春の夜、君と浜辺で手を繋ぐ。
嶺葉
第1話
君と他人になった日の夕方。
口に含んだ清涼菓子。
小さくなった塊を歯で噛み砕く。
鼻に抜ける、スーッとした冷たい感じ。
この味も、
この道も、
君との思い出がありすぎる
随分と、居心地が悪くなったもんだ。
ここから見える景色はいつもと変わらないのに。
街の、営みは今日も明日も明後日も
続いていくのに。
僕らの関係が変わっても、刻は待ってはくれない。
地球は回り、太陽が昇る。
人々は活動し、やがて夜がくる。
月と星は僕に聴こえないぐらいの声で会話する。
いつもより、この塊が、苦く。
そして熱く喉を通り越しているのは
僕の気のせいだろうか。
春の夜、君と浜辺で手を繋ぐ。 嶺葉 @kokoruri
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