第53話 ギャローデット大学(大学)

 以前、第37話で筑波技術大学を取り上げましたが、ギャローデット大学はもっと規模が大きく、更に『聴覚障がい者』に特化した(筑波技術大学は視覚障がい者にも対応)大学となっています。

 なので、大学内で使う言語はアメリカ手話です。書記英語も必要とされています。

 人種や国籍は様々ですが、みんなアメリカ手話を使って会話をするわけです。


 アメリカ手話と書きましたが、学生や教職員だけではありません。スタッフの方だって、アメリカ手話を使えます。

 というか、どうやら『アメリカ手話』を使えることと『書記英語』は関係者必須なようです。

 留学生だって、手話講習会で『アメリカ手話』を覚えるルールのようですから。

 ちなみに、聴者(聞こえる人)も『0』ではないようですが、学校の規定で『新入生で聴者は最高5%』と決まって(大学院の聴者人数制限は無い)います。

 まあ、聴覚障がいの方のための大学なので、仕方がないとも言えるでしょう。


 大学キャンパス内には、ろう学校の初等(小学校などの教育)、中等(中学や高校などの教育)もあります。

 ギャローデット大学の図書館は、ろう文化を研究している人の間で、知らない人はいないそうです。というのも、ろうに関する資料の量が、世界一なんだとか。貴重な資料の量も世界一。

 ろう者に配慮した、宿泊設備もあるとのこと。

 

 学校の近隣には、聴覚障がい者の方が働いてる店も多く、ギャローデット大学の学生もアルバイトをしていました。

 ギャローデット大学の近くだからか、ろう者を雇う店が少なくはないようです。それどころか、聴覚障がい者の方が、経営されている店もあったりします。


 どうです? スゴイと思いませんか?

 日本では、ここまで思い切ったことは、おそらく出来ないでしょう。

 誰もが手話でコミュニケーションをとれる、聴覚障がい者にとって差別のない世界……だと、思っていたのですが。


 ここから先は、大学内の一部の方に関しての話。


 ギャローデット大学へ来るまでに、差別を受けたことが無かった人というのは、たぶん一人もいないと思います。なので、聴者に対する嫌悪や、批判的な感情を持った方もいます。

 宗教に関しても、聴覚障がい者に関しての、独特な解釈を広めている方もいました。

(誤解しないで欲しいのは、考え方や宗教に関して、批判する意味合いはありません)


 いつになれば差別は無くなるのか。

 ギャローデット大学について、1番印象に残ったのは、全く別の人種の2人が、心底楽しそうに手話で会話をする姿でした。

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