第27話 娘の誕生日プレゼント 2
もっとこう……
せっかくだから別荘だとか、
ドレスだとか、そういうのを思い浮かべていたんだが。
でも、サウナとやらは一緒に楽しめて健康になれるわけだ。
―――うん!娘との一緒の時間…楽しみたい!よい!
納得したところで、娘の熱弁は止まらない。
「頭と体の疲れも吹き飛び、精神もととのい、なんとも言えない素晴らしい感覚を味わえるのです!この蒸湯を終えた後に冷えたミルクを飲むのが醍醐味です!」と、珍しく興奮している。
と、ととのう?
説明を聞いていると、
なにかの宗教や儀式ではないか少し心配になってしまったが、ものすごい勢いで否定された。
結局、サウナとやらの正体はわからぬまま了承してしまったのだが。
その後、娘は自ら設計図を書き、必要最低限の費用で済むよう調整までして、大工に発注をしたそうだ。
…え、天才ではないだろうか?
…見た目もあんなに愛らしいのに?
…うちの子、天才でもあるの?
っと、あ、いや。そうじゃなくて。
とにかく!
健康だの、体の疲れだの、湯だの…
子供にしては興味関心事がしぶすぎるのである。
急に大人びた話し方をし始めるし。
本を読み漁っては畑を耕し、
自ら野菜を収穫してはレシピまでつくる。
(知らない料理ばかりだが、それがまたうますぎる!)
少々、淑女としては心配になる時もあるし
急な成長ぶりが寂しくもあるが…
まあ、
いままでは病弱で外にも行けず閉鎖的だった娘だ。
徐々に活動範囲も広がり皆も喜んでいる。
楽しそうに生き生きと過ごしてくれるならば
それが1番わたしたちにとって幸せなことだ。
そう思ってわたしは、
庭で『なわとび』とやらに励む娘を眺めながら、
これまた娘が淹れてくれた
渋い茶を味わいながら頬を緩めた。
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