noise 1

 いま世間でnoiseノイズと呼ばれている彼が、なぜ犯行に及んだのかについて語るには、まず過去のことを知るべきだろう。

 なぜなら、そこに重要であり、決定的な要因があるからだ。


 2004年、彼は東京の裕福な家庭で生まれた。

 noiseの父(仮にAとする)は裕福な家で育ち、車の設計に関する仕事をしていた。いわゆるエリートのサラブレッドだ。

 生まれながらにしてエリートというと、クセの強いイメージがある。が、当時の同僚に聞いてみても、Aを悪く言う人物は、ほとんどいなかった。

 問題なのは、noiseの母(仮にKとする)である。

 Kは経歴詐称の上、強引に結婚の話をを進めた。最終的に『妊娠』という手段を使ったのだが、Aの子供ではなかったことが、後にAの親類によって判明する。


 2010年、noiseは6才の誕生日を迎えた時点で、タワーマンションの最上階に住み、なに不自由のない生活を送っていた。

 母Kは、お金を使うことや、自分を美しく見せることに忙しく、noiseには無関心。

 それとは逆に、父Aは忙しい中でも時間をやりくりして、なるべくnoiseと一緒の時間を作っていた。


 noiseが6才の誕生日を迎えた1カ月後、状況は一変してしまう。

 みなさんは覚えているだろうか?

 あの有名車メーカーによる、データの改竄かいざん事件を。

 Aの設計したシステムを使った車で、死傷者が出ていた。事故の原因が、Aの設計部分だけでないことを、会社は知っていたはずだ。だが、会社は誰かに責任を押しつけなければならなかった。

 データを改竄したのも、そうするように指示したのも、Aより上の役職の者だ。

 会社はAの知らない裏で話し合ったという。

 誰かを生けにえにすることで、会社は生き残ることが出来る。そうしなければ、多くの人間が路頭に迷うと。だから罪を被って辞めてくれないかと、Aは言われた。

 Aは断ったが、結果は同じだった。

 Aは犯罪者として報道され、ニセの情報と、信頼していた同僚の裏切りにあい、解雇された。

 その日から、noiseの環境は一変してしまう。

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