第85話 【番外編:バレンタインデー 2 】
《カレンとアルバートの場合》
「あ、あの!殿下…今日はバレンタインデーという日でして…女性はその。素敵な殿方にチョコ菓子を渡す日なのです!わたくしが作りましたの!どうか受け取ってくださいませ!」
カレン侯爵令嬢は、まだ婚約者候補の身であるためハッキリと思いを告げることは出来なかったが…昼休みの庭園で、アルバート殿下に精一杯気持ちを伝えた。
「あ、ありがたく受け取る。嬉しい。
じ、実は私もカレン嬢にチョコ菓子を作った。それから、この花束を…」
嬉しくてニヤケそうになる顔を真顔に保ちつつ、そっぽを向くアルバート殿下は…
カレン侯爵令嬢からの包みを大事そうに受け取ったあと、今度は自分の包みと花束を渡した。
「とても綺麗で…いい香りがいたします!」
その後2人は…
恥ずかしそうに見つめ合い、笑いあった。
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《ニコルの場合》
『うん!家族にも屋敷のみんなにも本命チョコを渡せたし!クラスメイトのみんなにも"友チョコ"を渡せた…王子には義理チョコ渡し済み。よし、あとは流行ってくれ!』
もらった側の感動的な想いなどつゆ知らず。
まるで配達業者のように一日中チョコを配りまくっていた。
『しかし、ミラ様とライラ様がチョコを渡したい相手はまさかの自分だったとは!美少女からチョコをもらえるなんて最高だね!』
相変わらず呑気なものである。
とにかくこうして無事に、はじめてのバレンタインデーは幕を閉じた。
―――その後。
お貴族様たちの流行の広まりの速さは
やはり尋常ではなかった。
ニコルの侍従や交友関係、学園を飛び越え、
ジワジワと一般市民にまで広がり…
2月14日のバレンタインデーはこの国の毎年恒例の行事となった。
そしてチョコ菓子の種類も増え、
各商店のバレンタインデー商戦は激化していくのであった。
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