第5話 決闘

声で戦闘が始まった。

先に攻撃を仕掛けたのはナタルさんからだった。


「初手で終わらせてもらう」


《雷魔法 雷電嵐ライジングストーム


「すごいなぁ。魔法ってあんなデカい竜巻を簡単に作れるだ」


『呑気な事言ってる場合ですか。後、簡単にあの魔法を使える人はあまり居ないと思いますよ』


ナタルが放ってきた魔法に感心していると、マナが呆れたようにそう言ってきた。


「あれってどうやって止められる?」


『魔法で相殺してはいかがでしょうか?』


「その魔法ってどうやったら発動できるの?」


『この世界では基本的に魔法は詠唱を必要としています。しかし、魔法には詠唱が要りません。魔法はどれだけ自分が発動したい魔法を明確にイメージ出来るかが鍵となっています。後は自分で戦って、試してください』


「少し冷たくない?どんな魔法があるか、知らないだけど」


『自分でやらないと意味ないですからね。それに未來様の場合、作ろうと思えば《固有能力ユニークスキル創造》で魔法作れるから今の説明はほとんど意味がないんですけど』


「………………確かにそうかもね」


俺は静かに頷く。


(《固有能力ユニークスキル 創造》って魔法も生み出すことが出来るだっけ?本当にこの能力スキルは万能だな!)


俺は頭を抱えるのを我慢して竜巻を防ぐ方法を考える。しかし、竜巻がすぐそこまで来ていて襲いかかってくる。


「仕留めた」


ナタルが勝ったと確信しただが違っていた。


(単純にバリアみたいので防ぐか)


固有能力ユニークスキル 創造 完全壁パーフェクトシールド


固有能力ユニークスキル 創造》で魔法を創造したけどこれって本当に魔法というのだろうか?

後で全属性魔法という能力スキルもあるし、本物の魔法を練習しよう。

俺はナタルの方を向くと顔をしかめていた。


「なんだと!」


「次はこっちから行かせてもらう」


そう宣言するともうスピードで後ろに回り込み俺はナタルに殴りかかろうとする。

ナタルは俺のスピードに対応して受け身をとる。


「今の受け流されちゃったか。さすがだな」


「当たり前だ!」


そんな強気で答えるナタルだったが焦り始めているのは見え見えだ。


「だったらこれは防げるかな」


固有能力ユニークスキル 創造 超電磁砲レールガン


ドゴゴゴと大きな音が大広間に鳴り響き、莫大な電磁波の塊がナタルに襲いかかる。


《光魔法 超守スーパーバリア


ナタルは急いで魔法を展開し、身を守る。

またドカーンと大きな音がなり、砂煙が舞う。


「はぁはぁ、ふ、防ぎきったぞ。これでお前も魔力切れのはず‥‥‥‥‥‥奴がいない、どこだ!」


「悪い、今の攻撃は囮だ」


と言いながら俺は自身に『固有能力ユニークスキル創造 身体能力』をかけ、一撃をお見舞いする。その攻撃でナタルは倒れ込み、気絶した。


「もう終わりなの?」


思わずそんな言葉が漏れる。

強そうなのは見かけだけかな?

俺は周りを見渡すとみんな唖然としてる。

そうではなかったみたい。


「未來がただ者では薄々勘付いていたがこれ程までとは」


「そうですね。今の攻撃、見えませんでした」


ユリウスとナルさんが歓声を漏らしている。俺は苦笑いを浮かべながら頬をかく。


すると、どこから走ってくる音がした。


「お父様、何事ですか!?」


俺と同じぐらいの年で髪の色が緑色で凄く可愛い女の子が走ってきた。


「ああ、リーナ。ちょっとそいつとナタルが手合わせした所だ」


「手合わせならなんで大広間が半壊しているんですか!?ここ、そんな簡単に壊れないと思うんですけど」


「まぁ、ナタルが彼の事を疑っていたから決闘して見極めろって言ったんだ。我だってこうなるとは思わなかった」


ユリウスの言い訳っぽい言葉を聞いて緑髪の女の子はため息をついて俺の元へときた。


「あのナタルが迷惑を掛けました」


「まぁ、俺もそっちの立場だったら敵意出しちゃうかもしれないし気にしないで下さい」


「心の広い方ですね」


「ありがとうございます?」


彼女が俺の事を少し見つめて来たので視線を逸らす。


「あっ、申し遅れました。リーナ・ サーティン。ユリウス・ サーティンの娘です」


(へぇ、ユリウスって娘が居たんだな…………………むすめ!)


俺は驚きつつ、深呼吸をした


少し冷静になった頭で彼女に自己紹介をした。


「リーナさん、ここでしばらくの間お世話になる坂本未來です」


「よろしくお願いします」


「こちらこそよろしくお願いします」


そう言うと二人の間には沈黙が出来た。


すると、その沈黙に耐えられなくなったのかリーナが話しかけてきた。


「あの〜お願いがあるんですが私に対して敬語をやめてください。後、リーナと呼んでください」


俺は敬語になっていた事を自覚する。


ユリウスはなんか友達みたいな雰囲気で馴染みやすさがあったがリーナは気品があるせいかざっお姫様みたいな感じなので思わず敬語になっていた。


リーナの要望を聞くことにした。


俺、敬語苦手だし。


「分かった。リーナ」


「はい!」


リーナが笑顔で返事した可愛いと思ってしまった。


「おい、お前らナタルを部屋まで運んでやれ」


「「「はい」」」


部下たちがナタルを運んでお広間を出た。ついでにナルさんも。


気を取り直して聞きたいことが今二つ増えてしまった。どっちから聞こう……………こっちからだな。


「なぁ、ユリウス。リーナってユリウスの娘なんだよな」


「そうだが‥‥‥‥」


「リーナはなんで角がないの?」


俺は聞いてはいけないと思いながらも興味本位で聞いてしまった。

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