第77話 家族会議
「なにぃー!!??そんな事があったのか!?」
今日のライラ様とのひと騒動を知ったお父様は、激怒していた。
『う~…秘密にしてって言ったのにぃ…』
家族で夕食を食べている最中、
お兄様は、お父様にしっかり報告してしまったのだ。
お父様は怒りが収まらないらしく、
相手は侯爵令嬢にもかかわらず
「抗議文を出すぞ~!」と意気込んでいる。
「お、お父様!確実な証拠はありませんし、
実際に商品自体に虫が入ったわけではありませんから!大丈夫です。わたしにお任せください!」
わたしがそういうと、
今度はお兄様が怒り出す。
「だめだよ、ニコ。実際にライラ様の袖から虫もどきが入ったビンが転がってきたじゃないか。それが何よりの証拠だよ。これは立派な営業妨害なんだから…」
2人にそう言われると、言葉が詰まる。
分からなくもない気がするけど……
でも始まったばかりの学園生活。
『できれば波風立てたくない…』
―――「まぁまぁアナタたち。」
わたしがそう思っているのを感じ取ったのだろうか、ここでお母様の助けが入った。
「ニコがこう言っているのですから。その後の事も考えての事でしょう。子供…ひいては女性の世界はなかなか複雑なのですよ。」
お母様はそう言うと、
今度はわたしの方を見つめた。
「ニコ。なにか自分なりに考えがあるんでしょう?ひとまず来週からの先方のご様子を見て、何も反省がなく、ニコの対応策も無意味なようでしたら…その時はすぐに!必ず!
ご相談なさい。」
正直、最初に言った「お任せください」は口からでまかせで、まだ対応策という対応策は思い浮かんでいなかったものの…
この流れに乗っからせていただこう。
「はい、お母様。寛大に受け止めてくださってありがとうございます。お父様もお兄様も、わたしのためにありがとうございます。
打つ手がなければその時は…相談します。」
わたしが深々と頭を下げると
お父様とお兄様は「まったく…」と
観念したように息を吐いた。
お母様はニコリとしながら頷いたあと、
「ダメなようならばその時はもう煮るなり焼くなり好きにさせていただくわね!」と
シャンパンを飲み直している。
『サ、サラリとお母様が一番コワイこと言ってる…目の奥が笑ってない…』
もしかして、"娘が慈悲を1度与えたのにそれを無下にしたので消しました"という、
最もえぐいコースを狙った上での助け船ではないですよね?
たのむから、あなたの命のためにも
始業日までには反省しててくれよ…
ライラ様…
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