第6話 トーナメント戦、始まる。
「…あの、ありがとうございました。他の方たちから私を守って
下さったんですよね?」
「あ? 俺はやりたい事をやっただけだ」
公開フェラ〇オが終わり、二人はセクスの控室で喋っていた。
「私、メメイって言います。…人間とゴブリ族の…ハーフです」
「やっぱりか、ゴブリ族のハーフとはかなり珍しいな」
混血というのは普通、強い別種同士がより強い個体を作り出す為にすること
である。人間よりも弱いゴブリ族を混血の対象とするのはありえない。という
のが定説だった。
「はい、それで珍しがったここの闘技場のオーナーに騙されて奴隷にされました。
その後は散々弄ばれて、そして飽きたからとここの掃除婦に…うう…」
「あぁもういい。嘆いたところで過去は変わらん。それより、
お前は今は俺のもんだ。もう他の男の相手はするなよ?
言い寄ってく奴がいたら俺に言え。ぶっ殺すから。いいな?」
「は、はい!! そうします!! では私は掃除の続きをしてきますね」
暗い顔をしていたメメイはパァと一気に明るくなる。そして何度もセクスを
チラチラと見ながら去って行った。
「うむうむ。これでトーナメント中、退屈しなくて済みそうだ。ぐふふ」
セクスは鼻歌を歌いながらベッドに横になった。
****************
――しばらくして、魔法スピーカーから声が響いた。
《セクス様、第一試合が始まります。闘技場の方までお越しください》
「ん? 俺の番が来たか。じゃあ一丁やってやるか」
セクスはベッドから跳ね起きると、闘士の待機場へ向かった。
一方その頃、リタとココットは観客席でセクスの試合が始まるのを待っていた。
「大丈夫かな…セクスさん」
「問題ありません! セクス様ならすぐ優勝です!!」
「リタちゃんのセクスさんへの信頼度高すぎでしょ…。でもまぁ
魔族を一撃で倒した実力があるんだし、いけるよね」
《皆様お待たせいたしました。次のトーナメント戦の準備が整いました。
第一試合、セクス闘士VSゲスール闘士の試合を執り行います》
わあああああと大歓声と共に中央の円形の舞台の両端の扉が開く。
そこから片方からセクスが、もう片方からゲスールと呼ばれた男が出てくる。
「あ、出てきた!! セクスさーーん! がんばってくださーーい!!
もし負けたら明日からは野宿なんですからねぇ!!」
「……」
「ど、どうしたの? 応援しないの?」
「……ココットさん、不味いかもしれません」
「え」
セクスは舞台の中心に向かって歩く。今いる中央の円形の舞台が吹き抜けになっていて、その舞台を見下ろすように観客席が並んでいる。
「アイツらちゃんと俺に賭けただろうな?」
セクスが中央まで行くと、相手の男が額に青筋を立てて睨んでいた。
「てめぇ…よくもやってくれたな」
「あ? 何の事だ?」
「しらばっくれるな!! あのゴブリ族の女奴隷を横取りしたのは
お前だろが!!」
セクスの相手はメメイと揉めていた男だった。
「ああ、アンタか。いくら奴隷のあいつでもアンタみたいなムサイおっさん
より、俺のようなイイ男の方がいいってよ。残念だったな」
「ぐぎぎっ!! ぶっ殺してやる!!」
《それではルールを説明します》
アナウンスと同時に地面から武器が並んだ棚がせり上がる。
《無制限の一本勝負。反則なし。武器、魔法の使用は自由です。相手を殺すか、
無力化させれば勝ち。ギブアップでも可です》
セクスは自前の剣をスラリと抜いた。相手のゲスールは武器棚から鉄のハンマーを
握りしめて構えた。
《それでは……はじめ!!》
ジャ~~~~~~ン!!という銅鑼の音が鳴り、大歓声が響いた。
「うおりゃあああああああ!!」
ゲスールがハンマー振り上げながら突進してくる。
「さてと、どうするかな…」
「もらったあああああ!!」
ゲスールがハンマーを振り下ろす。しかしセクスはヒョイとそれを躱す。振り下ろしたハンマーをゲスールは、そのまま横にフルスイングする。だがこれもセクスはシュッと屈んで避けた。
「くっ、この野郎!! 逃げんじゃね!!」
「わははっ!! そ~ら、こっちだこっち」
ゲースルの攻撃をセクスはヒラリヒラリと避けていく。その様子を観客席にいる
ココットはやきもきしながら見ていた。
「な、何してるんですか? セクスさんは…」
「おそらくオッズの操作をしてるんだ思います。一回戦はお互いのオッズは同じ
ですが、試合の内容で次から変化します。セクス様は自分をあまり強く見せな
い様にして次のオッズを吊り上げようとしてるんです」
「せ、せこい…」
舞台ではセクスを追い回していたゲスールの動きがだんだんと鈍くなっていた。
「ぜぇ…ぜぇ…ま、待ちやがれこの…」
「ふむ、そろそろかな」
セクスは逃げ回るのを止め、ゲスールの元に駆ける。
「…!! う、うおりゃ!!」
ゲスールはハンマーを振るも力の入っていないフラフラの攻撃がセクスに
当たるはずもなく…。
「はい、じゃあご苦労さん」
懐に入ったセクスがゲスールの顔面にパンチを放った。食らったゲスールは目を回し、バタリと倒れてそのまま気を失った。腕を上げセクスが勝利を宣言する。が、余りに盛り上がらない試合内容に拍手はまばらで所々でブーイングが起こっていた。
「うむ、狙い通りである」
セクスはわははと笑いながら舞台を去って行く。
「ココットさん、セクス様の元に参りましょう」
「え、あ…うん」
2人は席を立ってセクスの元へ向かった。
「――よう、お前ら。作戦はバッチリだ。次の俺の試合はガッツリ賭けろよ」
「はぁ…一回戦は無事に勝ったみたいですね。おめでとうございます」
「当然だ。俺があんなおっさんに負けるわけがないだろ」
「いや、でもリタちゃんが何かこのままじゃ不味いとかなんとか言って…」
ココットがリタの方を見ると少しムッとした顔をしながらセクスを上から下まで
見ている。そしてやれやれといった感じで小さなため息をついた。
「…セクス様。ヤりましたね?」
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