【完結済】イカれた歴史で日本の名城ツアー?異世界チートで戦国史を狂わせ、ハーレム観光旅行します

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ガイド江戸東京の徳川遺産

1.ガイド江戸城その1 東京ド真ん中歴史ツアー

※本作は空想の歴史を書いたものなので、史実や実在の自称・人物・史跡とは全く色々微妙に異なりますのでゴメンナサイ。


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 二十世紀も終わりに近く、ここ日本の政都東京には連日世界から観光客が到着していた。

 私はそんな日本で、大学三年に進級を控えて卒業必修科目「観光ガイド」を履修すべく、これから日本中をどう回るか頭を悩ませている。

 ガイジンサ~ンに大人気の関西名所ツアーに絞るか、江戸東京らくちんツアーに絞るか、つくばハイテク観光…はちょっと理系の知識がないんでムリ。あとは全国点在観光地をリニアで巡る旅か。


 先ずは地元の東京を履修してから、東京か関西のどっちかに絞ろう。


 と思ってまずは江戸東京の中心地、小学校の頃から何回か遠足や社会見学で来た江戸城へやってきた。

 ビジネスマンが忙しそうに往来する丸の内ビル街に向かう。

  そしてその先には江戸東京の中心、江戸城への入口、大手門。


 この辺はビジネス街と同時に観光スポットでもあるんで、日本人よりガイジンさんの方が多いんだよね。

 時より私みたいなガイド科目履修者や社会見学、修学旅行の団体さ~んもいるけど。

 日本全国どこでもこんなデカいお城があるんだからわざわざ東京まで来なくてもいいんじゃね?って思いつつ、わちゃわちゃ歩く小さい子供を避けて大手門に向かう。


 …何だ?珍しく日本人の団体様?オッサン一人に美少女4人?一人はガイジンさんか、スゴい金髪のパツキン美女!

 え?スゴくオッサンにベタベタしてね?何あのオッサン?お巡りさんコイツです!って言っていいかな?まあどうでもいいか。


 で、見知った大手門だ。左右に真っ白い壁と、左手には門を見下ろす二層の櫓、その先にも、二層の櫓。この天下の江戸城のファサード…正面の石垣、門や櫓を残しつつ、その向かいはオフィスビルが並ぶファンタスティックな光景。

 トーキョーの過去と未来が並んで建つ、東洋の神秘ー!

 てかここら一帯高層ビルとか建てなきゃいいのにね。土地が高い一等地だから仕方ないか。


「いやー、よく持ってくれたよ三之丸!この辺焼けてたらここまで威圧感なかったよ」

 さっきの美少女侍らせオッサンが何か言ってる。んなもん焼けても建て直すに決まってんでしょ?ここはお江戸の正面玄関だよ?

「江戸城の門は下乗門以外はコの字型に囲わずに、わざと内側を開け放してるんだ。そしてその向こうには、あの櫓。右手に武器を持つ敵を左曲がりに誘導して、ガラ空きの左側を、あの櫓から討つんだ」

 へ~。詳しいじゃん。歴オタサークルの主?


「堀が広~い!太閤の城より広~い!」

「ここの石垣は低いですね」

「オー!後ろはオフィシナ(オフィス)、前はカスーリョ(城)!本当の時間旅行デース!」


 おー、歴サーの主ご満悦!…なんか反応が微妙に変だな。まあいいや。


「この辺は本当なら大手門以外300年前以前の大火災で焼けて、ただ木が茂るだけだった。あそこに聳える天守も一緒に消えちまったんだが…色々やっちまったなあ~」


 ?何言ってだコイツ?江戸と言えば江戸城天守、例え焼けてもみんな必死で建て直すでしょうが!


「だが反省はしていない!避雷針とスプリンクラーは鉄やコンクリより強いのだ!」

「やっぱり火は恐ろしいです!」

「ニホンジン、火事と雷に強いネ!」


 そりゃそうよ!16世紀末に世界初の避雷針と人力スプリンクラーを装備した日本の防火は世界一ィィィーっ!だよ?


「トキサンのオカゲね!」「でもずぶ濡れでしたよ」「狩野衆の衾も濡れて破れてしまいました」


 え?


「いやいや、焼けるよりマシだったでしょ?新人君が模写して新しく設えたし」


 え?


「太閤の天守も、奈良や京の大仏様もこの時代に残っているのは時様の御働きですよ」


 何?何言ってんのコイツら?

 何かの戦国武将ゴッコ?それにしちゃあ、オッサンふっつ~の格好だし。

 女の子達は、今様の和服だ。パツキン美少女は、お姫様だ。

 一体何者だこの集団?こんな集団でも観光客だったらオモテナシするのがガイドの生きる道か?


 ヤベ!やる気出ねー!

 私単位落として卒業できねー!就職もパーだよ!うひゃー!


「じゃあ天下の江戸城大広間と天守を見に行こう。この二之丸も凄いぞ?この櫓は地方の城の天守より大きいし」


******


 大手の櫓門を潜ると、目の前には中堀と、聳える純白、三層の櫓。


「窓の上下の出っ張りが、何か上品ですね」


「あれは長押って言うんだ。江戸城では二段になってる。

 あと軒瓦の下、軒先鼻隠と言うんだが、そこが黒い。三角の破風の内側、破風板が鱗の様な文様でここも銅板を貼って、黒く塗られている。

 これが江戸城の櫓の、上品で格式が高い装飾だ」


 このオッサン異様に詳しい、歴オタ親父だ。


 確かに目の前に白く輝く、二之丸入口の三層櫓は綺麗だ。

 正面にコの字に構える下乗門、左手に続く堀と石垣、その上には二層櫓と多門櫓が続いていて、大手門左右よりグレードアップした感がマシマシだ。


 スゴイよね、世界の大都会のド真ん中にある城では、クレムリン宮殿よりスゴイ。

 日本には赤の広場ないけど、皇居前広場あるし。でもあんな軍事パレードしないよね。

 そういや日本って大国なのに軍事パレード、いつの間にかどっかでひっそりやって終りだよね。何でだ?


 おっとあのハーレム二之丸に行っちゃった。う~む、気になる。新たな歴史ガイドの可能性が見えるような、違うような。まあいいや、付いていこう。


 と、目の前に聳える本丸の高い石垣の上に三層櫓、圧倒されるわー。

「これが台所前三層櫓、左手が遠侍三層櫓、その前にあるのが中御門。俺のころはこんな建物がなくてさ~。子供のころこれを見てたら鼻血噴いて倒れてたよ」


 どこまで城好きなんだこのオヤジ?!櫓の前に目の前の美少女に鼻血噴くだろフツー!


「時様は本当にお城が好きですね」

「お延のツッコミも何回聞いたかね~」

「ハポン(日本)の『オ城』アルテ(芸術)、イスパーニャでもマドレー(大人気)!」

「アッチでも歴史変えちまったしな~」

「そのお蔭で、幾万人もの命が救われたよ。伴天連が言ってた事をいたのは時様!

 伴天連がやった事は…その反対だったよね…」

「お玉!あんたは何も悪くないよ!」


 あ、なんか美少女同志が抱き合ってる。てぇてぇ…

 違う!

 一番小さい…胸はでっかい美少女がちょっと泣いて、笑顔になった。


 何言ってんだか。

 キリスト教の言動不一致なんて日本では常識。

 今でもマンガやアニメでは悪の親玉と言えばキリスト教っぽい教会だもんね。

 そのキリスト教とポルトガルを日本から叩き出して奴隷貿易を遮断したのは織田、豊臣、徳川三代。

 あのオッサンのお蔭?何かコイツら頭オカシイ?


※寛永期二之丸の櫓は三層ではなく二層なので、何かの理由で建て直されたのでしょう(スットボケ)。

※同様に寛永期二之丸と本丸の間には東照宮があったのですが(以下同文)。

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