第296話 呼び出し2

「よし、6人みんなで行くか」

「え?」

「人数なども言われていないのだから、少々失礼であっても良いんじゃない。少なくとも追い返されない場所までは一緒に行くわよ」

 不安になっているユリアンネに対して、魔術師団の拠点に一緒に行ってくれるという仲間たち。


 当然に魔術師団の拠点は、王都の中心部、貴族街や行政地区である第1区画にあるので、一番綺麗な衣服に着替えた上で、ユリアンネの≪洗浄≫魔法をかけて向かう。

 区画を越える際の衛兵には、冒険者ギルドにて受け取った呼び出しの書類を見せて、問題なく通ることができた。


「あれ?思ったより大きくないな」

「入口だけかもしれないし、誰かに聞かれたら大変だから、そんなこと言わないの!」

 第1区画に入るときの衛兵に大体の場所は聞いて来たのだが、先に門前を通ってきた騎士団の拠点より小さく感じるのは確かである。


 入口の衛兵に呼び出しの書類を見せると、6人が多すぎるなどの指摘はないまま、別の案内人が現れて一番手前の建物の応接室らしい大きなテーブルのある部屋に通される。

「6人でも大丈夫だったな」

「あぁ。それに座れと言われたけれど、来られる方がどんな方か分からないし、立っておいた方が無難だよな」

「現役で衛兵のシミの感覚に合わせるよ」


 しばらくしてドアがノックされローブ姿の2人が入室してくる。

「ん?座って貰っていなかったのか、まぁ良い。どうぞお座りください」

「中尉が座られないと皆さんも座りにくいかと」

「そうだな」

 自身が座った上で、ユリアンネたちにも着席を促してくる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る