第297話 呼び出し3

「ようこそお越しくださいました、“選ばれた盟友”の皆さん。魔法使いはあなたでよろしいのでしょうか?」

 6人の中でも顔まで隠したローブ姿はユリアンネ1人であり、正面に座った男が話しかけてくる。


「あの、その前によろしいでしょうか」

 シミリートが何とか話を切り出す。

「あぁ、先日もあなたが交渉役でしたね。はい、ご不明な点がございましたら何でも」

「中尉、きっと何もかもがお分かりではないかと。私からご説明いたしますね」

「任せる」


 では、ともう片方の男が話を進める。

 前回の魔物の間引きの際、ハイオークキングの死体のやり取りを行った魔術師団の2人であることはシミリートたちも認識している。

「はい、先日はハイオークキングの件、ありがとうございました」

「いえ、我々も貸し出し料を頂戴しましたので」

「そうですね、あの時と同様にビジネスのお話をさせてください。すでにここに来られるお話のときにお聞きと思いますが、戦争が始まりそうなのです。我々魔術師団としても、戦力を強化して臨む必要がありますので、実力のある魔法使いの方に声をかけさせて貰っているのです」

「まさか、魔術師団員への引き抜きですか!?」

「もちろん我々としてはありがたい、その選択肢もあります。ただ、今回はこちらでは?と思う臨時的な雇用契約という選択肢もあります」


 もともと魔法使いは世の中に少ないので、騎士団員に比べて魔術師団員は慢性的な人不足であるという。確かに間引きのときにも2つの団員数は違っていた。

 ともに貴族の子弟がなることが多いと思っていたのだが、後者は特に平民でも実力があればなりやすいらしい。

「今更ですが、私も平民でニキアスと申します。曹長になります。こちらは、オテロ・フェルバー準男爵。中尉になります」

「え!?」

 席を立って挨拶をし直そうとするシミリートと、それにつられた他メンバに対してもそのままで、と指示される。

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