カレーとまくら

日曜日、美羽ちゃんの家に遊びに行った。

優奈ちゃんは、その日バレエのレッスンだ。


呉服屋さんのお店の奥に、美羽ちゃんの部屋もある。


お昼は、美羽ちゃんママのカレーを食べた。

めっちゃ美味しかった。


ママのカレーと同じくらいか、もしかしたら、ママよりも美味しいかもしれない。


めっちゃ美味しかったから、おかわりした。


美羽ちゃんも、美羽ちゃんママも、あやめっちの食べてるところを笑って見ている。


もうちょっと食べたかったから、3杯目も、おかわりして食べた。

「どんどん食べてね~」

って美羽ちゃんママは言ってくれてる。


食べおわってから、美羽ちゃんの部屋に行って遊んだ。

部屋に入ったら、美羽ちゃんは、まくらを投げつけてきた。

あやめっちも、すかさず美羽ちゃんの投げたまくらをキャッチして、投げ返した。

しばらく、ずっと、ふたりで、まくら投げをしていた。

まくらからフワッと可愛く甘い香りしてきた。

まくらに顔をうずめてから美羽ちゃんに投げ返した。


美羽ちゃんの投げたまくらを手でキャッチせずに、顔でパフッと受けとめた。

フワ~ッと美羽ちゃんの甘く可愛い香り漂ってきて、その香りをあやめっちはス~ッて吸いこんだ。


あまりに可愛く甘い香りだったから

「このまくら、持って帰っていい?」

って美羽ちゃんに聞いてみた。

「えっ?いいよ~!あやめっちにあげる!」

って美羽ちゃんは言ってくれたから、あやめっちは、美羽ちゃんのまくらを家に持って帰った。

「美羽ちゃんといっしょに寝れる~」

って言ったら、美羽ちゃん、めっちゃ紅くなっていた。


美羽ちゃんの家を出て、ひとりで商店街を歩いていたら、レッスン帰りの優奈ちゃんと会った。

「あっ、優奈ちゃん、おかえりー!」

「あーっ!あやめっちー!こないだの定期公演、観に来てくれてたでしょー!ありがとうー!」

「優奈ちゃんのバレエめっちゃ可愛いねー!」

「えへへ、ありがとうー!...なに持ってるの~?」

「えっ?あっ、これは、まくら!」

「あーっ?美羽ちゃんのおみやげ~?」

「あはははは」

「美羽ちゃんにもらったの~?」

「うんっ!そやでー!持って帰っていいって」

「ぷはは...そーなんや」

「美羽ちゃんママのカレーも美味しかった」

「いいなー!甘いなー!ふたりで食べて甘いなー」

「辛かったよー!辛くてうまかった!からうま!」

「あはは」

「こんどは3人で食べようよー」

「そうだねー」

「美味しいよー!あっ、からうまー」

「からうまー!それで、おみやげに、まくらー」

「あはははは」


「最初見たとき、かばん持ってるのかと思ったよ」

「えっ?かばん?」

「うんっ?かばんまくら」

「なんだそれ」

「かばんまくら...かばまく」

「えっ?かばまく?」

「かばまくさげて、どこ行くのかと思ったよ」

「あははは」

「かばまく~さげて、どこ行くの~♪」

「歌ってるし...」

「かばまく~さげて、どこ行くの~♪あやめっち~♪」

「歌つくってるし...」

「ほらっ!あやめっちも歌って!」

「えっ?」

「あやめっちもいっしょに歌うの!あやめっちの歌なんやからっ!いくよ!さん、はいっ!」


「かばまく~さげて、どこ行くの~♪」

「かばまく~さげて、どこ行くの~♪」

「あやめっち~♪」

「あやめっち~♪」


「あっ!そうだ!いっしょにカラオケ行こうー」

「えっ?カラオケ?今から?」

「そう!今から!今からカラオケ!今からオケ」


優奈ちゃんはカラオケ屋さんに入るなり、マイク持って

「かばまく~さげて、どこ行くの~♪かばまく~さげて、どこ行くの~♪あやめっち~♪」

って歌いはじめた。

「歌ってるし!かばまくって、なに~?」

「えへへ、かばんまくら」

「知ってるわっ!」

「知ってるなら聞くなっ!」

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