第4話
さて、
超進学校の文化祭とやらは、秋にやるものらしい。が、
何となく、いつもの三人で、文芸部の展示を見に行く。
もちろん、原稿は提出したが、それだけである。とっとと、文化祭配布用の部誌だけ貰って帰るつもりであった。
「あいつ、すげえな…」
級友の秘密を知ってしまった。
休み時間には、友人とギャグ漫画について、熱く語っていたあいつ。なんと幼少期に、詩人のT川S太郎氏に「この子は凄い」と褒め称えられ、地元にはその詩が記された石碑まであるとのこと。いや、そもそもそういう催し物であったとしても。
「え、あの国語の教科書に載っている人?」
ミーハーな
「クラスに本物の文豪がいたのか…」
手元の冊子を見つめる。そんな凄い人と私の駄作が一緒に並んでしまった…。恥ずかしい。ただ、恥ずかしい。胃のあたりが、きゅうとする。
「気にしなさんなって、
「その話なら、知っている。詩の素晴らしさと、作家の私生活は別物だということさ」
「だったら、坂木君も一緒だね」
ふわっと微笑む石矢君。
「ん?」
眉間に、しわを寄せる。
「しかし、強豪校に、凄い子が来るのって、少年漫画だけじゃなくて、現実にあるんだねえ」
「本当にな…」
呆けていると、石矢君の家族に発見されてしまった。開口一番、「ミレイちゃんをどうするつもりなの?」と、首根っこ捕まれた。それは、誰のことかと返すと、周囲から「坂木、酷い」「坂木君の人でなし」と散々、罵られた。石矢君が、冊子を開いて、拙作を見せつけてくる。
「こんなちょっとアレな性格の美少女と、赤ちゃんだけで旅に出すなんて、人でなしだよ」
石矢君は、ご立腹である。
「そうね、お目付け役が必要です。もう少し、常識的で、腕っぷしの強そうな子を連れていかないと」
「はあ…」
何故か、編集会議が始まる。まあ、内容は、まわりが勝手に決めてくれるので、楽ではあった。
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