苦難の三年間 —私がコロナ禍で体験したこと―

@spaceblue

はじめに

 私が二十代の終わりと三十代の始まりの時期、つまり青春の一番いい時の2019年十二月から2023年四月までの約三年間を、私は見えないウイルスとの闘いの日々として生きなければならなかった。

 正直言って、同じ経験はもう二度としたくない。もううんざりというのが、本心である。

 こうして、あの三年間の日々を文章で表すことも抵抗があったし、正直言って書きたくない。それほどまでにつらい日々だったためだ。

 だが、そんな日々も終わり、世界がウクライナの戦乱やAIの規制、アメリカの債務問題などの話題に移り、あの日々が「なかった戦争」として、人々の中から急速に忘れられていく今を見ているうちに、私はあの日々を自分のものでいいから、書き残す必要があるのではないか、という思いに駆られ、ペンを取る決心がついたわけである。

 私はパンデミックの間、ずっと日記をつけていた。引っ越しをしてしまい、一部を捨ててしまったが、内容はしっかり覚えている。

 一体その記録にどれほどの価値があるのかわからない。だが、百年に一度とされるパンデミックを経験したものにできることは、かつて大戦を生き延びた祖父母の世代と同じく、リアルタイムを生きた者として伝えることだと思う。

 私は彼らが話す内容を神話のように感じていた。現代ではありえないと。だが、自分も形は違えど、戦争を経験すると極限状態では正気を保てる人間はいないということが分かる。

 振り返ってみると、つくづく自分勝手に生きたと思う。私も真面目なふりをして、勝手なことばかりしていた。

 中には、あまりにもつらすぎて話せないこともある。それはどうかご容赦いただきたい。

 あの時代を生きた者に正解などなかった。全ての人が狂っていたのだ。前置きはこのくらいにして、語ろうと思う。

 あの狂気の三年間、何が起きたのか———







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る