしたいと思うのですが」

「うーん、本人に相談しますが、確約はできませんので」

「はい、どうしてもとなれば、ポーションの提供だけでも良いと思っています」

「それならば戻って相談してきます」

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