第2話  楽々殺しのテクニック

 林サミコは,200万円稼ぐと,寿商事の金子に連絡して,Z鉱石50gを購入するということを何回か続けた。


 βホテルの部屋で,ザビルは,もうそろそろ,自分がこうしているのが限界なのを感じた。もうそろそろ排卵日が来る頃だ。受精卵にして,ザビルの霊体はその中に潜り込んで転生する準備をしないといけない。


 ザビル『サミコ,俺は,もうお前と会話できなくなる。あとは,自分で考えて行動しなさい』

 林サミコ『あの,,,今度は誰の命令を聞けばいいのですか?』

 ザビル『俺と会う前は,どうしていたんだ?』

 林サミコ『シレイの性奴隷でした。でも,はぐれてしまって,どこにいるのかわかりません』

 ザビル『じゃあ,その前は?』

 林サミコ『夏江先生の奴隷でした。でも,夏江先生は,病院にも見舞いに来てくれなかったし,,,もうわたしのことなんか,忘れていると思います。わたし,いらない子なんです』

 ザビル『・・・』


 ザビルは,アドバイスのしようがなかった。


 ザビル『サミコ,普通の人生はいいとして,好きな人とか,恋人とかいないのか?』

 サミコ『もう,シレイ様に処女をあげました。もう,誰も相手にしてくれません』

 ザビル『シレイはもう諦めろ。探しようがない。それに,俺もあまり時間がない。俺の代わりに,誰か,お前を愛してくれる人を探しなさい』

 サミコ『でも,,,どうやって探すのですか?』

 

 ザビルは,ちょっとでも曖昧な命令では,林サミコは動けないことを知った。


 ザビルも,人間界で知っている人物など1人しかない。暗殺の依頼を受ける仲介人だ。已むなく,仲介人に手紙を書くことにした。だって,ザビルにはもう時間がない。


 ザビル『では,仲介屋を紹介する。今後は,彼の指示で動きなさい』

 林サミコ『はい,ご主人様!』

 ザビル『では,彼に紹介状を準備する。今から言うことを紙に書きなさい』

 林サミコ『はーい,ご主人様!』


 林サミコは,部屋にそなえつけのメモ用紙に,言われた通りの言葉を書いた。


 『仲介屋,本郷直輝様

 わたしは,林サミコといいます。16歳です。訳あって,高校中退しました。実は,ある事件がきっかけで,ザビル様と知り合いになりました。その後,3年間,ザビル様から特別な技を伝授されました。でも,まだまだ経験がなく未熟者です。それでも,直輝様から,簡単な仕事は受けなさいと命じられました。

 

 ついては,お仕事を世話していただけないでしょうか。謝礼については,当面は不要です。その代わり,経費の実費,偽の身分証,住居の提供をお願いします。また,仕事のない時間が多いと思いますので,高校,もしくは専門学校の生徒として,普段は過ごしたいと思います。そのアレンジもお願いできたら,とても嬉しいです。

 林サミコ』


 ザビル『この手紙を持って,東都のXXX町の暁光マンション303号室に行きなさい』

 林サミコ『はい!ご主人様』

 ザビル『出発は,今から4時間後だ。それまで,わたしの知っている魔法陣を頭に浮かべるので,それを完璧に覚えなさい。殺しのテクニック,手順,技量も伝授する』

 林サミコ『はい,わかりました。ご主人様!』


 ザビルの霊体は,自分の知っている魔法陣すべてを頭に思い浮かべて,その機能使い方を説明していった。彼が経験した殺しのテクニックや手順も,頭に思い浮かべた。林サミコにわかりやすいように,『ザビルの楽々殺しテクニック100』という名称で覚えさせた。


 それに関連して,必要な魔法陣を彼女に教えた。中には,宣誓契約で決して他人には教えてはいけないという時間関連の魔法もあった。でも,今のザビルは,もう死んでいる。そんな宣誓契約など無効だ。


 そのイメージを林サミコはすべて記憶した。4時間の予定が6時間にまで及んだ。


 林サミコ『ご主人様,すべて暗記しました。完璧です。霊力を観る目の習得もできました。指を針に変える局所針形魔法陣も完璧です」

 ザビル『この『針』を相手の首指筋に刺せば,血を吸収する代わりになる。つまり,相手の魔力を吸収することができる』

 林サミコ『え? シレイ様は,女性の生殖器を取り込んでいましたよ?』

 ザビル『この魔法は,われわれカメレオン魔獣族だけが使える魔法だ。サミコは,俺の精子の洗礼を受けているから,その魔法が使用可能だ。血や肝臓など取り込む必要はない。だが,相手をお前のような人間にしてしまう。つまり,指示待ち人間になるってことだ』

 林サミコ『・・・』


 ザビル『殺しテクニックも修得したか?』

 林サミコ『はい!『ザビルの楽々殺しテクニック100』,すべて暗記しました』


 ザビル『サミコは,暗記だけは凄いな』

 林サミコ『はい,暗記だけの試験なら,いつも満点でした。応用問題が入ると0点でした』

 

 ザビル『・・・, まあいい。サミコ,一般人はいいとして,魔法士や霊力使いでも,レベルが中級程度までならこの方法が有効だ。でも,それ以上になると,間違いなく返り討ちにあってしまう。そういうわたしも敵を侮って返り討ちにあってしまった。フフフ。


 いいか,サミコ。俺がいなくなると,お前ひとりになる。犯罪はもう止めなさい。警察にすぐに捕まってしまう。今のサミコの力では,逃げ切ることは無理だ。仲介屋の指示に従って行動しなさい。お金を稼ぐ方法を仲介屋から教えてもらいなさい。お金が貯まったら,Z鉱石を買うようにしなさい』


 林サミコ『はい,ご主人様!』


 ・・・

 ザビル『サミコ,排卵が始まった。指輪からわたしの精子を出して,子宮内に注入しなさい』

 林サミコ『はい,ご主人様』


 林サミコは,そのやり方を知っている。指輪から粘液を取り出して,陰部に押し込むだけのことだ。


 ザビル『サミコ,これでお別れだ。では,今から仲介屋のところに行きなさい』

 林サミコ『了解です。ご主人様』


 ザビル『サミコ,最後にこれまでは言っておく。魔獣族を壊滅一歩まで追いつめた雪生やフララ,メリルは,自分の体を犯す連中には死を与えた。お前も,それを見習いなさい。ただし,お前を心から愛する人に出会ったら,殺さないで彼の愛を受け入れろ』

 林サミコ『ご主人様,その『心から愛する人』って,どうやってわかるのですか?』


 ザビルは,返答に困った。でも,通り一辺倒の回答をすることにした。


 ザビル『自分の命よりもサミコの命を大事にする人だ。火事になったとき,自分の命を投げ出して,サミコを救う人だ。海に溺れた時,自分よりも先にサミコを救う人だ。その他,災害,事故に遭った時,自分よりも先にサミコを救う人だ。わかったかな?』

 林サミコ『はい!,ご主人様! わかりました!』


 ザビル『それと,俺はカメレオン魔獣族だ。幼体の間は,人化することはできない。カメレオンの赤ちゃんの形態だ。出産には,自分ひとりで産むこと。他人に見せるな。生まれたら,すぐにこの電話番号XXXに連絡しなさい。事情を話せば,赤ちゃんを引き取ってくれるはずだ』

 林サミコ『はい,ご主人様!』


 林サミコの返事は元気いっぱいだ。これで,ザビルがいなくてもなんとかやっていけると思った。

 

 林サミコは,1枚のメモ紙を持って,タクシーを飛ばして,仲介屋のところに向かった。



 ーーーー

 ー 東都,XXX町の暁光マンション303号室 ー


 1時間半後,,,目的地に着いた。


 林サミコは,チャイムを押した。


 ピンポーン!ピンポーン!


 ドアを開けたのは,胸の大きな女性だった。


 女性「お嬢ちゃん,どうしたの?」 

 林サミコ「あの,,,これ,,,見てください」


 林サミコは,例のメモを渡した。それを見た女性は,林サミコを部屋の中に入れて,ソファに座らせた。


 その女性は,奥の部屋に入っていった。しばらくして,代わりに,肉体のがっしりした壮漢な男が出てきた。本郷直輝,29歳,レンジャー部隊を経験し,あらゆる銃器を高精度に扱う殺し屋のプロだ。でも,魔法,霊力という世界には,一切タッチしない。彼は,自分の守備範囲を充分に理解している。


 直輝「お前が林サミコか?」

 林サミコ「はい,そうです」

 直輝「ザビルから,3年間,殺しのテクニックを教えてもらったのか?」


 3年なんて大嘘だ。せいぜい6時間程度だ。


 林サミコ「はい,教えを受けました」

 直輝「ちょっと,試していいか?お前を攻撃するが,絶対に反撃はするな。これはテストだ」

 林サミコ「はい」


 林サミコの返事に「いいえ」はない。


 直輝は,座っている体勢から,半立ちになって,回し蹴りを林サミコに放った。


 ダン!


 初級防御結界が自動で起動して,回し蹴りを防いだ。ザビルが指輪に,子供を産むまでは,何があっても林サミコを守れと厳命されている。指輪に宿す霊体の抜け殻が,防御結界を構築して林サミコを守った。林サミコは,ただ,ポカーンとその場にいるだけだった。


 今の林サミコは,決してひとりではない。指輪によって守られている。もっとも,赤ちゃんを産むまでだが,,,


 直輝は,自分の高速の回し蹴りを防御されたことで,林サミコは間違いなくザビルによって3年間特訓を受けた殺し屋だと誤解した。


 直輝は,フーッと溜息を着いた。


 直輝「なるほど,俺の回し蹴りをこうもあっさりと防御されては,どうしようもない。わかった。では,ここに書かれている内容で契約しよう。ところで,高校とか専門学校って,何か希望はないのか?」

 林サミコ「あの,,,命じてください。その通り実行します」

 

 直輝は,この返事に,ちょっと違和感を感じた。そこで,さらに質問した。


 直輝「俺は,お前の希望を聞いているんだ。高校と言っても,普通課,商業科,農業科などもあるし,専門学校に至っては,腐るほど専門分野に分かれている。俺は,できるだけ希望にそうように対応したい」


 林サミコは下を向いた。そして,,,返事はしなかった。


 直輝「お前,もしかしてバカか? 言われたことしかしないのか? 俺が娼婦になれって言ったらなるのか?」

 林サミコ「娼婦になれという曖昧な命令は受けつけません。具体的な指示でないと動けません」

 直輝「・・・」


 直輝「では,その場で裸になれ」

 林サミコ「はい,ご主人様」


 林サミコは,直輝をご主人様と呼んだ。林サミコにとって,彼女に命令をする人物は,すべてご主人様だ。


 林サミコは,服を脱いだ。Gカップの胸が露わになった。これを見て,直輝は閉口した。林サミコは,自分で考えることを拒否した女性だと思った。人間の恰好をしたロボットではないのかと錯覚してしまいそうだ。


 直輝「・・・,もういい。服を着なさい」


 直輝は,ザビルが林サミコをなぜ自分に紹介したのか,分かったような気がした。要は,手間のかかる厄介者を自分に押しつけただけだ。


 でも,林サミコの防御能力は本物だ。でも,こんな性格で,果たして暗殺業はできるのか?


 直輝「お前は,ほんとうに暗殺業ができるのか?人を殺したことはあるのか?」

 林サミコ「わたし,まだ殺人はしたことありませんが,言われたことはします」

 直輝「ほんとうか? では,お前をテストする。そのテストに合格したら,お前をアサシンとして認めよう」

 林サミコ「はい,よろしくお願いします。ご主人様」

 

 直輝は,いくつかの暗殺依頼のリスト表をもってきた。正規ルートの依頼以外に,裏ネットでも殺人を募集している。いろんな人からの依頼が来る。不真面目な依頼も多い。中には,中学生からの依頼もある。依頼料2千円で成功報酬は1万円だ。なんとも馬鹿馬鹿しい依頼だ。


 でも,この依頼を引き受けることにした。殺すターゲットの住所,氏名,写真もある。さらに,呪詛にも使えるように,その人物の髪の毛まである。殺す動機もはっきりしている。依頼者をレイプした男性だ。


 直輝は,この人物プロファイル表とその人物の髪の毛を林サミコに渡した。それと,足の付かない携帯を1台渡した。


 直輝「この人物を殺しなさい。今から24時間以内だ。犯人との連絡には,この携帯を使いなさい。名義,住所などは架空だ。位置情報も,特殊なソフト以外,誤情報で反映するようになっている」

 林サミコ「はい,ご主人様」


 林サミコは,その紙と髪の毛を受けとった。それを見ると,『ザビルの楽々殺しテクニック』No.8番で対処できる。


 林サミコ「では,さっそく,仕事にかかります。すいませんが,ひとりになる場所はありませんか? 仕事をする方法は,人に見せてはいけない決まりです」

 

 直輝「はぁ? お前,個室に引きこもって,殺人業ができるのか?」

 林サミコ「この場合はできます。経費がかなりかかってしまいます。経費は請求できますか?」


 直輝「まあ,交通費とか,拳銃の弾代くらいなら,安いもんだ。1万円以内ですむからな」

 林サミコ「あの,,,経費は,200万円ほどかかってしまいます」

 直輝「はあ? お前,バカか? 成功報酬1万円しかないんだぞ。なんで200万円もかけるんだ! 経費は5千円以内だ」

 

 この言葉を聞いて,林サミコは,ザビルの楽々殺しテクニックNo.8番が使えないことを知った。このNo.8番は,髪の毛から魔法因子を抽出し,それを使って,広域探知魔法陣で人物を特定し,その地点に位置指定魔法陣を設定してから,爆裂魔法を放つという方法だ。魔法石200万円分,まるまる使ってしまう。


 林サミコは,ザビルの楽々殺しテクニックで,一番お金のかかならない方法をスキャンした。その結果,相手と接触して,彼の首筋に『針』を打ち込むという方法だ。ザビルの楽々殺しテクニックNo.4番だ。


 また,林サミコの場合,少女なので,彼に犯されるタイミングで,その行為に及ぶというのが効率的だ。それに,美人で巨乳の林サミコなら,自分の写真を相手に送って,エッチしたいという誘いをして,特定の場所におびき寄せる手口になる。この方法は,ザビルの楽々殺しテクニックNo.3だ。


 林サミコは,ここから一番近いラブホテルの場所を教えてもらった。徒歩10分だ。


 彼女は,そこまで歩きながら,ターゲットのラインを登録して,伊達めがねをして,自分の裸の写真を何枚も送った。彼はすぐに返信してきた。映像チャットもした。林サミコは,自分の胸を映して,エッチしたいなら,このラブホテルにすぐに来てとお願いした。早く来ないと,他の男とエッチすると言った。


 スケベな彼は,30分待ってくれと懇願して,すぐにタクシーを飛ばした。


 林サミコとターゲットは,ラブホテルの部屋に入った。


 林サミコは,彼と肌を合わせたものの,すぐに右手の人差し指と中指を針に変えて,彼の首筋に刺した。


 3分後,,,彼から魔力を吸収した。それだけでなく,若い彼は,どんどんと歳を取っていき中年にまで変化した。それと同時に,彼は,命令を受け入れる状態になった。


 林サミコは,針をさせば,魔力は吸収するものの,ヒトを老けさせることまでは聞いていなかった。ザビルは,言い忘れたんだろうと思った。


 この能力は,天竜系竜魔獣族の能力に似ている。でも,どうして林サミコが身につけてしまったのか? 強いてあげるとすれば,孔雀魔獣族シレイの大量の精子を受け,かつ,カメレオン魔獣族ザビルの子を妊娠したことによる相乗的効果によって発現してしまったとしか言い様がない。


 林サミコは,魔力や寿命エネルギーを吸収して,体調がすごくよくなった。自分は,もう何でもできるような気分になってしまった。しかし,その気分も徐々に薄れていった。子宮内の受精卵に吸収されてしまったようだ。


 林サミコ「これまでレイプした内容と遺書を書きなさい。その後,ここで首つり自殺しなさい」


 林サミコが,このように命令するのも,ザビルの楽々殺しテクニックNo.6に従ったまでだ。

 

 その命令を受けて,ターゲットは,遺書を書いたあと,部屋の上部に走っているポールにガウンのヒモをぶら下げて,自分の首にかけて自殺した。


 林サミコは,彼の財布から現金だけを抜き取って,彼の自殺した写真と遺書を数枚撮影した。証拠写真は重要だ。これも,ザビルの殺しのテクニックNo.2だ。基本的なことだ。ちなみに,ザビルの殺しのテクニックNo.1は,変装して指紋を残さないことだ。


 応用力が乏しい林サミコでも,ザビルの殺しのテクニックをいくつか組み合わせるのは,別に応用というほどのことではない。


 林サミコは,直輝から殺人依頼を受けて完了するまで1時間もかからなかった。


 林サミコは,直輝に,ターゲットの自殺した写真と遺書の写真を見せた。


 直輝「何? これ,ほんとか?!」

 林サミコ「はい,ご主人様。もうそろそろ部屋のチェックが入ると思います。自殺が目撃されて警察が出動する頃です」


 果たして,そのラブホテルに警察と救急車が,ラブホテルに出動してきた。


 直輝は,林サミコが,なんともスマートにターゲットを暗殺に導いたことに敬意を表した。


 直輝「すまん,お前を疑って悪かった。しかも,自殺に見せかけるとは大したものだ。これは完全犯罪ではないか!」

 林サミコ「ザビル様から3年間,徹底的に仕込まれました。その成果を示したまでです」

 

 このようなウソを言うくらい,林サミコにもできる。

 

 直輝「よし,わかった。お前をアサシンとして認める。では,1週間ほどは,ここにいなさい。その間,俺のほうでいろいろとアレンジする。高校か専門学校も,俺が決める」

 林サミコ「はい,ご主人様」


 直輝は,奥の部屋にいる愛人と相談して,林サミコの新しい身分証や住処,さらに専門学校の専攻についても,あれやこれやと議論して決めていった。


 林サミコがここに来て2日目の夜,直輝は,林サミコにちょっかいをかけた。


 直輝「サミコ,裸になれ」

 林サミコ「はい,ご主人様」

 直輝「ソファーに横になれ」

 林サミコ「はい,ご主人様」


 林サミコのGカップの乳房が,心なしか,さらに大きくなっているような気がした。直輝は,その乳房を両手で握った。

 

 ブチュー!(母乳が飛び出して,直輝の体に付着した音)

 

 直輝「何?母乳が出るのか?妊娠でもしているのか?」

 林サミコ「たぶん,妊娠していると思います」

 直輝「そうか,,,」


 直輝は,すでに反応しているあの部分が,何か変な状況になっているのを感じた。慌てて,ズボンとパンツを脱いでみると,あの部分が,反応しているのは当然だが,いつもよりもやや大きくなっていた。


 それならいいのだが,その大きさに耐えきれず,激痛が走ってきた。


 直輝は,慌てて両手でその部分を押さえて,これ以上,大きくならないようにした。そうでもしないと,さらに大きくなって破裂しそうだった。


 直輝は,自分のあれに向かって叫んだ!


 直輝「おい! 落ち着け! もう反応するな! 小さくなれ!!」


 彼は,無理やりあの部分を両手で圧縮させることで,さらなる肥大化を無理やり抑え込んだ。


 10分後,,,

 

 その異常現象は,徐々に収束していった。彼が幸いだったのは,林サミコの母乳が直接,彼のあの部分にかからなかったことだ。もしかかっていたら,圧縮させなくても,完全に破壊されていただろう。


 直輝「サミコ! これはどういうことだ? お前の母乳,あれを大きくして,爆発させるのか?!」


 そんなことを言われても,林サミコにわかるわけもない。


 林サミコ「あの,,,はい,ご主人様」


 林サミコは,否定してもダメだと思って,素直にはいと返事した。


 素直に返事されては,直輝もどうしようもない。林サミコの異常体質のせいだ。直輝は,林サミコは鬼門だと判断して,これ以上,彼女の体に接触するのを止めた。


 ある日,林サミコを何もせずに家においておくのも,無駄な気がしたので,買い物をさせた。5千円ほど渡して林サミコに命じた。


 直輝「おい,これで適当に夕飯3人分買ってこい。好き嫌いはないから,なんでもいい」

 林サミコ「わたしの好きなものでいいですか?」

 直輝「ああ,それでいい」

 林サミコ「はーーい!ご主人様,わたしの好きなの,買ってきまーす」


 しばらくして,林サミコは,手提げ袋いっぱいに買ってきた。


 お菓子,スナック,チョコレート,アイスクリーム,プリン,,,


 直輝「俺は,夕食3人分と言ったぞ!」

 林サミコ「はい! ご主人様! これ夕食3人分です。チョコレートも3個,スナックも3個,アイスクリームも3個,プリンも3個,,,,」

 直輝「・・・」


 それ以降,直輝は,いっさいの用事を林サミコにさせなかった。



 ・・・

 1週間が経過した。


 林サミコの新しい名前やその他のことを全部完了した。


 それはいいのだが,彼女のお腹は,妊娠4ヶ月ほどの大きさになってしまった。それに伴い,もともとGカップだった胸は,片方で3kg,両方で6kgにもなるKカップにまでなり,母乳がかなり出だした。


 直輝「サミコ,そのお腹は病気なのか?」

 林サミコ「ちょっと,成長の早い胎児のようです。あまり,気にしないでください」

 直輝「・・・」

 

 直輝の愛人も心配した。


 愛人「一度,産婦人科に行ったほうがいいんじゃない?」

 林サミコ「ありがとうございます。でも,このお腹については,一切の心配は無用です。ほんとうに大丈夫です」


 こと,お腹に関しては,林サミコは,ザビルの言いつけを守った。出産するときは,ひとりで出産するという約束だ。


 直輝にとって,林サミコは,性格が素直と言えば聞こえはいいが,一歩,命令を間違えば,とんでもないことをしでかしような,超やばい疫病神は追い出すに限る。母乳に触ればあそこがおかしっくなってしまうのでは,性奴隷にもできない。


 直輝は,予定通り,林サミコをここから追い出すことにした。


 直輝「サミコ,とにかく,お腹の子は大事にしなさい。でも,今から,サミコは,ここからひとりで出て行って,ひとり暮らしをしてもらいます。いいですね?もし,不安になったら,いつでも連絡してください」

 林サミコ「はい,ご主人様,ありがとうございます!」

 

 直輝「サミコ,この名前はごくありふれているので,そのまま使うことにした。16歳,東都の鍼灸マッサージ専門学校の2年制の生徒になってもらう。サミコの本業を考慮して,鍼灸マッサージがいいと判断した。

 もし,鍼灸師として国家資格がほしいと思ったら,高校の卒業資格や,さらに鍼灸の専門学校を1年間通う必要がある。その時,また判断すればいい。どうだ?満足かな?」

 林サミコ「はい,ご主人様,とても嬉しいです」


 林サミコは,別になんでもよかった。


 直輝「これが,お前の住むマンションだ。部屋番号は444号,ドアロックの暗証番号はXXXだ。専門学校へは徒歩でいける。

 ここからそのマンションへは,電車で行きなさい。タクシーは使わないでほしい。クレジットカードを渡す。暗証番号はXXX。当座の生活費が入っている。毎月,50万円ほど振り込む予定だ。足りなくなったら言いなさい。その代わり,仕事が増える。いいかな?」

 林サミコ「ご主人様,仕事は毎月ありますか?」

 直輝「だいたい,年間に5件か6件ほどを予定している。月額100万円以上望むなら,少なくとも月一回は仕事をしてもらう」

 林サミコ「では,50万円でいいです」

 直輝「わかった。連絡は,以前サミコに渡した携帯を使いなさい。万一携帯をなくした場合,公衆電話から1日1回,わたしに電話連絡しなさい。

 仕事の指令が入れば,すべてに優先して対応しなさい。以上だ。質問は?」


 林サミコ「大丈夫です! ご主人様!」

 

 林サミコ,直輝と彼の愛人にお礼を言って別れた。


 愛人は,なんか,面白いおもちゃがいなくなって寂しく感じた。


 愛人「サミコ,いなくなっちゃたわね。彼女の肌,すべすべして,最高に気持ちいいのよ。わたしの場合,彼女の母乳に触っても何も変化ないしね」

 直輝「あいつは,お前の愛玩具になってしまったか?」

 愛人「フフフ。そうよ,愛玩具よ。でも,彼女と肌を合わせていると,超気持ちいいけど,なんていうのかな,気持ちいい疲れがどっと出るのよ。日中なんか,ずーっと横になっていたわ。夜だけ,彼女と肌を合わせていたの。この1週間でほんと,超がつくくらい,ヘトヘトになってしまったわ」

 直輝「・・・」


 ーーーー


 

 

 


 



 


 





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