蘇生スキルで世界最強へ! 〜無能だと思っていたスキルが進化して最強に!?蘇生した仲間の能力を使えるって!?俺はこのスキルで冒険者ライフを楽しんでいこうと思う!〜
@coooool2580
第一章 不滅の吸血王
第一話 始まりは突然に!
スキル─────
それは種族問わず誰しもが一つは持っている特殊能力。
神からの恩恵とされるそれは種類も千差万別で、【
──この世界は強力なスキルを持っている者が勝者だ。あらゆる面でスキルの存在は大きく、無視できないものとなっている。逆に弱小スキルの所有者は見下される傾向にある。もちろん国や地域によってその差はあるみたいだが、この認識は恐らく世界共通のものであろう。
かくいう俺もその不思議な力、スキルを持っているわけなんだけど。
「おい、カイン!なにちんたら歩いてんだ!もっと早くしろよ!」
「わ、悪い……ただ今回は荷物が多くて早く歩けないんだ」
薄暗い森の中、前を歩く【
黒髪短髪、髭面に筋骨隆々といった容姿で、彫りの深い顔からは逞しさが溢れ出ているが、反面性格は最悪で、今みたいに俺に怒声を上げるのがこのパーティでのいつもの光景となっていた。
「ったく、これだから無能は困るんだよ。運良く俺たちのパーティに入れたことをありがたく思うんだな、荷物持ちくんよ」
ジルベルトはそうやって吐き捨てるように罵詈雑言を並べると、再び視線を前に戻す。
無能…………。
このパーティ、[龍を追う剣]での俺の呼び名の一つだ。別にスキルを持ってない訳では無いが、その持っているスキルの使い方がいまのところ分かっていない。それによってこのパーティでの俺の立ち位置は最悪なものとなっていた。
「えっと、なんだっけ?【
ジルベルトの斜め後ろを歩いている銀髪の美少女、【
彼女は冒険者では珍しい吸血鬼であり、その腰まで伸びた美しい銀髪、透き通るような紅眼、整った顔立ちが実力とともに冒険者の中で評価されていた。このパーティでも一際目立つ存在の一人だ。
「早く役に立ってもらわないと、本格的にこのパーティから追い出すことになりそうだな」
先頭を行く【
そしてさっきカルミラが口にした【
もちろんこれまでに色々なことを試してみた。村に来た神官に初めて解析された時から、剣だって村の冒険者に弟子入りしてみたり、魔術も違う冒険者に頼んで勉強してみたり、その他もろもろも試してみたんだけど、結果は全滅。スキルの手応えを感じぬまま、今に至るというわけだ。まぁそのお陰で多少なりとも剣や魔術の腕は上がったんだけど、それでも周りの評価は変わらない。スキルなしでは強さの限界値に大きな差があるのだ。
そんなイメージを払拭するためはるばる王都にやってきて募集をかけていたこのパーティに入ってはみたものの、スキルが使いものにならないと知られるや否やそれまでの対応はガラリと変わり、結果は一目瞭然、今のような状態になっている。まぁ当たり前なんだろうけど。
前衛を務める剣士のヨハンと武闘家のジルベルト、後ろで魔術による攻撃や支援をする吸血鬼カルミラ、そして最後方で残党狩りや雑用をこなす俺カイン、このパーティの構成はそんな感じだ。
そして今俺たちがいるのは王都から少しだけ離れた<死の森>と呼ばれる場所。背の高い木ばかりが生えた森林地帯であり、太陽の光があまり届かないため薄暗く、魔力濃度も高いため強力なモンスターが出やすい。冒険者以外は絶対に近付かない危険なエリアの一つでもある。
今回は冒険者ギルドの依頼にあったクレイジーベアーの討伐をしにここまで来ていた。このパーティのレベルならそこまで難しくないはない内容だろう。
「大体、なんであんたみたいなやつが冒険者になろうと思ったの?」
「それは……冒険者になるのが夢だったからだけど」
「がっはっは!冒険者でがっぽり稼いでおいしい思いをしようってか?心配せずとも雑魚のお前にゃ無理だからよ!大人しく故郷の村に帰って畑でも耕してこいや!」
下品な言葉遣いで息をするように暴言を吐くジルベルト。実際、俺は足手まといだし主要なモンスターなんて倒せない。いつも仲間達が戦っている後ろで残党を狩ったり、アイテムを渡したりしてサポートに徹している雑魚だ。せめてスキルの使い方がわかればまだマシなんだろうけど。
そういえば、スキルというものは本能的に頭で理解できるようになっているらしい。それでもより詳細な情報を知りたい人は、教会の神官が持っている【
それを探るため、また冒険者として活躍するためにこのパーティに入ったんだが、現実はそううまくはいかないみたいだ。
「雑用なんて誰でもこなせるし、そろそろ回復系のスキルか防御系のスキルを持った冒険者を探してみる?私達に足りないのはそこら辺だろうし、あんまり数増やしたくないからその時はカインを追放するけど」
「そりゃいいな!今回の依頼が終わったらそうしよう!」
カルミラの提案に頷くジルベルト。
「ま、待ってくれ!もう少しだけ時間をくれ!」
「甘えてんじゃねぇ!大体こんだけ嫌味言われてんのに残るってほうが頭おかしいだろ!」
「そ、それは……そうだけど」
確かにこのパーティに拘る理由はない。あるとすればヨハンの剣技やカルミラの魔術、ジルベルトの体捌きを参考にする程度だろう。でも、ここで投げ出したら次のパーティでも同じ状況になった時、簡単に逃げ出してしまう。そうなってしまえば……それを繰り返してしまえば、冒険者として生きていくのは難しくなるだろう。
「わかったんなら冒険者なんて辞めて身の丈にあった仕事をするんだな!」
「しっ、静かに!」
突然、ジルベルトの罵声を遮ったヨハン。何事かと彼の視線の先──木々の奥──に注目すると、そこには巨大な熊が二匹いた。今回の討伐対象でもあるクレイジーベアーだ。
「カルミラ、片方任せていいか?俺とジルベルトはもう片方を倒す」
「任せて、あんな雑魚なんて私の魔術で一撃よ」
その発言を合図にヨハンとジルベルトが飛び出した。木々の間を駆け抜けて、極力音を立てずに目標に接近していく二人。
先に辿り着いたのはジルベルトの方だった。その存在に気付いたクレイジーベアーに反応する隙も与えず腹に一撃。よろめいたところを後ろから来たヨハンが一閃して絶命させる。
もう片方のクレイジーベアーも異変に気づき、反撃しようと二人に接近していくが──
「貫け!──
既にカルミラが魔術を発動しており、魔法陣から射出された水の槍は木々の間を縫ってクレイジーベアーの胸へと命中した。
「ぐぅぁ……がぁぁっ!」
一撃。よほど威力が高かったのか水の槍はクレイジーベアーを貫通して森の奥へと消えていく。死亡を確認した俺とカルミラはそのまま二人の元へと合流した。討伐した証であるクレイジーベアーの爪を剥ぎながら、ジルベルトがこちらを振り向く。
「やっぱカルミラの魔術はすげぇな!下級でも威力が高すぎだろ!流石は【
「別にスキルのおかげだけじゃないわ!なんたって私はあの最強の吸血鬼と謳われたクルエラ様から、三世代くらいしか離れてない高位の吸血鬼なのよ!」
ジルベルトの言葉に嬉しそうに反応するカルミラ。
「クルエラっていうと、神話の時代に最強の一角と言われた〈
「そうよ!真祖クルエラ・ルガト・ノートニクス様!私の魔力の高さもきっとクルエラ様譲りだわ!」
ヨハンの言葉にまるで子供のようにはしゃぐ銀髪の美少女。吸血鬼はその身に宿す血の生命力の循環からあまり歳を取らないって聞くけど、やっぱりカルミラも幼く見えて実は結構な歳なんだろうか。いや、女性の歳を詮索するのはよくないな。
「さて、目的も達成できたし、カインの脱退手続きもしなきゃいけないから王都に帰ろうか」
「そうね、早いとここんな場所から抜け出したいし、もう戻りましょう!」
「だな!一刻も早くコイツを追放しようぜ!お前もそれでいいだろ!?」
俺が呑気に考え事をしていると、突然ヨハンたちが現実をぶつけてくる。やっぱり脱退は避けられないのか。それも仕方がない。傍から見れば無能な俺なんて、報酬金を楽して貰うズルい奴にしか見えないからな。
「悔しいけど、俺が足手まといなのは事実だし、今まで──」
──ありがとう
そう言いかけた時、不意に頭上が影になり辺りが暗くなる。
「な、なんだ!?」
動揺するジルベルトとともに上を見上げると、そこには木々の隙間に隠れて巨大な翼が目視できた。
「……っ!我が盾になれ!──
カルミラが防御用の魔術を発動したかと思った刹那、周りの景色が赤色に染まる。同時に強烈な熱波と衝撃波が俺たちを襲った。
「くそっ!なんだこれは!」
流石のヨハンも今回ばかりは動揺を隠せていない。カルミラの魔術のおかげでなんとか持ちこたえてはいるが、それでもこの熱量は凄まじいものだった。
「ドラゴンのブレスよ!」
「ド、ドラゴンだと!?なんでこんなところに!」
狼狽えるジルベルトを他所になおもブレスは止まらない。俺も
しばらくして上からのブレスが止むと、ようやく周りの景色が元に戻る。さっきまで無数に生えていた木々が綺麗さっぱり無くなっていた。地面は所々抉れており、辺りに焦げ臭い匂いが立ち込める。
そして遮るものが無くなった太陽光を背に、それは俺たちの目の前に舞い降りた。
「あれが、ドラゴン──」
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