第105話 試験合格パーティー

―――そして、翌日の放課後。


「では、私たちの試験合格とオリバーの功績を祝して…乾杯!」


約束通り、サロンに集まった殿下とライラ様とオリバー様とわたしの4人は

殿下の掛け声に合わせて乾杯をした。


「では、こうしてわたくしの試験合格のためにご協力くださった皆様へのお礼の品をお出ししますわ!」


わたしはそう言うと、バスケットから

昨日作ったお菓子とパンを次々に取りだし並べた。


「わぁ…!モンブランだ。他にも…新しいお菓子?」


「おお…おまえまた見たことないもの作りだしてきたのか。相変わらずすごいな。」


「まぁ…!こんなにたくさん作ってくださったのですか!楽しみですわ〜!」


目の前の3人は、驚きと共に、

早く食べたくてウズウズしている様子だった。


「ぜひご遠慮なく、お召し上がりください!」と声をかけると、

高貴な方たちとは思えぬ勢いでケーキとパンに手を伸ばしてくれた。


「んんっ…モンブランもすきだけど、アップルパイ…と、チーズケーキも、おいひい。ニコル嬢のお菓子、だいすき。」


―――聞きましたかみなさん。


"だいすき(お菓子が)"ですって。

大天使オリバー様が、もぐもぐしながらそんなかわいいことを言うものだから、危うく抱きしめて全身骨折させてしまいそうになる。


「うん、美味いな!特にパンが気に入った。こうして中に具をいれるとこんなに美味いのだな…おい!もし余りそうなら譲ってくれ。父上と母上もおまえの作ったものを食べたがっているんだ。」


平気でこんなこと言うのは殿下である。

いつもながら突拍子もないが、家族が仲良くて微笑ましいので…あとであげるか。


「お菓子もパンも新しい味わいで、とっても美味しいですわ!そしてこのミルクティー…ニコル様がご用意するとどうしてこんなにも味が違うのでしょうか…」


ご令嬢とは思えないほどの胃袋を持つライラ様は、見ていて気持ちの良い食べっぷりだ。

さすがお茶会友達。お茶にもこだわっていることに気がついてくれた。



『みんな喜んでくれてよかった!』


わたしも前世以来のアップルパイとチーズケーキに手を伸ばす。


しんなりシャクっとしたリンゴとカスタードの組み合わせ…パイもサクサクしっとり、バターの香りが良い。


濃厚なクリームチーズに生クリームとヨーグルトのまろやかさを感じるチーズケーキは、

タルトの香ばしさと相性バッチリだ!


『ん〜!!我ながら天才っ……』


こうしてわたしたちはティータイムをしながら……


試験の出来や全体結果予想などの会話も楽しみつつ、試験終わりのプチパーティーを楽しんだ。

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