第7節 夏江が行く ー除霊師編ー
@anyun55
第1話 巨乳除霊師・夏江の誕生
※本編は,第5節49話の続きからです
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夏江は,警視庁の超現象捜査室のソファーで,片方で5kg,両方で10kgにもなる重いOカップの胸から出る母乳を,もっと高性能な吸水パットに吸収させなくてはダメねと思いながら,室長に外出の許可をとることにした。
夏江「室長,ちょっと,私用で近くの喫茶店に行ってきます。30分程度で戻ります。遠方にいるの友人が近くに来たものですから」
室長「そうかい?30分と言わず,1時間でも2時間でもいいよ。幸い,急ぎで片付ける仕事もないしね」
夏江「ありがとうございます」
夏江は,約束した喫茶店に出向いた。そこには,顔見知りの知人がいた。オミレだ。
夏江は,わざわざ北海道から東都に来てもらったお礼を言った。オミレは,微笑み返しした後,大事に抱えていた小さなジュラルミンケースを夏江に出して言った。
オミレ「このケースの中に,100gほどの魔法石が格納されています。受け取りください」
そう言われて,夏江は,お金も払わないのに,なんで魔法石がもらえるのかよくわからなかった。でも,その疑問はすぐに解けた。
オミレ「受け取りの書類にサインください。それと,請求金額の500万円は,2週間後に支払ってください。ここが銀行振込先です。もし,1日でも送金が遅れると,罰則が発生します。これが罰則の内容です」
オミレは,罰則の書類を渡した。
夏江は,100gの魔法石が500万円もするなど初耳だ。でも,支払えない金額ではない。多留真から奪い取った500万円がある。それをあてればいいと思った。
そんなことを考えつつ,罰則の書類を見た。
『支払い期限が切れると,罰則が発生します。その内容は以下の通りです。
孔喜AV企画(株)の専属女優として,1ヶ月間仕事をすること。この仕事内容については,あらゆる疑義,反論,拒否をすることはできません。もし,この内容に違反した場合,強制的に肉体的,精神的懲罰を加えることになります』
それは,数行の簡単な罰則項目が記載されていた。
この書類を見て,夏江はオミレに言った。
夏江「大丈夫よ。500万円ならいつでも支払えるわ」
オミレ「すいません。支払日は2週間後と決まっています。その日に支払ってください」
夏江「え?今日にでもこの口座に振り込んではだめなの?」
オミレ「ダメです。2週間後のその日にしか,その口座は開きません」
夏江はちょっと考えてから言った。
夏江「もし,仕事の都合で支払えなかったら?」
オミレ「罰則にある通りです。AV女優になってもらいます。もちろん,警察の仕事は辞める羽目になるでしょうけど」
夏江「・・・」
夏江は,もしかして,罠ではないかと思った。
夏江「その支払いの日,わたしが銀行に行けなかったらどうなるの?」
オミレ「そこまでは知りません。その日,確実に銀行振込をすればいいだけだと思います」
夏江「もしもよ,銀行に行けたとして,この口座がまだ開いていなかったら?振込できなかったら?」
オミレ「わたし,そこまで関知しません。ともかく振込できなかったら,約束通り,AV女優になってもらいます」
夏江は溜息をついた。完全な罠だ。2週間後のこの日になっても,まず間違いなくこの振込先にお金を振り込むことなどできないと思った。
夏江「もし,その罰則を受け入れないと言ったら?」
オミレ「ここでの会話のやりとり,虚道宗で夏江さんが,秋江さんとして行動したこと,しかも,モモカさんが生きていることを知っているのに黙っていたことなどなど,すべて警察に報告することになります。
夏江さんは警察を辞めなくてはならなくなるでしょう。それに,当然ですが,連日,柄の悪い連中が押しかけてくることになります。気の休まる日々はもう来ないでしょう」
夏江は,なんとも,ヤクザ以上にタチの悪い連中と関係を持ったものだと少々後悔した。
この時,念話で美澪から連絡があった。
美澪『この魔法石,超いいわ。もっとほしい!!もっとあれば,真の強者になれるわ!!せめて,あと200g追加注文して!!』
夏江の心配をよそに,美澪はのんきに追加の魔法石をねだった。聞くだけならタダなので,夏江は魔法石の追加注文ができないか聞いてみた。
夏江「1週間後に,追加で200gの魔法石を入手することは可能ですか?」
オミレは,すぐにラインでボスにその旨を連絡した。すると,ボスから対応可能との返事が来た。
オミレ「大丈夫です。追加の魔法石は宅急便で送ることになります。支払いは,同じく2週間後で,合わせて1500万円になります。罰則の内容は同じですが,AV女優としての仕事期間が3ヶ月に延長となります」
夏江が到底支払える金額ではない。夏江は美澪に念話で伝えた。
夏江『美澪,1500万円なんて支払えないわ。美澪はわたしにAV女優になれっていうの?』
美澪『夏江,AV女優なんて,裸でビデオに出るだけでしょう?簡単な仕事よ。警察の仕事よりもよっぽどいいわ。それに,いくらでも精子が手に入るのよ。それも生きのいい精子よ!! 霊能力のアップになるわよ。多留真なんかのアホに操なんか立てる必要はないわ』
夏江『わたしは警察官でいる必要があるのよ。その職権を利用して,理不尽にも『メリル』によって殺された連中の仇を討ちたいの。この指輪には,もう『メリル』はいないわ。それを知っているのは,この世でわたしだけよ。メリルの指輪に殺された連中,特に,最初に殺された6人の女生徒の無念を,わたしが払わないで誰が払うのよ!!』
美澪『その気持ちはわかるけど,6人の女性徒の仇討ちなら,なにも警察官でいる必要はないわ。警察を辞めて,AV女優になって,精子を大量に取り込んで,もっと優れた霊能力者になりなさい。それができれば,どこかに隠れている『メリル』だって,容易に発見できるはずよ。わたしだって,魔法や霊力をもっとうまく使えるようになっているわ。『メリル』とバトルになっても,夏江を守れるくらいのパワーはあると思うわ』
美澪は,さらに言葉を続けた。
美澪『夏江,警察を辞めてAV女優になるって決心しなさい。今が,一番いいタイミングだと思うわ。もっともっと霊能力を上げれば,未来予知だって,サイコキネスだって,パイロキネシスだってなれるわ。神様にだって近づけるはずよ。もう天下無敵よ,無敵!『メリル』だろうが『モモカ』だろうが屁の河童よ! 軽くやっつけることができるわよ!』
美澪は,適当なことを言って夏江をそそのかした。どうせ,相手は夏江を陥れることしか考えていないはずだ。ならば,その策に乗って,夏江をもっと高次元の霊能力者にさせるいい機会だと思った。
美澪はさらに言葉を続けた。
美澪『警察の仕事なんか低給でしょう?さっさと辞めちまいなさい。夏江は今のレベルでも,そこそこの霊能力者よ。その能力を生かせば,何千万でも何億でも稼ぐことができるわ』
その後も,美澪はとめどもなく夏江を説得した。夏江は,徐々に警察を辞めてもいいのかもしれない,AV女優になって精子を大量に受けて,霊能力をアップさせるのも悪くないと思うになった。夏江は,意思が強そうにみえて,実は意思が弱い女性だった。
オミレは,夏江が10分以上も黙って何か考えているふうなので,オミレも無言のまま,夏江からの言葉を待った。
暫く経って,夏江が口を開いた。
夏江「どうやら,わたし,あなたがたにハメられたみたいね。でも,警察を辞めるいい機会をもらったと考えることにするわ。200gの魔法石の追加注文,お願いします。支払の件,それと罰則の件も了解しました」
夏江は,完全に吹っ切れた気持ちになってオミレに返事した。
オミレ「夏江さん? もしかして,警察を辞める覚悟をしたのですか?」
夏江「わかりますか?そうよ。警察を辞めることにするわ」
オミレは,何かとっても悪いことをしたような罪悪感に襲われた。
警察を辞めるともなると,夏江には大きな心残りがある。美澪にも念話で語ったように,モモカも逮捕できず,『メリルの指輪』の『メリル』がどこにいるのかも分からないという点だ。『メリル』はもっとも凶悪な悪だ。水香がもたらした災害は『メリル』によるものだ。根本的な事件は,まだなんら解決していない。その潜在的恐怖を知っているのは,コンクリート詰めにされて廃棄された『メリルの指輪』が偽物だと知っている夏江だけだ。多留真もこの事実を知っているものの,本物の『メリルの指輪』は夏江の管理下にあって制御されていると誤った情報しかない。
霊体の美玲が『メリルの指輪』に囚われた時から,警察を辞めることになるのは必然の流れだったのかもしれない。モモカやオミレの背後にいる組織がどのようなものかは不明だ。しかし,少なくとも,魔法を扱うことのできる組織だ。つまり,恐怖の千雪たちに匹敵するかもしれない恐るべき組織の可能性だってある。夏江は,オミレの属する組織に少なからず興味を抱いた。
夏江は,オミレにその組織について質問した。
夏江「オミレさん,あなたの所属する組織って,いったい何なの?魔法を生業にしているの?それとも魔法石販売を生業にしているの?」
オミレは,なんとも奇妙な質問をされたと思った。オミレにだって,そんなの知っているわけもない。知っているといえば,マンションを管理して,そこに住む若い女性たちをボスの言いなりにさせるということ,そして,モモカが10億円の詐欺をこれからしていくという点だ。
オミレは,ちょっと考えてから返事した。
オミレ「そうね,わたしもボタンさんの組織に加わってまだ間がないけど,わかっていることは,不動産管理をしていることかな?でも,ちょっとだけ詐欺まがいのことをするかもしれないわ。フフフ」
夏江「・・・」
夏江はこれ以上オミレから情報を取るのは無理だと判断した。彼女は,喫茶店を後にして警視庁の超現象捜査室に戻った。
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夏江は,さっそく室長に警察を辞めることを伝えることにした。
夏江「室長,実は,,,わたし,,,警察を辞めようと思います」
室長は,ポカンとして,何ら返事はなかった。夏江は,言葉を続けた。
夏江「実は,ある事情で,どうしても魔法石を入手する必要が出てきまして,その,,,1500万円の借金をすることになってしまいました。まともな商売ではそれを返却することはできません。茜さんのモノマネをすることになってしまいますが,わたしもAVの世界に身を投じることになると思います」
室長「・・・」
室長は,ちょっと考えてから口を開いた。
室長「もう,決心は変わらないのかな?」
夏江「この超現象捜査室で,きちんとした仕事をしたかったです。水香の事件では,本人を逮捕できたものの,最初に殺された少女6人の死因は,いまだ解明できていません。それがとても心残りです」
室長「そうか,,,茜さんは,千雪邸に戻ってしまい,もう専属契約が解除されてしまった。今では,1週間に1回出勤するだけの顧問契約になった。夏江さんが辞めてしまうと,もう新しくこの組織に配属される職員はいなくなるだろうな」
室長は悲しい顔をした。その顔があまりに悲しいので,夏江は思わず顧問契約の可能性を口走った。
夏江「室長,もし,可能なら,わたしも顧問契約していいですか? わたしは,実は,他人の嘘を見破る特異能力を身に着けました。嘘発見器よりも,はるかに精度が高いと思います。どうです? 顧問契約の価値があると思いませんか?」
その話を聞いて,室長は目を輝かせた。
室長「なるほど,,,それなら,正規の職員よりも高給で顧問契約できるかもしれん」
この話から,急遽,夏江の他人の嘘を見破る能力が本物かどうか,科学捜査研究所で,詳しく調べることになった。
その調査は,3日間にも及んだ。その結果,,,夏江の嘘発見能力は,嘘発見器よりもはるかに高精度であり,しかも100%の正解率を示すことが判明した。
かくして,夏江は彼女の希望通り,警察庁を退職し,新しく顧問契約をむ結ぶことになった。とりあえずは週2日の出勤体制で,月額50万円,これとは別に実績に応じて成功報酬が与えられるという破格の待遇だ。仕事量にもよるが,年俸1千万円を超えることだって可能だ。
意を決して警察庁を辞めることにしたものの,科学捜査研究所の所長から,『見抜きの夏江』という異名が与えられてしまった。もっとも研究所の職員らは,陰口で『見抜きの爆乳』と揶揄されていることは,夏江は薄々知っていた。
多留真は,警視庁を辞める夏江に未練はあったものの,夏江から,ここ数ヶ月は忙しいとの理由で,夏江のマンションに来ないように依頼した。夏江にとっては『双修』の相手がいなくなるのはつらいが,当面の間,多留真から遠ざかることにした。
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そうこうするうちに,魔法石の代金を支払う期日が来た。予想通り夏江は支払うことができなかった。仮に支払い能力があったとしても銀行口座が開設されておらず,支払うことができなかっただろう。
翌日の夜,夏江のマンションに,孔喜AV企画㈱の管理者と名乗る人物が現れた。
年の頃は15歳前後で,超ハンサムな若者だ。いや,まだ子供と言ってもいいかもしれない。彼はムカブルと名乗った。彼から,夏江の処遇がどうなるのかの説明を受けた。
ムカブル「これから夏江さんは,3ヶ月の間,AV女優として仕事していただくことになります。休日は,週に2日間あります。事前に希望の曜日を言っていただければ調整させていただきます。それと,AVの内容ですが,超絶ハード系の仕事をすれば,3ヶ月とは言わず,1ヶ月で自由の身になります。しかも,その場合,撮られた映像は,この世界ではなく,別の世界で販売することになります。あまりに刺激が強すぎますので」
夏江は,理解が追いつかなかった。でも,多少とも千雪関連の知識があるので,別世界の存在は知っていた。
彼は言葉を続けた。
ムカブル「別世界とは,新魔大陸のことです。どうです? この月本国向けにソフトタッチ系の仕事を3ヶ月するか,別世界の新魔大陸向けに超絶ハード系の仕事を1ヶ月するかの選択です」
夏江「・・・」
そんなこと言われても,どっちがいいかなんてわからない。
夏江「その,超絶ハード系って,どんな内容ですか?」
ムカブル「その通りの意味です。男優はすべて魔獣族の人たちになります。あの部分が,こちらの人間の1.5倍ほど大きいです。それと,おっぱいやお尻への注射,串刺し,挿入,破壊などの行為はあたりまえです。あの部分も破壊されることになります」
そこまで言って,一呼吸置いてから言葉を繋げた。
ムカブル「ただし,われわれ魔獣族の回復魔法士が常時そばに控えていますので,死亡に至ることはありません。ご安心ください」
夏江にとって,魔獣族という単語を初めて聞いた。多分,新魔大陸のある種族なのは間違いないと思った。
夏江「あの,,,もし,その超絶ハード系のほうに出演することになれば,その,ストリー性とかはあるのですか?」
ムカブル「わたしはAV監督ではないので,そこまでは知りません。でも,ある程度,監督に要望を伝えることはできると思います。でも,あなたの場合,状況が状況ですから,あなたの希望は,ほとんど通らない可能性があります。あまり無理な要求をしてしまうと,ヘタすれば廃人にされて,意識のないまま拷問虐待を受け続けることになるかもしれません」
夏江「・・・」
夏江は,魔獣族のことについて質問した。
夏江「魔獣族の人たちって,皆,魔法や霊力は使えるのですか?」
ムカブル「はい,使えます」
夏江「でも,わたしや一般の人は,魔獣族の存在は,まったく知りませんよ?」
ムカブル「当然です。夏江さんだからこそ,打ち明けたのです。なにせ,『メリルの指輪』を持っている女性なのですから」
その言葉を聞いて,夏江はびっくりした。
夏江「この指輪,あなたがたにとって重要なの?」
ムカブル「すいません。それ以上,説明することは許されていません」
夏江は,さらに情報がほしかった。夏江は,ムカブルの隣に座り直して,自分の片方で5kg,両方で10kgにもなる爆乳を彼の体に押し付けた。そして,やさしく,彼の股間をさすってあげた。
夏江「どう?話す気になった?乳首を吸ってもいいわよ?母乳が出るわ」
夏江は,自分の着ている寝巻きをたくしあげて,ノーブラの両方で10kg,乳首の直径や幅も10cmにもなる超巨大な乳首を露わにさせた。
ムカブルは,まだ童貞だった。勉強が嫌いで,主に剣士の道を歩む決心をしつつある頃だった。来年には,新魔界で戦士として配属されることを希望していた。
でも,そんなことよりも,眼の前の爆乳を見て,彼の理性は飛んた。
ムカブル「夏江さん!!その乳首でわたしのあの部分を受けてください!それをしてくれたら,すべてを打ち明けましょう」
夏江は,ニヤっと微笑んでから言った。
夏江「いいわよ。ちゃんと元にもどるのならね?」
ムカブル「大丈夫です。匕首でその乳首に十字の傷をつけます。わたしのは,直径15cmはあります。でも,夏江さんのその弾力のある乳首なら,受け入れることは可能でしょう。乳首やおっぱいの破壊なら,わたしの回復魔法でなんとかなります。でも,もしあの分が破壊されてしまうと,わたしの中級レベルの回復魔法では,対処できません」
夏江「つまり,おっぱいや乳首なら,いくら破壊されても元通りになるってことね?」
ムカブル「はい,そうです。乳首を傷つける際は,回復魔法を少しだけ発動しながらにすると,痛みはほとんどありませんし,出血もしません。ぜひ,それでお願いします!」
夏江は,当然,ここで拒否するような真似はしなかった。
夏江「いいわよ。あなたの好きにしてちょうだい」
かくして,夏江とムカブルは,その場で全裸となり,彼は夏江の体を虐待していった。
・・・
夏江は,,,虐待されながら,その快楽と至高の幸せ感を感じつつ,2時間が経過した。
事が終わって,夏江は,両方の胸と乳首に回復魔法をかけてもらった。すると,夏江の胸は,片方で6kg,両方で12kgにもなるQカップになってしまった。乳首に至っては,直径12cm長さも12cmの,ウルトラ乳首に変身してしまった。
胸の治癒には1時間ほどの長時間を要した。
夏江は,自分の身を捧げてまでも手に入れたい情報,,,それは,今後の夏江の行動方針に関わる重要なものになると感じた。警察を退職して,警視庁の顧問という身分になったとはいえ,不安定な身分には変わりない。夏江は,どこか,強力な組織の一員になる方法を模索してもいいと思った。まず手始めに,このムカブルの組織がいったいどんなものなかを知ることから始めた。
ムカブルが,語った内容,,,夏江は,衝撃を覚える内容だった,,,
その内容とは,,,
新魔大陸からこの世界へ侵略しに来た獣人族による子供生産計画。しかも,年間10万人規模の魔獣族の赤ちゃんを生むという計画が実行に移されている。現在は,まだ,その計画の数%にも満たない状況だ。最大のネックは死産率の多さだ。それを改善する施策が同時進行しており,北海道でも,新しく子供生産計画が着手し始めている。
そのためには,膨大な資金が必要だ。都市部でのマンション経営会社を筆頭に,資産運用会社,AV関連会社,人材派遣会社など多くの事業を行っており,その関連会社の総数は,優に100社を軽く超えるほどだ。特に,AV関連会社は,新魔大陸への販売も強化しているため,AV女優以外,スタッフのほとんが獣魔族出身だ。
これら数多くの会社を統轄する中枢部門は長老会だ。魔獣族出身で,かつ,第1長老から第10長老の10名による長老たちによって運営されている。
ムカブルの属する組織が,少女誘拐によって子供生産計画を行うこと以外は,堅実に合法的な会社運営をしていることがわかった。なお,少女誘拐と言っても,本人了承の場合がほとんどであり,警察沙汰になることはまずないらしい。倫理上の問題はあるものの,そこに目をつむれば,魅力ある組織に思えてきた。
それに,ムカブルの感覚的な感想だが,この組織の戦闘能力は,この月本国の総合的な軍事力にも相当するものと見ている。
それに,夏江が持っている『メリルの指輪』を詳しく調べることが出来れば,戦闘力の強化策のヒントになると上層部は見ている。そのため,夏江をAV女優として拘束し,折りをみて夏江が保有している『メリルの指輪』を奪うことを考えていることも判明した。
ムカブルの属する組織は,予想以上に規模が大きいことが理解できた。
夏江は,長老の弟子になる方法をムカブルに聞いたところ,結局のところ,縁故によるものらしい。でも,これまでAV女優から,長老の弟子になった例はない。少なくとも,魔法や剣技で一流レベルでないと無理だ。今の,ムカブルの剣術の腕でも到底無理のようだ。
夏江は,ムカブルが属する長老の情報を聞いたところ,AV関連事業,ソフト開発販売事業等を統括している第8長老なのだが,彼では身分が低くて,それ以上の情報を入手することはできなかった。
夏江は,結局のところ,超絶ハード系のAVに出演することに決めた。1ヶ月でいいし,しかも,撮られた映像は新魔大陸で販売されるので,知人に露わな姿が見られる可能性もない。それに,男優はすべて魔獣族らしいので,魔獣族の情報がさらに得られると期待した。
夏江は,さらに,『メリルの指輪』を分析するという点に興味が湧いた。
夏江「その分析って,どうやるの?」
ムカブル「わたしもよくわかりませんが,担当者が記憶の追跡を行えば,かなりのことが分かると言っていました」
夏江「記憶の追跡?」
ムカブル「はい,そうです。具体的な手法まではよくわかりません」
夏江は,その記憶の追跡が細かくわかるのであれば,『メリル』が今どこにいるのかも判明し,かつ,指輪の中に囚われの美玲が救われる可能性も出てきた。
夏江は,ムカブルから必要な情報はすべて聞き出した。でも,さほど重要な情報は持っていないようだった。
ムカブルは,用事が済んだので,帰っていった。その後,ムカブルは,帰る途中で,寿命が奪われたかのように歳をとってしまい,とうとう寿命がきて死亡したことなど,夏江は知る由もなかった。
夏江が,至急にしなければならないこと,それは『メリルの指輪』のダミーを用意することだ。本物の指輪は奪われてはいけない。
夏江は,2日後から,伊豆半島にある小さな町へ移動し,そこで5日間,缶詰になって撮影するというスケジュールだ。2日間の休みがあり,それを4回繰りかえすという内容だ。
夏江は,2日後に出発するまでに,すべきことをテキパキと処理していった。
ーーー
『メリルの指輪』は,入手した3個の魔法石を自分の小さな亜空間に取り込んだ。そして,ゆっくりとそこから魔力を吸収する作業を行っていた。
美澪は,夏江に自分の変化について語った。
美澪『夏江,わたし,魔力を吸収してから,ますますこの『メリルの指輪』の機能を理解するようになったわ』
夏江『ん?どんな機能があるの?』
美澪『まだ初級レベルだけど,治癒魔法,ミクロ爆裂魔法が使えるようになったわ。特に,ミクロ爆裂魔法は,『メリル』が水香の体を憑依したときに,男どもを大量に殺した方法よ。霊力を男の頭の中に流して,霊力の先端にミクロ爆裂魔法を発動させるのよ。外見からは,まったく死因が判明しない殺しかたよ』
夏江『え?それって,『メリル』が行った3種類の殺し方のうちのひとつよ!!」
美澪『ふふふ。夏江,よかったね。その殺し方は,今のわたしでもできるわよ。どう?これからAVの男優たちを好き勝手に殺せるわよ?』
夏江『・・・』
このことで,3種類の殺し方のうち,2種類が判明したことになる。透明の霊力の刃による首刈り方法と,霊力の先端に植え付けたミクロ爆裂魔法による方法だ。でも,最後の1種類がまだ不明だ。それは,水香を虐めた6人の女性徒の殺し方だ。外傷はあるものの,それが死因ではない。霊魂をイタコに憑依させようとしてもすでに霊魂が存在しないという奇妙な現象だ。
夏江は,この最後の1種類の殺し方が判明しないうちは,自分のモヤモヤとした気持ちに整理がつかないと思った。
夏江『美澪,『メリルの指輪』の記憶が蘇るのなら,最初に殺した女子寮の6人の女性徒の場合はどうなの?どうやって殺したの?』
美澪『それなんだけど,霊力とは違うみたい』
夏江『霊力とは関係ないの?』
美澪『その部分の記憶ははっきりとあるのよ。でも,その記憶って,どう行動したかというの行動記憶よ。女性を殴って,床に倒し,それから指輪を額に接触させたというものよ。でも,霊力や魔法は使っていないわ。それは間違いないわね』
夏江『指輪を額に接触させた? しかも霊力や魔法は使っていない,,,??』
夏江も美澪も,それ以上は解明することはできなかった。
夏江『霊力や魔法は使っていないなら,いったい後は何があるの?』
美澪『わかんなーーーい』
そんな高等な質問を受けても,美澪にわかるはずもない。行動記憶は蘇ったが,なぜそうしたかなど,わかるはずもない。そんなことよりも,もっと重要なことを夏江に語った。
美澪『そんなことよりも,重大なことを伝えるわ。この『メリルの指輪』を支配している霊体格納魔法陣だけど,指輪との連結が時間とともに外れそうなの」
夏江『それって,どういうこと?』
美玲『わたしが霊体格納魔法陣とともに,メリルの指輪からちぎれてしまうってこと。つまり,メリルの指輪を支配できなくなってしまう』
夏江『まだ,よくわからない。美玲は,いったいどうなるの?』
美玲『・・・,いったいどうなるのか,わたしもぜんぜんわからない』
夏江『・・・』
夏江は,ちょっと間を置いて質問した。
夏江『じゃあ,美澪の霊魂はどうなるの?自分で浄化できるの?』
美澪『わからない,,,でも,恨みの感情を持っている以上,浄化は無理だと思う』
夏江『じゃあ,美澪の恨み,わたしが引き受けるわ。確か,ハビルとか言っていたわね。彼をやっつければいいの?』
美澪『そうよ。でも,彼は強者よ。魔法や剣が使えると聞いているわ。夏江の,今の実力では全然だめ。もっともっと強者になってもらわないとね』
美澪は,霊力に回復魔法陣とミクロ爆裂魔法陣を植え付けて,その霊力を指輪から放出して,夏江の子宮の中へと注入していった。言ってみれば,霊力の核だ。
美澪の霊体は,指輪の亜空間にある霊体格納魔法陣に捕らえられている。この魔法陣がメリルの指輪からもう間もなくちぎれてしまいそうだ。
蘇った記憶のうち,特に大事だと思う内容を夏江に伝えた。
美澪『霊体としての『メリル』がどこに消えたかだけど,それは,指輪から離れてしまったわ。今,どこにいるかまではわからない。それと,もうひとつ気がかりな点があるの。以前,メリルの指輪の亜空間に,大きな『繭』を飼育していたのだけど,刑務所襲撃の時に,その繭が消滅してしまったわ』
夏江『繭?それって何なの?』
美澪『わからない。行動記憶しかないので,それが何なのか不明よ。でも,大事なものだという気がするの。その繭作成した後に,連結魔法陣の跡がたくさん残っていたわ』
夏江『美澪が復活できないなら,もう魔鉱石を購入する必要はないわね。それに,これ以上,借金したら,一生,奴隷になってしまいそうよ』
美澪『そうね,,,これ以上,夏江に迷惑はかけれない。夏江,あなたと知り合いになれて嬉しかったわ。復讐心はまだ残っているけど,でも,夏江が代わりに引き受けてくれるのなら,気持ちに整理がつきそう。夏江,,,もう指輪から離れてしまうわ。そうなったら,念話ができるかどうか不明だわ。もし,念話できなかったらごめんね』
夏江「美澪! 復讐のことは,もう気にしないでちょうだい! わたしに任せてちょうだい! いっさいを気にせず,浄化してちょうだい!」
夏江は,念話ではなく,声を出して叫んだ。
しかし,美玲からもう念話は聞こえてこなかった。左手にあった『メリルの指輪』も消滅してしまった。
美澪を失った。
しばし放心状態だった。だが,それは長く続かなかった。美澪は浄化されたと思うことにした。
これから,夏江はAV女優として生きていくことになる。すべては,その役目が終わってからだ。
これから,どうやって美澪から依頼された復讐,『ハビル』という男の行方を探していくか,それに『メリル』に殺された少女たちの仇を討っていくかを考えていけばいいと自分に納得して,伊豆半島にあるという孔嬉AV企画(株)の事務所に移動した。
=====
夏江は,電車に乗って伊豆半島へと移動していた。夏江の荷物は,最低限のもので,やや小さなリュックサックだけだった。
夏江は,ふと,左手の薬指を見た。そこには『メリルの指輪』がなかった。
夏江は,何度もため息をついた。美玲を失ったことへのショックからまだ立ち直っていなかった。
夏江は独り言を言った。
夏江『これから,ほんとうに1人でやっていくことになるのね。なんか寂しいわね』
夏江のこの感傷的な思いも徐々に消えていった。電車の中はほぼ満員で,旅行者のオーラを観察すると,ついつい寂しさも忘れた。
悪霊に纏わり付かれている旅行者がいると,どんな悪霊なのか探りたくなる。でも,認識するだけにとどめた。余計なお節介はしないことにした。
夏江は,今ではちょっと意識を変えることで,オーラを見えるようにしたり,見えないようにしたりできる。
最初こそ,何か不穏な状況があるかもと思って,オーラを見えるようにしていた。でも,オーラを見えないようにしても,『危険』な状況をいち早く察知できそうだ。そこで,今後はオーラを見ないようにする習慣をつけることにした。
夏江は警察官出身だ。今は警察を退職して,超現象捜査室と顧問契約をしている。週2回の出勤が義務づけられている。でも,この1ヶ月間は,完全に休暇を取ることした。これから迎えるAV女優業に専念するためだ。
夏江は,自分のことをAV女優としてではなく『巨乳除霊師・夏江』と名乗ることにした。AV女優業など1ヶ月で終了だ。でも,除霊師の仕事は,これから何年も続けるからだ。
除霊師という名称は,霊能力者という名称よりも,より具体的にイメージできるので,その名称を選んだ。夏江は除霊ができるわけではない。オーラを見ることができるだけだ。でも,その能力があれば,除霊することも可能だろうと甘い考えがあった。
しかし,『除霊師・夏江』だけではインパクトがないと思い,思い切って『巨乳』という超インパクトのある単語を選んだ。女性の客層から反発を買うことになるが,でも,男性客だけで十分だ。もしエッチな客なら,おっぱいを見せるだけでお金がもらえそうだ。
ともかくも,今日から夏江はAV女優として仕事するのだが,気持ちの上では,『巨乳除霊師・夏江』なのだ。
夏江は,そんなあまり重要でもないことに頭を動かしていた。
電車の中で,仮眠をとった。ふと目覚めると,すでに目的地に着いていた。伊豆半島の東端にある町だ。夏江は慌てて,荷物を持って電車から降りた。その後,タクシーを拾って,最終目的地の孔嬉AV企画(株)の事務所に向かった。
ー 孔嬉AV企画(株)の事務所 ー
孔嬉AV企画(株)の会議室で,夏江は担当のAV監督と面談した。そこで,彼は夏江に,自分の持っている夏江の経歴や能力を記載した書類を渡した。
監督「ここに記載されている内容は間違いないかな?」
夏江は,渡された書類を見た。そこには次のように書かれていた。
===
警察学校を首席で卒業,特捜課に配属されるも,まもなくして超現象捜査室に転属となる。その後,退職する。
警察官時代の実績としては,凶悪殺人犯の水香逮捕に貢献する。また,『メリルの指輪』を警察に提出したらしいが,今でも,それが本物なのかどうか不明だ。
『メリルの指輪』には,霊力のパワーによって,透明な腕の刃を発動させる能力を有する。また,相手との接触によって,強力な精神支配が可能だとうわさされているが,確認されていない。
『メリルの指輪』は研究対象になるため,もし,夏江が持っているのなら,いくらでも代償を支払ってでも,すみやかに入手すること。
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その文章は,さほど詳しいものではなかったが,それなりに重要な要点を押さえていた。
監督「その内容で,補足したいことはないかな?もし,なければ,『メリルの指輪』をわたしに提供してもらいたい。もし,素直に提供してくれるなら,AV撮影で,いろいろと便宜を図ろう」
夏江は,AV監督といっても,結局は魔獣族出身の監督だと思った。魔獣族のメリットになることを最優先に考えている。彼は魔獣族の中でも,かなりの強者であることは彼のオーラを見ればすぐにわかった。
夏江「ひとつ訂正があります。『メリルの指輪』は,警察に提供しました。それに,どうやら,その指輪には,もうメリルは存在していないようです。どこかに隠れているのかもしれません」
この言葉を聞いた監督は苦い顔をした。
監督「それはほんとうのことなのか?」
夏江「はい,ほんとうです。ウソではありません。ここでウソをついても,わたしに何のメリットもありませんから」
監督「・・・」
監督は,どうしたらいいか考えた。そして,ひとりの部下を呼んだ。映像マンだ。つまり,映像を担当するスタッフだ。
監督は,夏江に映像マンを紹介したあと,特別な魔法の術式を受けてもらうことを説明した。
監督「『メリルの指輪』が入手できなくなった以上,あなたの価値は大幅に下がる。1ヶ月だけでの撮影期間というメリットを享受することはできない。少なくとも,3ヶ月,場合によっては,それ以上の撮影期間になる。あなたに拒否権はない。もし,拒否するなら,この場で死んでもらう」
夏江「・・・」
夏江は,ムカブルから説明を受けた話と大幅に食い違っていると文句を言いたかった。でも,文句を言えるはずもない。いくら霊能力を身につけたとはいえ,美澪から霊力や魔法の一部を伝授されたとはいえ,監督や映像マンから比べれば弱者だ。
監督「それでも,あなたの希望は少しは叶えてあげよう。今回のAV撮影が終わると,あなたはどんな仕事をする予定ですか?その仕事と関係のあるようなストーリー作りをしてあげよう」
夏江「・・・」
夏江は,そんなどうでもいい配慮など無意味だと思った。でも,せっかく,そこまで言ってくれるので,正直に言うことにした。
夏江「わたしは,警視庁側と顧問契約をしています。逮捕された連中のウソを見抜くという仕事をする予定です。それ以外に,まだ経験はないのですが,呪詛などで呪われた人たちを自由にしてあげるような仕事をしたいと思います」
監督「・・・,呪詛か,,,」
監督はちょっと考えている風だった。
夏江は言葉を続けた。
夏江「見ての通り,わたし,こんな巨乳になってしまいました。乳首も化け物のように大きくなっています。それで,この肉体的特徴を生かして『巨乳除霊師・夏江』というキャッチフレーズで仕事を受けることを考えていました」
監督は,撮影マンに夏江に『隠蔽映像魔法陣』を植え付けるように指示した。それを受けて,映像マンは,夏江の頭部に手を当てて,3重の『隠蔽映像魔法陣』を夏江の頭部の中に刻み込むように植え付けた。
それが終わると,彼は,自分のしている指輪を夏江に渡した。
映像マン「この指輪をしなさい。そこには,記録魔法石が貯蔵されている。映像魔法陣が記録した映像が保管される。1か月は有効だ」
夏江「・・・」
監督は,しばらく外部と電話のやりとりをしていた。しばらく経ってから電話を切った。
監督「夏江とか言ったかな?あなたのその胸や大きな乳首など,われわれにとっては,魅力のある体ではない。せいぜい,両方のおっぱいを合わせても10kg前後の重さしかないのだろう?」
夏江は,その言葉に訂正を加えた。
夏江「12kgはあるはずです!」
監督「フフフ,ほんとうにそうかな?そこで裸になって見せなさい」
夏江は,やっと自分の裸を見せる機会を得たと思った。これから,さらに犯されてしまうのだろうか? そうなったとしても,すでに気持ちの整理はできている。
夏江の片方で6kg,両方で12kgにもなるQカップの胸が露わになった。乳首も長さや太さも12cmにもなった。その乳首から母乳がジワジワと溢れ出ていた。
それを見た監督は,ニヤニヤするどころか,逆に苦虫を噛みつぶした顔をした。
監督「12kgか,,,母乳が出たところで魅力はまったくないな。不合格だ。この撮影施設を使って撮影するほどの価値はない」
夏江は,価値がないと言われてカチンと来た。夏江は,自分ではかなりの美人だと思っているし,この大きな胸だ。100万円支払っても夏江を抱きたい連中は山ほどいると自負していた。でも,反論は避けた。
監督は,母乳が溢れでるので,映像マンにその母乳を吸ってあげるように指示した。夏江はなされるがままにされた。この場で,夏江はいっさいの抵抗は無意味だと知っている。
監督「でも,その巨乳,回復魔法によるものだな?夏江は回復魔法が使えるのか?」
夏江は,いずれバレると思ったので,正直に言うことにした。もしかしたら,魔獣族の仲間にだってなれるかもしれないからだ。
夏江「はい,以前,メリルの指輪を持っていたときに,その能力を分けてもらいました」
監督「ほぉーー,それはすごいな。夏江は魔法士なのか?」
夏江は,自分の左手を示して言った。
夏江「この左手に回復魔法陣を植え付けてもらいました。メリルの指輪からのプレゼントのようなものです。それ以外に,少しだけなら霊力も使えます」
監督「ほほぉ,なるほどな。それはラッキーだったね」
監督にとっては,夏江が魔法や霊力がちょっと使えることなどどうでもいいことだ。彼は,隠蔽映像魔法陣の機能について説明した。
監督「それはそうと,あなたに植え付けた隠蔽映像魔法陣は,あなたがこれから経験することをすべて映像記録する。それがあれば,わざわざ専門のカメラマンがあなたに傍で撮影する必要がなくなる。もっとも,画質はかなり落ちる。でも,今のあなたに高画質で撮影する価値はない」
夏江は,反論する代わりに,監督が求める価値の水準を聞いた。
夏江「その価値って,なんですか?」
監督「新魔大陸では,すでに多くのエロビデオが出回っている。巨乳・爆乳シリーズでは,最低でも,片方だけで20kg以上もの爆乳が最低条件だ。それに,あなたは確かに美人かもしれないが,かわいらしさがまったくない。もっと,気弱で弱々しくないと,このAV界では生きていけない。気弱で弱々しい女性が,男どもに犯されて性奴隷となっていく過程をスケベな連中が金を払って見るんだ」
夏江「・・・」
監督は言葉を続けた。
監督「あなたの場合,その可愛らしいさがまったくないので,片方で20kgの爆乳になったところで,通常のエロビデオでは金を払って見る人はほとんどいないだろう。だから,そうだな,,,」
監督は少し考えてから言葉を繋げた。
監督「肉体を切り刻む,破壊する,もしくは四肢切断のような映像なら,まだ価値が出るかもしれん」
胸やお尻を切り刻むのならまだわかるものの,四肢切断となると,さすがに夏江は抵抗した。
夏江「四肢切断って,それって死んでしまうんじゃないですか?」
監督「ほんとに四肢切断する訳では無い。半分程度切断すれば,あとは映像修正でカバーすればいい」
夏江「・・・」
夏江は,これ以上質問するのは止めにした。すべては片方で20kgの超乳になってからのことだ。
監督「さて,あなたは,これから,『巨乳除霊師・夏江』として,仕事を受けてもらう。仕事は,こちらで準備する。ちょうど除霊師を大々的に募集しているところがある。そこの仕事を受けてもらう。後は,相手に合わせて行動しなさい。自分の身が殺される以外は,相手を傷つけてはいけない。それに,犯される状況になったら,少しは反抗してもいいが,流れにまかせて犯されなさい。もちろん,相手を傷つけるのは禁止だ。おっぱい,お尻,膣への虐待・破壊行動はなんら殺されるという行動にはあたらないから,自分で治療しなさい」
夏江「もし自分の回復魔法でも治療できなかったら,どうしましょう?」
監督「その時ときは,映像マンに電話連絡でもしなさい。すぐにではないが,できるだけ現場に向かわせるようにしよう」
夏江「犯される時,命の危険があったら?」
監督「正当防衛的な行為は許可する。その結果,相手を殺してしまってもしかたない。自分の身は自分で守るのはどんな状況であれ当たり前のことだ」
夏江「例えば,ナンパされた場合,どう行動するのが正解ですか?」
監督「正解などない。イヤなら断ればいい。でも,あなたはAV女女優だ。できるだけ犯されるように誘導しなさい。常に,自分の周囲にカメラが廻っているという意識を持って,男性どもに情欲をそそるような行動を常に心がけなさい。AV女優として,どのような行動がベストなのか,自分で考えて行動しなさい。自分がAV監督のつもりで行動することを心がけなさい。ただし,相手は,『隠蔽映像魔法陣』によって録画されているなど,まったく思っていないから,その点も留意して行動しなさい」
夏江「あの,,,AVで録画される期間って,いったいいつまでですか?最初の約束では3ヶ月,超絶ハード系では1ヶ月という約束だったのですけど?」
監督「それは,『メリルの指輪』をわれわが入手するという前提です。それが手に入らない以上,当初の約束は無効になる。その代わり,あなたには,自分の希望の仕事ができる。『巨乳除霊師・夏江』として活動だってできる。1ヶ月に1回は,この事務所に戻りなさい。あなたに植え付けた魔法陣の再設定などをする必要がある。
もし,あなたのおっぱいが片方で20kg以上になれば,高精細のカメラワークで映像を撮ることになる。その時になれば,晴れてこのスタジオ内での撮影となり,1ヶ月間の撮影期間で済む。その後は自由の身だ」
その説明を受けて,今の状況が少し理解できた。
夏江「つまり,おっぱいが片方で20kg,両方で40kgに満たないうちは,AV女優としても見習い期間という感じなのですね?」
監督「そう理解していいでしょう。回復魔法をかければおっぱいは大きくなるはずだ。せいぜい,見習い期間のうちに,おっぱいを虐待してもらいなさい。フフフ」
夏江は,自分のおっぱいをまじまじと見た。これから何度おっぱいを傷つけてもらうことになるのだろうか? 夏江は逃亡した場合,どうなるのか聞いてみた。
夏江「もし,わたしが,与えられた仕事をしないで逃げたとしたら,どうなるのですか?」
監督「かまいません。逃げたければ逃げてください。わざわざあなたを追うことはしません。でも,警視庁の仕事も,『巨乳除霊師・夏江』として仕事することもできなくなるでしょう。あなたの居所が判明すれば,われわれの組織の暗殺部隊があなたを殺しにいくだけです。あなたが,これからいくら霊力や魔法の扱いが上手くなったところで,われわれ暗殺部隊に抵抗できるとは思えません。逃げるのはお勧めしません」
夏江「暗殺部隊?」
監督「はい,そうです。たとえ強敵が相手でも,相打ち覚悟で自爆も辞さない連中です。それに,彼らは最近開発された隠蔽魔法を修得しています。相手に察知されずに近づくことが可能です。つまり,見えない敵を相手にするようなものです」
夏江「・・・」
夏江は逃亡という考えを捨てた。次に,彼女は一番関心のある質問をした。
夏江「もし,わたしがあなたがた魔獣族の組織の一員になりたいと言ったら,受け入れてもらえますか?」
監督「そうですね,,,貢献度と『強者』としてのレベルの問題でしょうか。今のあなたが,それなりにAV女優として貢献すること。それだけでなく,強者となることが条件です。霊力や魔力で強者になることは,今のあなたの状況ではかなり難しいと思います。透明の霊力の刃など,われわれ魔獣族にとっては,なんら脅威にはなりません。それなら,いっそのこと,除霊師としての『強者』になって,それをわたしどもに示してください。希少価値が生まれるかもしれません。それによって,あなたを推薦することも可能でしょう」
夏江「除霊師としての『強者』?? なんかわったような気になりました。それも視野に入れてみます」
夏江にとって,獣魔族の組織には興味はあったものの,それは,あくまでも,もっとより多くの情報を入手するためだ。魔獣族の組織に身も心も捧げるつもりはない。でも,,,夏江がこれから行う行動は,まさに,身も心も捧げるような行動なのだが,,,
夏江「それ以外に何か方法はないのですか?」
監督「そうだな,,,」
監督は,ちょっと考えてから言った。
監督「魔獣族への貢献だが,別の方法もあるにはある。もっとも,その可能性はかなり低いがな」
夏江「それはなんですか?」
監督は,ネットの検索エンジンではひっかからない,特殊なホームページを見せた。
監督「このホームページに記載されている逃亡者を見つけたら,そこに記載の電話番号に連絡しればいいだけだ。フフフ,簡単だろう?」
夏江「え? それだけでいいのですか?」
監督「そうだよ。簡単だろう?でも,彼らは逃亡者で捕まりたくないから,発見されそうになったら必至で抵抗するだろう。一般人ならすぐに殺されてしまうかもしれん」
夏江「・・・」
夏江は,そのホームルームに記載されている逃亡者が皆,魔獣族の人たちだと分かった。彼らの抵抗とは魔法によって攻撃を受けるということを意味する。今の夏江のレベルでは到底太刀打ちできるはずもない。この方法については諦めることにした。
ともなくも,今の夏江にとっては,早く片方で20kgになる超乳になって,AVの任務を終了させたいと思った。そこで,監督に依頼した。
夏江「あの,わたし,早くおっぱいを大きくしたいです。この場で,おっぱいを傷つけもらって,回復魔法をかけてもらえませんか?」
監督「無駄な魔法は使わない。今のあなたには価値はない。それに,もう年齢も25歳なのだろう?もうババアだ。可愛らしさがまったく感じられない。皮膚だって若さに欠ける。魔獣族の男優にしたってババアは抱きたくもないだろう。自分の映像としての価値をしっかりと認識しなさい」
夏江「あの,,,若さって何歳からですか?」
監督「人間の年齢でいえば13歳から17歳までだ。18歳以上はもうババアだ」
夏江「・・・」
ババアと言われてショックを受けた夏江は,そのショックからまだ覚めないうちに,監督から1枚の紙を渡された。そこには住所と氏名が書かれていた。『巨乳除霊師・夏江』として,最初の仕事を与える人物だ。
かくして,夏江は孔喜AV企画(株)の事務所を後にして,最初の仕事先へと出向いた。
去り際に,監督から,本来のAV女優としての日課的な仕事が与えられた。それは,寝る前に,部屋を全開に明るくして,全裸になって自慰行動をすること。ただし,その日,誰かに犯される,抱かれるという行為があれば,自慰行為は免除されるという内容だ。もちろん,犯されるときも抱かれるときも,掛け布団など,夏江の裸体が隠れるようなものはしてはならず,部屋も明るくすることは当然のことだ。
電車の中で,夏江はなぜか涙が流れた。何で泣いているのか自分でもわからない。少なくともわかったことは,魔獣族という視点において,霊力や魔力の方面で強者と言えるほどのレベルになるのは困難だ。そもそもそれを夏江に教える人物もいない。
それなら,監督が言ったように,自己開発してきた霊能力をさらに極めるほうがよい。
夏江『うん,もう泣くのは止めよう。か弱い夏江はもういないわ。除霊師として強者になるべく,頑張って生きていきましょう』
そう自分に言い聞かせた夏江なのだが,でも,今だけは,泣いてもいいと思った。
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