物語の舞台

山門やまのと神軒かみのき

 遥か昔、秋月郷と呼ばれていた土地の一部。

 秋月郷は、土地神である秋月様(秋津霧加良姫アキツキリカラヒメ)が守護する土地を意味する。


●秋月神社

 秋月様を主神として祀る神社。

 豊矛様をはじめとする配祀神や、摂社や末社など、多くの神々が祀られている。

 景色が良く、川とその中州にある御神木の見える風景は名所になっている。


●豊矛神社 → 静熊神社

 豊矛様(豊矛神トヨホコノカミ)を主神として祀っていた神社。

 後継者不在となった時、豊矛様は秋月神社に遷り、配祀神として祀られた。

 それから年月が経ち、秋月雫奈が宮司となって静熊神社として再興させた。

 女神三姉妹──秋津静奈姫アキツシズナヒメ秋津結茅姫アキツユカヤヒメ秋津狛音姫アキツコマネヒメが祀られている。

 配祀神としてだが、豊矛様も再び祀られるようになった。


●中州の御神木

 豊矛神トヨホコノカミの御神体。

 人々が御神木として崇めることによって、豊矛様の力となっていた。

 神軒町のシンボルだったが、老朽化により三分の一ほどを残して倒壊し、豊矛様の力が失われた。


     ───◇◇◇───


現世うつしよ幽世かくりよ

 現世うつしよは、広大な宇宙を含む物質世界、現実世界のこと。

 幽世かくりよは、天界や魔界を含む神や妖の世界、精神世界のこと。


 現世と幽世は、合わせ鏡のように、または重なり合うように存在している。

 現世には可能性の世界『並行世界』が幾層にも重なり合っているように、幽世も共通認識で紡がれた精神世界「隔離世かくりよ」が幾層にも重なり合っている。


現世うつしよ

 空間と時間、物質に支配された世界。物質世界。現実世界。

 現在の幽世が生まれる前の、以前の幽世が崩壊した残滓とも言われている。

 物質は、エネルギーが変質した姿だとも。

 だが、その真実を知る者は存在しない。


幽世かくりよ

 当初、幽世は混沌カオスの世界だった。

 そこには正義も悪もなく、時間も空間もない。

 何処かより押し寄せるエネルギーによって作られた世界と言われている。


 そのエネルギーを管理、もしくは消費せねば、世界は崩壊する。その認識が世界に意思を生み出した。

 その意思は、世界を崩壊から救う方法を模索する。長く模索を繰り返すうちに、意思が分裂を始める。


 やがて意思は、現世の存在に気付く。

 現世を利用すれば、世界を崩壊から救える確率が上がると導き出されたことで、世界樹システムが構築され、現世の物質と結びつく意思を持ったエネルギー「魂」が生み出された。

 また、世界樹システムが構築された隔離世は、現世の陰に隠れた世界という意味を込めて「隠世かくりよ」と名付けられた。


 幽世かくりよで無数に分裂した意思たちは、互いの主張をぶつけ合い、争い始めるようになった。

 我らこそが世界に秩序と安定をもたらす神であり、世界を滅亡へと導く意思は悪だと断じて追放した。

 その結果、法と秩序を重んじる世界、いわゆる「天界」と、追放された意思たちが集う「魔界」という隔離世に分かたれた。


隔離世かくりよ

 共通認識を持つ意思モノたちにより隔離された世界。絆の世界。

 絆で結びついたモノ(世界の存在理由を満たすもの)のみが活動できる世界。

 大きいもの(活動できるモノが多い世界)には、神々の世界である天界や、悪魔の世界(制約無き混沌の世界)である魔界などがある。

 現世とリンクする世界樹システムの世界「隠世かくりよ」もそのひとつ。

 個々の世界である視界も、隔離世のひとつということになる。


隠世かくりよ

 魂の分解と再構築が行われる、輪廻転生とエネルギー管理を司る世界樹システムの世界。

 魂は現世の物質と結びつき、幽世の余剰エネルギーを現世へと運ぶ。

 現世の陰に隠れた世界という意味を込めて隠世かくりよとされた。

 隠世には、世界樹システムの管理を行う意思──管理官が常駐している。


 システムに悪影響を与えるであろう異常をきたした魂(ニギミタマ、アラミタマ)の隔離場所として、隠世から派生した隔離世──天国と地獄が作られた。

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