第113話 【番外編:オリバー様の聖なる日】

僕は…ウィリアム公爵家次男のオリバー。

よくみんなから眠たいのかと聞かれるけど、

そうじゃ、ない。


それから、いまは…学園に通いながら

好きな魔法の研究をしてる。


僕、好きなものに集中しちゃうから。

魔法を研究してたら…

いつの間にか賞をいろいろもらってて。


魔道士協会から

「将来は次期協会長に」と話が来てる。

僕は…魔法の研究ができれば、なんでもいい。


そういえばっ…

好きなものが、最近もうひとつできた。


それは、ワトソン伯爵令嬢の…

ニコル嬢が作ったお菓子。


僕は甘党だから。

でも、あんなにおいしいお菓子は…

初めて食べた、とおもう。


従兄弟の殿下から「ニコル嬢の魔法指導をしたあかつきには、とんでもなくうまい菓子がもらえるぞ。」と言われて…


引き受けてみた、けど。

引き受けてよかった。


今日は聖なる日だからかな?

ニコル嬢から、プレゼントが届いた。

わくわくする。


―――カサッ…


「あっ…これ、この間言ってたお菓子…?」


メッセージカードを見てみたら

「オリバー様、聖なる日おめでとうございます。いつもありがとうございます。これはジンジャークッキーとブッシュドノエルです。健康や幸せを願うお菓子なんですよ!では、良い時間をお過ごしください。」

と書いてあった。


お菓子に、意味があるんだ…

とっても、おいしそう。


ニコル嬢の作るお菓子は、

おいしいだけじゃなくて、

いつも…あったかい味。


あと…魔力も、あったかい。

ニコル嬢の心が、あったかいのかな?


「ふふっ。お返しは何にしよう?」


女神様みたいにとびきり綺麗なのに、

料理も、勉強も、開発も、できるのに…

魔法は苦手。


不思議な子。

僕、不思議なこともだいすき。

あ、そうだ、お菓子……


―――がぶっ…もぐもぐもぐ…


うん、おいしい。

やっぱりとってもおいしくて…

あったかい味。

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