第5話 ライブ《True Soul》

part Aki 7/24 pm 6:29



 

 諸注意のアナウンスが流れ 客席の照明が落ちる。

 舞台の照明は 暗いまま。公演開始のブザーが鳴る。

 

 

 一瞬の静寂。


 

 

 微かに E.ヴァイオリンのF#…。


 


 アリーナに どよめきが拡がる。

 E.ヴァイオリンの短いフレーズの後の ピアノソロ。

 『月と桜』だ。

 T-GRO のメジャーデビュー曲。

 E.ヴァイオリンだから 疾走感のあるラジオ版の方。


 スポットライトがゆっくりと灯り ピアノのAYANO. さんとE.ヴァイオリンの真姫さんだけを ステージの上に浮かび上がらせる。ボクたちの席からは ステージの2人は 遠すぎて表情なんかは まるで判らないけど 正面のオーロラヴィジョンに 2人の姿が大映しになる。そして アリーナ席を取り囲む電光掲示には 桜の花びらのイメージ映像。

 コンサート会場全体が 音と桜に包まれる。


 ピアノとヴァイオリンの掛け合いは どんどん間隔が短くなり ついに重なり合う。煌々と ステージのライトが一斉に輝き 他のメンバーの姿も現れたかと思うと 一気に大音量で演奏が始まる。


 大好きな曲でのオープニングで テンション爆上がり。気がついたら 立ち上がって 思いっきり叫んでた。幸いにも ボクだけじゃなく 周りのお客さんも 総立ちで応援してる。

 隣の席のこんのさんも 興奮した表情。


 

「メッチャ カッコいいよねっ!」


 

 たぶんそう言ったんだと思うけど 周りの歓声で うまくは 聞き取れない。でも まぁいい。こんのさんも楽しんでくれてるのは 表情見れば判る。色々あったけど 一緒に来れて良かった。素直にそう思える。『君を想うとき』もそうだけど やっぱり T-GROは AYANO. さんと 真姫さんの掛け合いがある曲が 一等カッコいい。こんのさん『君を想うとき』好きだって言ってたし プログラムに入ってるといいな。

 人気の曲だし 演奏してくれると思うんだけど…。

 ………。

 ……。

 …。




                        to be continued in “part Aki 7/24 pm 8:36”







 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る