第36話 異世界でととのう

「ふわぁ~!ととのったぁ~……」


わたしは今、

とてつもない至福を感じている。


そう、誕生日プレゼントとして作ってもらった"サウナ"を堪能しているのだ!


前世は風呂なしボロアパートだったため

銭湯に通っていたのだが、

その時に体の疲れを癒すためサウナに入っていた。


まさか異世界でマイサウナを手に入れることができるとは…涙ものである。


先日の誕生日パーティーでお披露目会をしたサウナ。

初めて完成系を見た時は、嬉しくて思わずお父様に抱きついてしまった。


短期間で作り上げてくれた職人のみなさんにも感謝の気持ちでいっぱいだ。


邸内の離れに囲いをつくり、

そこに用意されたサウナ小屋。

広々としていて10人は入れそう。


ちなみにこのサウナは

魔石であたためられている。

すごいなぁ魔法の世界!


小屋に入るとシャワー室があって、

その先にサウナ。

またその先に水風呂があって、

外に出ると広いデッキにつながっている。


フルーツ水も用意されているし、

外気浴までの動線も考えられていて

最高!いや、完璧だ!


―――そしてとなりには。



私の手作りのサウナ着と、

サウナハットを被った麗しい両親とお兄様が

ととのいイスで蕩けている。


「おおお…何だこの感覚は。邪念が飛ぶ。

フワフワとして力が入らない。」


「なんだか風と一体になって…

なんとも言えない気持ちよさだわ…」


「ぼくも…灼熱に蒸らされて、冷水で締められてどうなるかとおもったけど…新感覚です。」


3人共バチクソにととのっていらっしゃる…


しかし容姿も高貴すぎて、

ととのっている姿でさえ神々しい。

ここが高級なエステサロンにも見えてくる。


なんだか不思議な光景だ。

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