第7話 夜襲
ユリウスに召喚されてから二ヶ月が経った。
俺は魔王城の図書館にある二万冊の本を一ヶ月ほどで読み尽くした。
本には色々な魔法の事とかこの世界の歴史が載っていて凄く興味深かった。
後の1ヶ月は魔界の人達と交流を兼ねて模擬戦をしたり、魔法を教えてもらったりしてとても有意義な時間を過ごした。
一旦、二ヶ月の間の話はこれくらいにしておこう。
今、俺はユリウスと稽古をしている。
カキーン
片手剣がぶつかり合う音
「お前、我と立ち会う度にどんどん剣が鋭くなってくるなぁ」
「それはどうも」
「次で決めるよ」
「ハァッ」
カシーン
俺はユリウスの剣を弾き、剣先を向ける。
「俺の負けだな」
俺は初めてユリウスに勝った。
「未來、お前やっぱり強いぞ。この二ヶ月で我に1本を取るまで成長するとはな」
「いや、ユリウスが神の力とやらを使っていたらやられていたのはこっちだよ」
「
「謙遜じゃなくて事実だよ」
ユリウスの言葉に俺は笑みを言い切った。
そうこう言ってる間にナタルが大慌てで走ってきた。
「魔王様。アビス様が来られました!」
「アビスが来たのか?」
「はい」
「分かった。すぐ戻る」
「未來も来てくれ」
「分かった?」
ユリウス、ナタル、俺はすぐ玉座の間に向かう。
玉座に入ると魔王の部下たちが勢揃いで待ち構えていた。その中にはリーナもいた。そこには男の魔族と思われる人がリーナにアプローチしているところだと見受けられる。おそらく、この人がアビスって人だ。
「リーナ様、僕と婚約なさってください」
「お断りします」
リーナは彼の申し出を断った。
それでも彼は止まらない。
「何故です?」
「あなたに興味がないからですよ」
リーナは少し困った表情を浮かべる。
見てられなくなった俺は助け舟を出す。
「君は強引に女性に迫って恥ずかしくないの?」
そう言うと彼の視線が俺の方に向く。
「これは僕と彼女の問題ないだ。口出ししないでもらいたい」
そう言うとまたリーナの方へ向く。
俺は「はぁ〜」とため息をつき、あるスキルを使う。
『
すると、アビスと思われる人は顔を青白く変えて俺と距離を取る。
(この
俺は彼を見てそんな事を考えていた。
すると、後ろからユリウスが話に割り込んできた。
「未來、そこまででよい。アビス、我に話があるんだよな」
「………………はい」
青白く顔を変えたアビスはどこか疲れたようにそう答えた。
俺が覇気をやめるとリーナが近づいてきた。
「助けてくれてありがとうございます」
「困ってたらお互い様だ。礼なんていい」
「照れてますか?」
「まぁね」
俺がそう言うとリーナはおしとやかに笑った。
リーナと仲睦まじく話していたらアビスが俺の方を睨んでくる。
ユリウスが玉座に座った。
アビスはユリウスの方に視線をやった。
「アビス、話とはなんだ?」
「魔王様。人間の国を侵略したほうが良いです」
「なぜだ?」
「人間は勝手に我々を化け物扱いし、勇者って奴で我らを滅ぼそうとしている。これに対抗するべきです」
「駄目だ。やらない。争う意味がない」
「ですが!」
「駄目なものは駄目だ」
ユリウスが言う。
「別にやりたければお前だけでやれ」
「分かりました。この件は諦めます。だったらリーナ様と私を婚約させてほしいです」
「やはりそうきたか。何度だめと言ったら気が済むんだ。リーナにその気がないし、今度そんな事を口にしたらどうなるか分かっているんだろ」
娘思いのユリウスは殺気混じりにそう言った。
殺気を受けたアビスはすぐにこの場から立ち去りたそうにした。
(ユリウスの殺気を受けてまともに立てるのって結構すごくない)
「……………分かりました。失礼します」
アビスはそんな事を口にして最後にリーナと俺を睨んで出て行った。
俺は何か嫌な予感がして俺は気配察知を常備発動状態にする。アビスって奴、リーナに何しそうだし。
「アビスって奴は何者なの?」
俺は聞いてみた。
「アビスは元我の騎士だった。でも20年前に色々な理由があって騎士を辞めてもらう事になったんだ」
「そうなんだぁ」
まぁ、理由は知りたくないし聞かなくたっていいか。
ユリウスの元騎士か。
なんで解雇した理由はなんとなく分かるけど。
「ユリウス。俺は部屋に戻るよ」
「ああ、分かった」
(もうそろそろ新しい武器が欲しいな)
俺は部屋に戻って武器を創造で作った。
そして夜
『
俺は寝ていた時、気配察知が反応した。
リーナの部屋の方だ。
(この気配はおそらくアビスか。悪い勘があたったな……………………リーナが危ない)
俺はリーナの部屋に向かう。
リーナ 視点
何か物音がするのを感じた。
誰かが私の部屋に入って来たようです。
誰でしょう?
でも、殺意を感じるので私を殺して来た誰かのようです。
「フッフッフ。リーナ様悪く思うなよ」
私に向けて剣を振り下ろした。
だが、私はそれを避ける。
「危ないですね。アビス」
「ふん、余裕だな。それを避けても無駄だ。貴方は俺には勝てない」
「だったら助けを呼ぶまで!」
私はドアに手をかける。
「させるかよ」
《闇魔法
「ドアが開かない!」
「これで助けは呼べないぞ」
《
「私にだって魔法がある」
《雷魔法
「そんなので俺を倒せるかよ」
「いたっ」
私の魔法を打ち破って私に腕に傷を負わせた。
「こんな狭い部屋では魔法は思い切り使えないからな」
「そうですね。私の負けです、目的を言ってを教えてください」
「いいだろう。教えてやろう、婚約したいなんて口実だ。お前のせいで魔王様が変わってしまった。昔はもう少し冷酷だったのに…………俺はただ、その元凶を斬るだけだ。ついでにお前が死んだらアイツに罪をなすりつけてみようか」
「もしかして未來さんに罪を擦り付けようとしてるんですか?」
「その通りだ」
「……………」
私は言葉を無くした。こんな人に負けるなんて私は惨めだと思った。それと一つの希望を持っていた神人さんが助けに来るかもと。
私は最近未來さんの事を考えている。神人さんの事を考えると胸が騒ぐ。
そんな事をかんがえてる暇はない。
「これで最後だな」
私は覚悟した。
その時………
カキーン
「リーナ大丈夫か」
「はい」
「リーナには手を出させない」
私の胸が最大限に騒いだ。
「助けに来てくれてありがとうございます」
私は笑顔でお礼を言った。
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