第24話 誕生日プレゼント 1

―――この世界に来て7ヶ月目。

夏が来た。


不思議なもので、前世とこの世界は

時の進み方も暦も一緒だ。


日に日に暑くなっていく中、夏バテにならないように、今日の夕食メニューは"オークのしょうが焼き"にしてもらった。


オークは豚肉と遜色なく、とってもおいしい!


にんにくも使ってるからスタミナがつきそうだし、この料理はみんなにも好評だ。


前まではベッドで食事をとっていたわたしだったけど、いまでは家族と一緒に食卓を囲んでいる。


お父様のお仕事の事や、領民のお話、お母様のお茶会での出来事、お兄様の学校での出来事を聞けるので楽しい。


わたしももちろん、一日の出来事を報告していて、みんながそれを嬉しそうに聞いてくれる。


そんなこんなでいつもどおり食べ終わって

紅茶を嗜んでいると、質問があった。


「ニコ、来月は誕生日じゃないか。

11歳になるんだなぁ……感慨深い……

そうだ!何が欲しい?

今年はニコが健康計画で頑張ってるからな!

お父様がなんでも叶えてやるぞ!」


はっ……

そうか、そうだった!


健康になることに夢中になり過ぎて

誕生日の事をすっかり忘れていた。

前世でも忙殺されてて何もしてなかったし…


とりあえず期待でいっぱいの目で

お父様とお母様とお兄様がこちらを見ている。


『す、すごい……めっちゃ張り切ってくれてる』


でも、わたしの欲しいものは費用がかかりそうだし、大掛かりで大変な気もする。

ワガママすぎるというか、贅沢だろうなぁ…


頭にうかべているのは、

前世でもハマっていたアレなんだけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る