復讐を誓い転生したら仇の右腕になってしまった~最強になって内部から復習してやる
@yoshiyanosyora
第1話 最高で最悪のやり直し
家族が死んだ。
幼馴染も死んだ。
同じ村の人たちも死んだ。
そして俺も死んだ。
何十年も前から続いている人間と魔族の戦争。僕たちの村はその戦争地帯から離れた場所にあり、これまで戦火にまかれることはなかった。そのため、戦争中でありながらそれなりに楽しく暮らせていたと思う。村人の数もそこまで多くないので、食料に困ることもなかったし、のどかに暮らせていた。
しかしそれは、ある日突なくなった。
魔王軍の一部が僕たちの村を襲いに来たのだ。
僕たちは必死に抵抗した。
それこそ、最初は若い男が農具をもって戦っていたが後に、女子供かかわらず戦わなくてはならないほどに。
だがなりふり構わず戦ったからといって、常に戦場で戦っている魔族と、のんびり暮らしてきていた人間とではたとえ量で優っていても、勝負にならなかった。
結果、あっけなく全滅した。
魔王軍は意図してか知らないが、僕の目の前で幼馴染と家族を殺した。そして最後に僕が殺された。
許さない。
僕の家族を殺した魔族を。
僕の幼馴染を殺した魔族を。
僕の村を壊した魔族を。
でももう復讐すらもかなわない。
僕は体から力が抜けていくのを感じながら魔族を呪った。
目が覚めると僕は見覚えのない部屋にいた。
とてもきれいで白を基調とした部屋だった。まるでこの世のものとは思えないほどに。
「そうでしょう。なんせこの世のものではないのですから。」
「?!」
突然の言葉に驚き僕は周囲を見回した。
なんだ?誰の声だ?そもそも僕は魔王軍に殺されたはず。なぜまだ意識があるんだ?
ここは死後の世界なのだろうか?
「半分正解ですね。あなたの肉体は確かに死にました。しかしあなたの精神はまだ生きているのです。もっともこのまま放っておけば死ぬのは確実ですが。」
僕の心を読んで、あざ笑うかのように声をかけてくるこいつに少しムカッとしたが、情報が少なすぎるためもう少し情報を得ようと思い、続けてみる。
「フフッ、申し訳ありません、調子に乗りすぎましたね」
「ここは私の部屋です。死んだあなたの魂を呼んだのです。あなたは転生者に選ばれました。」
転生者?
選ばれた?僕が?なぜ?
生き返ることが出来るってことか?
「あなたが選ばれたのは偶然ですよ。くじに当たったようなものだと思ってください。」
「あー、あと生き返るのとは少し違いますね。あなたの魂を再利用して新しい体に入れる感じですねー」
「つまり記憶は残ったままってことですよー」
なるほど、記憶を残したまま新しい体に生まれ変われるのか。それは好都合だ。
「好都合?」
そりゃそうだ。死ぬ前の身体じゃ復讐が出来ないからな。
「なるほど、復讐をご所望ですかー。いいですね・・・そんなあなたに二つの千九市がありまーす。」
選択肢?
「一つは転生先を選べる代わりにどのような能力が与えられるかはランダム、もう一つは好きな能力が手に入る代わりに、転生先は選べません。どちらがいいですk」
後者一択だ。
「・・即答ですか。理由を聞いても?」
そりゃ、復讐する力さえ手に入れば、それでいいさ。
何者になってでも必ず復讐を果たしてやるさ。
「・・・いいですねー、その顔。あなたが転生して何を果たすのか、とても楽しみにしてますよ」
「では、どんな能力をご所望ですか?」
それは・・・
「・・・フフッ。あなたは本当に面白いですね。では転生先での幸運を祈っておりますよ。」
言われなくてもやってやるよ。俺の大切なものを奪った魔王軍を必ず滅ぼしてやる。
「お前は余の右腕になる男じゃ。励むのじゃぞ」
誰だこいつ?俺の新しい体の母親か?
「魔王様、まだ赤ん坊ですので気が早いのではないですか?」
「いや、こやつの力はすさまじいものじゃ。余にはわかる。」
え・・・・・
まおうさま・・・・・・?
俺は魔王の右腕として転生してしまったのか?
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