第307話 ステフェン周辺の村強化
「お、まぁまぁいい感じじゃないか」
ユリアンネの≪土壁≫と≪石壁≫の応用による村の防御力の向上をみたシミリートの感想である。
ステフェンの軍議の結果に従うにしても、まず冒険者達がフィノイス付近の村を偵察してからでないと、そちらへの方策が決まらないので、確実にビザリア神聖王国軍がたどり着いていないはずの村に来ているのである。
同行しているのは“選ばれた盟友”の6人、魔術師団員のうち土属性魔法が使える3人、護衛かつ道案内のステフェンの守備隊の兵士3人、そして全体指揮をするための魔術師団のニキアス副官である。
「確かに、ユリアンネさんの魔法は流石ですね。それに比べて……」
「申し訳ありません。土属性の訓練は低優先でしたので」
魔術師団員の3人は、≪石壁≫まで使えるのが1人、≪土生成≫や≪土壁≫までが2人だった。
だいたいこの辺りの村は似たつくりであり、畑などを除いた村の中心部の家々の周りに、水のない空堀をめぐらせてあり、その堀の内側は土壁、柵、もしくは生垣などであった。
そのため、入口の門以外の堀の内側からその上の塀の部分まで≪石壁≫にするだけで、かなり防御力が向上するのであった。塀をあまりに高くすると見通しもなくなるし、日照の問題もでるが、堀の下から塀の上までが今までの土剥き出しではなくつかみ所がない石の壁になるだけで、通常の敵が登ることは難しくなる。
また、その作業の前に、≪土壁≫の応用で、堀を深く広くしながらその土も活用して、堀の内側の壁を強化しておくと、ますます入口の門以外の場所が強化される。
≪土壁≫までが可能な魔術師団員に下準備をして貰った上で、≪石壁≫ができる団員と一緒にユリアンネが仕上げをしてまわる。ときどき魔力回復ポーションを服用するだけでなく、練習中の丹薬で魔力回復力を向上させることも併用しているため、魔術師団員に比べて圧倒的に多くの魔法を発動することもできている。
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