嗅愛系ヒロインはアナタの臭いがお好き
御都米ライハ
プロローグ
(補習から教室に返ってきたアナタはクラスメイトがアナタの使い終わった体操服の臭いを夢中で嗅いでる様を目撃する)
「すぅぅぅぅー、はぁぁぁぁ」
「すぅぅぅぅー、はぁぁぁぁ」
「ふぅぅ、この鼻の奥に来るような臭い……たまらない……。ふぅぅぅぅ」
「あぁ、ダメダメ。いつ彼が教室に戻ってくるか分からないのに、こんなことしてちゃ……」
「で、でも、後少し、後一嗅ぎぐらいなら……」
「はぁ、はぁ、はぁ、すぅぅぅぅ、はぁぁぁぁ」
「すぅぅぅぅぅぅぅぅ」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「あーダメ、ダメダメ、我慢出来ない。こんなの手放すなんて無理だよぉ」
「はぁ、はぁ、はぁ、すぅ、すぅ~~、はぁぁ――ッ?!」
「へ、あ、き、キミ、いや、その、ち、ちがっ、こ、これはぁっ」
「あ、待って、真顔で『どうぞごゆっくり』とか言って扉を閉めないでぇっ」
「こ、これは違うのっ。べ、別にキミの体操服の臭いを嗅いでたとかそういうわけじゃなくてっ」
「そ、そうっ、異臭がしたから臭いの元を調査してただけなの。こう鼻の奥に突き刺さるような感じの臭いがここら辺から漂ってきて……」
「ほら、私は委員長でしょ? クラスの中の危ないものは捨てとかなきゃだし……」
「…………」
「……………………」
「……………………な、なんか言ってよぉ」
「どうせ私が何をしてたのかも分かってるんでしょぉ」
「うっ、そこで惚けるの止めない? わざわざ私に言わせる気ぃ?」
「う~~、う~~、う~~~~」
「そ、そうですぅ、キミの体操服の臭いを嗅いでましたぁ」
「キミのっ、汗が染みこんだっ、体操服のっ、臭いをっ、嗅いでましたぁっ!」
「ふーっ、ふーっ、こ、これで満足っ? 私に恥ずかしいこと言わせて満足?! この変態っ、淫獣っ、屈折性癖野郎ぉ~!」
「へ、あ、いやぁ、キミがいない間にキミの体操服を無我夢中で嗅いでる私の方が変態かもしれないけどぉ」
「あはは、あはははは…………はぁ」
「うぁぁぁぁ~~~~っ!!」
「どうしよ、どうしよ、どうしよぉぉっ。私の馬鹿馬鹿馬鹿っ、最初にちょっと嗅いだだけで満足すれば良かったのに~~っ」
「もう駄目、終わった。残った1年以上の高校生活は、臭いフェチの変態として後ろ指刺されながら生きていくことになるの……」
「うぅ……ひっく、ひっく、うぇぇぇぇ」
「キミもごめんねぇ、ひっく、勝手に体操服の臭いを嗅いでぇ。ひっく、ひっく、もう駄目だぁ、嫌われたぁ、うぇぇぇぇ」
「ふぇ? ハンカチ? あ、ありがと……ずび、ずび、ずびぃぃっ。ひっく、ひっく、ぅぅぅ、ふぅ」
「ずびぃぃぃぃっ」
「ふぅ……。落ち着いたわ。あ、このハンカチは洗って返すね。え? いや、洗ってから返すって。その……鼻水とかついてるし、オンナノコとしてはあまりオトコノコに渡したくないっていうかぁ」
「なっ、確かにさっきは絶対見せちゃいけない痴態を見せちゃったけど、私にだって乙女の矜持はありますぅ~」
「なによぅ、その呆れた顔はぁ。やめてぇ、そんな冷たい目で見ないでぇ……」
「だって、だって我慢できなかったんだもん。す――素敵な臭いがしたから」
「う、うるさい。そうですよ、私は変態ですよーだ。でも、しょうがないじゃない。キミのことが……キミの臭いが好きなんだからぁ」
「…………ねぇ、キミ。1つお願いがあるんだけど」
「今日のことを黙っててっ」
「そりゃ、どの口でとは私でも思うよ? 勝手に体操服の臭いを嗅いでた私がこんなこと言えるわけないって分かってるっ」
「でもっ、お願いっ! 誰にも言わないでっ」
「代わりに勉強教えて上げるからっ」
「キミ、ついさっきまで補習を受けてたでしょ? 先週の期末テストの」
「勉強苦手なら、学年1位の私が家庭教師をするのは悪い提案じゃないとは思うの」
「だから、ね? お願い! 誰にも言わないでっ!!」
「……………………ほんと? ほんとにほんと? 黙っててくれるっ?」
「ありがとう!! やった、これで明日からも普通の学校生活が送れるっ」
「それじゃそれじゃ連絡先を交換しようよっ。連絡取りやすいようにっ。ほらほら、スマホ出して出してっ」
「……よしっ、これでオッケーっ。んふふっ、やったやったっ」
「ねぇ、キミ!」
「これから、よろしくねっ!」
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