part Kon 10/17 am 11:58
『……いいよ。きて?』
そう言おうとしたとき 階下からの声が響いた。
「亜樹ちゃーーん。紺野さーん。ご飯できたわよーー!」
あきちゃんのお母さんの声で 現実に引き戻される。
あきちゃんも 豆鉄砲食らったような顔。
「はーーい。今 降りるーー!」
って 返事してくれる。
そこからは お互い さっきのことには 全く触れず。
そんな一瞬なんて そもそも 無かったって感じで あたしは 臙脂色のエプロンドレスを身につける。
あきちゃんも いつものニコニコあきちゃんで 怖い感じなんて カケラもない。
白昼夢だったの?って感じ。
ブラインドの隙間から は 秋の日射し。
ミニコンポからは『True Soul』の前奏が聞こえ始めている。
あきちゃんは あたしのこと そういう対象として見てる。
それは もう 確信。
でも 何で あたしの告白は 空振りしたんだろう?
あきちゃんにレズっ気があるんだったら あたしの想いに応えてくれてもよかったハズ。
でも あきちゃんには あたしの告白は 冗談か いいとこlikeって意味にしか取れなかったんだ……。
♪True soul
気がついて
True soul
僕の魂は いつも 君の側にあるから
『True Soul』のサビが 聴こえる。
アヤセさんの低いけど澄んだコーラスが 静かに響いている。
……そう。
キーワードはTrue Soul だ。
あの日 あきちゃんが どうしても言い出せなかったこと。
時おり見せる 困惑とも悲しみともつかない微妙な表情。
小学生のときから あきちゃんが 感じ続けている違和感。
あたしが あきちゃんを好きだって気がついた日 あたしは あきちゃんにレズっ気があるのかもって考えて パズルのピースが嵌まったって思った。
……でも そのピースは 間違い。
そう。
True Soul なんだ。
今 パチパチと音を立てて ピースが嵌まっていく。
あきちゃんの あの時の姿 この時の言葉。
全てが 繋がりを持って並び始める。
天使のあきちゃんの向こうにチラチラ見えていた
全てのピースが嵌まって
………。
……。
…。
to be continued in “part Aki 10/17 pm 12:46”
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