狐と青い小鳥と狼

成瀬瑛理

1

 森に住む小さな子ギツネのコンタは、いつも母ギツネのそばにいました。母ギツネは、やんちゃなコンタがいつも心配でした。


 目を離してるうちにひとりでどこかにいつも消えたりと、それは大変やんちゃな元気な子供でした。母ギツネはコンタが自分が目を離してるうちに、どこか遠くの森にひとりでいかないようにと日頃から注意してました。


「コンタ。ひとりで遠くの森には行ってはいけませんよ?」


 母ギツネはコンタにそう言って教えました。しかし、コンタは元気一杯の子供です。母ギツネの話はコンタには、うるさいだけだったのです。


 ある日、コンタは母ギツネが眠っているそばから黙って離れると、内緒で遠くの森にひとりで遊びに行きました。森の中をひとりで元気一杯にかけまわっては、ひとりで楽しそうに無邪気に遊んでいました。


 コンタが森の中をかけまわっていると、森に住む小さな小鳥が、木の枝の真下からコンタに話かけました。


「ねぇ、きみはどこから来たの?」


 青い小鳥がコンタにそう言って話かけました。コンタは木の上にいる青い小鳥に言いました。


「ぼくは近くの森から来たんだ。お母さんといつもここの森を通っているんだ。きみはお母さんと、はぐれたのかい?」


「違うよ、この森にはひとりで遊びに来たんだ」


 青い小鳥はそう言ってコンタにこたえました。


「この森にある木の実や果実がとっても美味しいんだ! ぼくはいつもそれをお母さんと一緒に食べに来ているんだよ!」


 コンタがそう言うと、木の枝にとまっている青い小鳥が一言注意しました。


「森は危険で一杯だから、いますぐ帰りなよ?」


「そんなことないよ? 森は安全だよ?」


 コンタはまだ子供だったので、森が危険だということが理解出来ませんでした。


「青い小鳥さん、どうしてぼくにそんなイジワルな事を言うの?」


コンタは青い小鳥にそのことを投げかけました。


 なにも知らずにそのことを聞いてくるコンタに、青い小鳥は木の枝から言いました。


「きみは森の恐ろしさをしらないようだね? それなら泉のほうに行ってみるといいよ?」


青い小鳥はそういうと、木の枝から羽をバサッと広げて大空に羽ばたいて飛び去っていきました。


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