夢の先

あーる

夢の先

夜の海に現れる劇場

そこの主人は黒の劇団と呼ばれている


黒の劇団は物語を生きる者達

その者達は必ず夜に公演を行う

公演は世界各地の海の上

場所や時間や公演内容は一切知らせずに突然現れる

けれど人々は彼らを求め期待する


満月の光の下で華やかに 瞬く星の下で儚く

全てを巻き込む雨の中で静かに

全てを呑み込む闇の中で気高く

彼らは物語を生きる


物語の中を生きる彼らの姿は 今を生きる人々の心に寄り添う

時に優しく 時に力強く

人々を突き動かす


それはまるで夢の時間のように


世界が夜の闇に包まれるとき

夜の闇に溺れる者と漂う者に人々は分かれる

そんな世界で彼らが魅せる物語はよく映える

だからこそ人々を魅了し心を奪ってしまう


夜の闇に溺れていたはずの者はやがて彼らの世界に溺れ

彼らが魅せる夢の中に囚われることを望む


夜の闇に漂う者は彼らの世界に身を委ね

ひとつの夜を越え新たな日常へと進むことを望む


夢の時間は人によって変わってしまう

光に導く夜明けの夢と

闇に引き込む永遠の夢

そのふたつに


それでもその夢のような時間を体験したいと思うなら

そこはあなたを拒みはしない

むしろなあなたは心地良さを感じるかもしれない


彼らの魅せる夢の物語

その夢から覚めることができる自信があなたにあるなら

彼らの夢のような物語に飛び込んでみるといい

きっとその夢は忘れられない美しい時間になるだろう


けれどその美しさに呑み込まれないように気をつけて

彼らが生きる物語に引き込まれて

あなたが生きるべき物語から目を背けないように


今宵彼らの魅せる物語があなたに与えるのは

光に導く夜明けの夢か闇に引き込む永遠の夢か

どちらになるだろうか

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夢の先 あーる @RRR_666

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