第七話 決意と救出への闘志
明朝、冷たい朝霧が立ち込める中、明日香たちは静かに集結した。彼らの表情には緊張と覚悟が混ざり合い、これから始まる過酷な戦いへの心の準備が整っているようだった。男性もそこに立ち、冷静な声で最後の確認を行っていた。
「皆、それぞれの役割をしっかりと把握しているな?」彼は全員の目を順番に見つめ、短く頷いた。明日香は深呼吸をし、視線をしっかりと前に据えると、強い決意の表情で「はい」と答えた。
作戦開始の合図とともに、彼らは一斉に移動を開始した。組織の本部は鉄壁の守りで固められており、通常のルートからの侵入は不可能だった。そこで、男性が提供した秘密のルートを利用し、裏手の排気口から慎重に潜入することになっていた。
暗い通路を進みながら、明日香の心には不安が渦巻いていた。しかし、兄や仲間たちの存在が彼女を支えてくれていることを感じ、自分を奮い立たせた。先頭を歩く男性が手を上げ、全員に動きを止めるよう合図を送った。警備が通り過ぎる音を聞き、息を潜めながら通過を待った後、再び動き出す。
やがて、目的のエリアである収容施設が近づいてきた。沙織が囚われている可能性のある場所だ。男性が目配せし、「準備はいいか」と囁いた。明日香と仲間たちは全員頷き、それぞれの位置に着いた。
突入の合図とともに、明日香たちは慎重に扉を開け、静かに中に入った。しかし、その瞬間、警報が鳴り響き、施設中に緊急アラートが伝わった。組織の者たちが一斉に駆けつける音が遠くから聞こえ、時間が限られていることが一層明確になった。
「急いで!」男性が声を上げる。明日香たちは全力で沙織のいると思われる部屋を目指し、警備員たちと激しい攻防を繰り広げた。明日香の目には強い決意が宿り、全力で戦い続けることで、必ず沙織を救い出すという信念が彼女を支えていた。
やっとのことで彼らは沙織のいる部屋にたどり着いた。重い扉を開けると、薄暗い部屋の中に衰弱した沙織の姿があった。明日香は駆け寄り、「沙織!大丈夫?」と声をかける。沙織はかすかに目を開け、彼らの顔を見て微かに笑みを浮かべた。
「助けに来てくれたのね…ありがとう…」
だが、安堵も束の間、背後から再び敵の足音が近づいてくる。明日香たちは沙織を守りつつ、脱出ルートを確保するため再び立ち上がった。組織の罠が待ち構えているかもしれないが、彼らの絆と勇気は揺るがない。この困難な状況を打破し、無事に脱出できるのか――物語は新たな緊迫の展開を迎えたのである。
君たちの朝 海野月 @shimtake3
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