第16話 トリアンダンジョン
冒険者登録が済んでいると、ダンジョンの初回受付に進むことができる。
ここではダンジョンの壁面に並ぶ、無色透明の魔石のような小指程度の大きさの物を1人1つ取るように指示され、それをペンダントとしてはめる金具付きの首紐を渡される。
この石を持って、ダンジョンの各階層の最初の部屋の光る床の上に行くと、到達階層を記録される。記録された最大到達階数により色が変わる。地下1〜10階は木の意味の明るい茶色、地下11〜20階は鉄の意味の黒色、地下21〜30階は銅の意味の濃い茶色、地下31〜40階は銀の意味の銀色というように変化するらしい。階層ごとに出現する魔物のランク、それぞれE・D・C・Bに相当する冒険者ランク、木・鉄・銅・銀と同じである。
というよりは、それに合わせて冒険者ランクを設定したのではとも言われている。
例えばペンダントの色は黒なのに冒険者証は木製の場合、戦闘力より深い階層へ誰かに連れて行って貰ったのであろう、と皆は考える。そのため、ペンダントの色だけを見せびらかして強がるチンピラや甘やかされたボンボン等には冒険者証も確認することが広まっている。
そして、実際のペンダントの使い方である。このダンジョンの入口で、通常の入口からそのまま地下1階に向かうこともできるが、入口横の光る床の上でこの石付きペンダントを持って登録された最大到達階数以下の階層を念じるとその階層に転移される。また帰るときも、各階層の最初の部屋の光る床の上で出口と念じると出口に戻ってくる。
さらにこのトリアンダンジョンは、月に1度、満月の夜に各階層の構造が変更されて、通路や部屋の位置が変わったり宝物が配置されたりする。
その構造変化や階層転移の仕組みを踏まえて、このダンジョン自体が生物のようであり神のような存在であるという者もいる。
通常のダンジョンでも死亡した冒険者や魔物の死体は時間がたつとダンジョンに吸収されてなくなることも確認されており、だからダンジョンは生物、巨大な魔物ではないかとも言われている。
ただ、通常ダンジョンで言われるような周辺から魔素を集めて魔物を生み出すという程度では考えられないほどの力が働いていることもあり、ダンジョン付近、特に内部にいる人間から信仰のように力を得ているか、内部にいる人間から少しずつ魔力を吸収しているのでは無いかとの説もある。
事実、魔力消費がはやいと感じると言う者も居るが、地上空間より緊張を強いられ、何泊もするダンジョン内での消費を正確に把握することはできず、解明には至っていない。
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