第332話 使い魔を使った偵察3

 使い魔の傷を治した後の様子を見ていると、どうやら使い魔の見てきた記憶をニキアスが映像イメージとして見ているようである。


「門から入った通りの見えるところに敵兵は居ませんね。あ、これは。門から見えない建物の陰に神聖王国兵が隠れていますね。……合計すると10人以上は居そうですね。幸い、少なくとも表に見えるところでは村人を人質にはしていないようです」

「隠れていると言うことは、こちらのことに気づかれているのですか?」

「はい、こちらも数十人の移動でしたから、気づかれても仕方ないかと。あぁ、危ない!途中で攻撃を受けたようです。そこからは逃げ帰って来たと」



 ニキアスが士官たちに報告すると、今後の戦術について議論が始まる。

「ふむ、建物の陰に隠れて待ち構えている上に、偵察の使い魔の鳥まで攻撃を受けており、ビザリア神聖王国の兵たちは迎えうつ準備をしているということか」

「いかが致しましょうか?」

「騎兵の勢いで攻め込んで、神聖王国の兵など蹴散らしてしまえば良いのだ!」

「いえ、それでは村人の被害も大きくなるかと。待ちくたびれさせるために、このまま明日まで放置するのはいかがでしょうか?」


 また、偵察についても。

「せっかくの鳥の使い魔が居るのだから、相手の人数が確定できるまで再度偵察をさせたら良いのではないか?」

「いえ、貴重な使い魔を気づいている相手に何度も送って危険な目にあわせるわけには。そんなことをすれば使い魔も逃げてしまいます」

「うーむ。では、敵を休ませないためにも村の周囲に分かれて兵を配置し、村の垣根から中を偵察すると共に、夜にもわざと物音をたてさせるとするか」

「は、鳥では夜には鳥目になり役に立ちませんから、ちょうど良いかと」

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