part Aki 5/16 pm 4:35
1番奥のテーブル席に座って 待っていると こんのさんが 厨房の方から出てきた。
白のフワッとしたTシャツに 七分丈のデニムパンツ。普段着姿は 初めてだけど スタイル抜群の長い脚に スキニーなジーンズがよく似合ってた。胸に〈烈風伝〉のロゴが入った黒いエプロンを 慣れた手つきで身につけると 注文を聞きにきてくれた。
「お待たせ~。何 食べる? そこにメニューあるし 好きなの選んでね」
戻ってきたこんのさんは いつもの ご機嫌な感じだ。
さっきの何だったんだろ? 勘違いかな?
「オススメはね~ デラックスモダン焼。大盛りの牛玉に 焼そばも1.5人前載ってて ガッツリ食べ応えあるよ? どう?」
「えっ… いや アタシ そんなに食べられないです…」
慌ててメニューに目を通す。おやつにモダン焼とか マジ アリエナイ。ボクは 基本的に小食なんだ…。
「あの 豚玉の小で お願いします」
「遠慮なんてしないで いいよ? バイト代から引くってゆーのも 言ってるだけで 一回も引かれたことないし」
「いや ホントに アタシ あんまり食べられないんです…」
小食なのは ボクのちょっとしたコンプレックスだ。兄さんたちは 本当にたくさん食べるし 身体も大きい。ボクは 全然 食べれないから 背も低いし 痩せっぽち。おっぱいも小さいし。……いや おっぱいは 別にいいんだけどさ。
「そうなの? じゃあ 豚玉(小)ね。あたしは 何にしようかなぁ…」
結局 こんのさんは ミックスの大にしたらしい。
こんのさんは 目の前の鉄板で手際よく お好み焼を焼いてくれる。マジで デラックスモダン焼にしなくって良かった。ボクの前で 焼かれている豚玉(小)は ボクの感覚では
「これって サービスで 大きめにしてくれてるんですか?」
「えっ? ううん。これが うちの店の普通サイズ。〈旨くてガッツリ〉がうちのスタイルなんだ。けっこう評判よくて 遠くからも お客さん 来てくれるんだよ」
そんなこと話しながらも 手を休めず ソースを塗ったり 青ノリをかけたりして お好み焼を 仕上げてくれる。
「はいっ 出来上がり!熱いうちに食べちゃってね」
「ありがとうございます。いただきまーす」
見た目は ごっついけど フワッとしていて 意外と食べやすい。こんのさんも 口いっぱいに 頬張って 力強く咀嚼している。とっても幸せそうだ。
「あの… さっき 着替えに行く前 一瞬だけ 不機嫌そうに見えたんですけど もしかして アタシ 気に障るようなこと 言いました?」
さっきから 気になってたことを聞いてみる。
「えっ? ああ あの時? あきちゃんには ホント ウソつけないね…」
「やっぱり アタシ なんか 言っちゃいました? ごめんなさい…」
「大丈夫 大丈夫。あきちゃんが 悪いワケじゃ無いんだよ」
こんのさんは 苦笑いしながら 続ける。
「いやさぁ あきちゃんが うちのママのこと 若いってゆーからさ ちょっとね…」
「えっ…なんか マズかったですか?」
「あきちゃんさ うちのママ 幾つくらいに見える?」
こんのさんは 声の潜めて訊ねてきた。たぶん 厨房にいる お母さんに 聞かれちゃマズいんだな。ボクも ヒソヒソ声で 答える。
「あー 30代後半ぐらいに…。いや でも お兄さん22歳って言ってたから 実際は 45歳とか? もしかして50歳超えてるとかですか!?」
「…やっぱ そう 思うよね…。でも 正解は40歳」
「やっぱり 若いんじゃないですか」
あっ ……そっか。『若過ぎる』…のか? お兄さん22歳ってことは… 産んだの18歳か17歳!?
「……ママ 高校 卒業して無いんだよね…。パパもママも 一生懸命 働いてるし あたしたち兄妹のことも ちゃんと 育ててくれてるし 恥ずかしがること無いんだけどさ… ちょっと複雑でさ」
………。
……。
…。
to be continued in “part Kon 5/16 pm 5:03”
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