26.ガイド神泉苑、平安神宮 竜宮城みたい

※本作は空想の歴史を書いたものなので、史実や実在の自称・人物・史跡とは全く色々微妙に異なりますのでゴメンナサイ。


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 天皇陛下も行幸なされた二条城の天守。

 御所が近いとはいえ、そこそこ離れている所為かここには警備の兵隊さんはいない。

 緊張から放たれつつ、眼下に広がる千年の都を堪能する。


 コンクリのビルもあるだろうけど、高さ制限を受けて精々3、4階建てで、和風の外観だ。

 中には〇シントンホテルとか〇ーガロイヤルホテルとか超一流ホテルもあるみたい(勿論泊った事ない)。

 だけど、こうしてみると城の御殿かお寺の本堂の大屋根かって位、一目では解らない程に情景に没している。

 南東にある大屋根が…国鉄の京都駅かな?


「やっぱりハポンは素晴らしいデス。

 世界がUSを中心にウルサくてメンドい方向に進んでても、京は昔のマンマ」

「京の人達は嫌がってるみたいよ?

 京をパリの二桁区みたいにアバンギャルドにしたいみたい」

「ガリアは野蛮デース」


 ヨーロッパ各国、仲悪ぃな。

 スペインはハプスブルグ家の一派で、フランスのブルボン朝とかブリテンとか、そこから独立したアメリカの敵だったっけ?

 いやフランスとはなんだかんだ折り合い付けてたっけ?


「ハポンとエスパーニャの過去は悪かったデス。

 でも、ハポンは勝った。そして、ハポンは突然レティラ(リタイア)シマシタ」


 あー。日本は鎖国したって思われてるんだな。

 ここは訂正しておかなければ。 

「日本はね、別に引きこもった訳じゃないよ。」

「見てまシタ」え?

「アジアの他の国、そっちが本当にレティラ。戦いませんでシタ。

 戦ったの、ハポンだけ。ポルクェ(何故)?」


「きっと日本人は好戦的なんだよ。あと、好奇心が強すぎかもね」

「オー!ツカサはその通りデース!」

 え?私?

「トキサマにツッコンで、一緒にトゥーリズモ(ツーリズム)してマース!」

「いやいや、それは豪華無賃タダ酒旅行だからで」

「ンゥ~?」何その顔?!

「んうぅ~?」増えた?玉ちゃん?!

「ぬううん!」お次さん?!

「うふふ~?」お延さんまでー!


「みんな仲良しさんだなあ」オッサンテメェ!


「ナカヨシデース!」

 もう何話してたか忘れちゃったよ!


「日本はスペイン・ポルトガルの侵略とは戦った。

 でも貿易は続けるつもりだった。

 ところが両国も、おまけにブリテンも貿易の利益がなくなったので引き上げちゃっただけなんだよ。

 それなりにちゃんとヨーロッパや新興国アメリカの情報収集や対策をして、近代化したんだ」

 そーだったんか。ちゃんと外国からのお客さんに説明出来る様にしなければ。


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 さっき天守から見下ろした神泉苑の乾臨閣に寄って…

 あ~。お城とは違う雅で心安らぐこの感じ。

 10円玉に刻まれた綺麗な左右対称の、何だったっけ、ああ。寝殿造りだ。


 中央の二層?二重の楼閣と、その左右に伸びる廊下、そして先端にちょこんと乗る楼閣。

 青空、緑の木々、泉の青に映える赤い柱。「癒し」の空間だわ~。


「ツカサー、ガイドしてー」

「ちょっと一休みさせて~」

 つかびれた。


「ゆっくりしていってね!ここは平安時代、天皇家の遊興施設として建てられた建物だ。

 平安時代の歌人が後世に残る句を詠んだ地でもあるんだよ」

「さいでっかぁ…」唄知らね。

 はっ!イカンイカン!ガイドの単位落とすー!ちゃんと聴かなきゃ!


「弘法大師や小野小町がここで雨ごいの歌を詠んだんだよ。

 あと、源義経と静御前がで会った場所だなんて伝説もあるよ」

「ははーっ!勉強になりましたーっ!」

「やぱりツカサ、コーキシン!」「こーきしん!」

 何故だか、恥ずかしい。


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 あろうことか、今夜の宿はこの堀川通の〇ライトンホテルだった!!

 温泉大浴場はないけど、最上級のシティホテル、お部屋のバスルーム快適ー!コスメも豪華!


 そして最上階の展望レストランで、ライトアップされた天下人洛中三大城や近隣の歴史建築を眺めてステーキを頂く―!は~幸せー!!

 あと、お酒はシャンパーニュ!!


「「うまうま」」

 グラ玉コンビは岩魚の塩焼き喰っても和牛ステーキ喰っても反応が同じだなあ。

 どっちも超幸せそうだけど。

「うんまー!」あ、グラちゃんシャンパーニュすンごく美味しそうに飲んでるけど

「お酒に国境なんてアリマセーン!」都合いーなー。

「でもコドーニュは最高デース!」コドーニュ…あ。スペイン高級カヴァね。

「コドーニュもおいしそう!今度一緒に飲もうね」「ジー(イェース)!」


 窓の外を眺めていたお延さん。

「どの時代にいるんだか解らなくなりそうですね」

「それが古都の良い所ですよ」

「時様と一緒だからそう思えるんですよ」

 何このオッサンとの熟年夫婦みたいな感じ。

 傍から見たら犯罪レベルな年の差なんですけど。


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 お部屋からも洛中三大名城が見える、贅沢ー!

 江戸東京の帝国ホテルもよかったけど、ここもステキー!


 窓際のベットでボヨンボヨンしながら夜景を眺めるこの贅沢さ。

 結婚するならこーいう所連れて来てくれる旦那様捕まえなきゃねー、ってお母さんが言ってたなあ。

 あ…オッサンは違うな。年離れすぎてるし。何者だかイマイチアヤシイし。


「こうして見ると色んな事が夢みたい」「来てよかった…」「美味しかったよねー」「ソーヨネー」


 みんな、何か吹っ切った様な顔をしてる。

 オッサンはまたしても日本酒か。しかも「聚楽第」って書いてある!

「あそこ。聚楽第のすぐ南にある酒蔵で醸してるんだ」

 こんな城の街に酒蔵が!


 あ。コドーニュ用意してある!流石オッサン!

「ワーオ!」よかったねグラちゃん!

 は~、泡が泡が!おお!オッサン注ぐの美味いなあ。


「ツカサ!バモサブリンダール(乾杯しよう)!」

 え?あ?はいはい!


「じゃカンパーイ!」「サルー!」

 ふぃ~。レストランもいいけど、みんなと一緒の部屋も気楽でいいわぁ~!

 シャンパーニュに、上級のカヴァ。贅沢バンザーイ!


「今が幸せで、これからの将来の危険にも手を打てるなら、それが最良だ。皆頑張ったしな」

「「「はい!」」」

 なんか打ち上げ?私は解んない。


「ツカサが幸せなら、私達もシアワセデース!」「その通りですよ?」「うん」「ねー」

「え?確かに、ちょっと単位取れて卒業できるか少ーし心配はあるけど…」

「それ本人の努力次第!」厳し!お次さん!

「司さんなら大丈夫ですよ」お延さん優しい!


「明日は…大仏様を参拝して、伏見に行こう」

「おお…琵琶湖からの城巡りは大坂まで続くんだったねえ。何か所回るんだろ」

「20近いかな?」


 思ったより多いよお次さん!


「大仏様ですかあ。何か、江戸大仏と京大仏を制覇した感じね」

 おお、二大仏制覇か!

「尤も何の役にも立ちゃしませんがねー」

 え"?お延さん毒吐いた?

「でも奈良にも鎌倉にも行きたいわね!」

 …お延さん?笑顔になったりダークになったり。やっぱ謎な人だな。


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 豪華なホテルは朝食も豪華だ。

「「んまんま」」そしてこのグラ玉の笑顔である。


 ホテルからすぐ近く、徳川二条城の裏で聚楽第の隣に、明治新政権になって建立された平安神宮へ。


 実は平安京の大極殿を発掘し復元した、京都博覧会の会場…

 うん、ややこしい。


 しかしこの立派な平安風の宮殿を参拝。

 応天門から内側、朝堂院と言われる区画を復元した、朱塗りの柱や梁、緑の瓦、玉砂利の地面に青い空が広がる、不思議な空間だ。


「竜宮城みたい」とは、珍しくメルヘンな事を言うお次さん。

 でもその通りだね。千年昔の貴族がいそうな空気を感じるよ。


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※神泉苑は、その池と敷地が一部だけ二条城の南に残ります。

 復元イメージはこういう感じです。鳳凰堂を横に倍にした感じです。

https://blog-imgs-120.fc2.com/3/d/k/3dkyoto/2018030217133880f.jpg


※実在の平安神宮は明治時代の博覧会に合わせて、本来の場所とは離れた地に半分に縮小して再現されたものです。

 しかし、日本の政治の中心だった建築を実感させる数少ない価値ある存在…

 ていうか!平安神宮と最近復元された平城京大極殿以外!日本の政庁って無いじゃん!

 それでいいのか日本の文化財!

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