この英雄、色を好みすぎる！！

第4話 英雄、旅立つ

「の、呪い！？　セクスさんて呪われているんですか？」

「ええ、「セッ〇スをすれば死ぬ」呪いよ」

「……は？」

ルルティミシアの言葉にココットが目を丸くする。

「だからアイツ、セッ〇スすれば死んじゃうのよ。私がその呪いを

　掛けたの。だってあのままだとこの国も私の可愛い部下たちも

　無茶苦茶になってたし。それに貴方だってセクスの元に行って

　貞操が無事だつたのはそのおかげなのよ？」

「あ、それは本当にありがとうございます！　マジ感謝です！！」

ココットは心の底からルルティミシアに感謝した。

「呪いとリタ殿の力でようやくセクスを押えていたのだ。全く厄介な

　奴が厄介なエクストラスキル持ったものよ」

「セクスさんのあの力って、エクストラスキルだったんですか！？」

　この世界では誰しもが必ず持って生まれる力。それをスキルと呼ぶ。

例えば…剣技、盾術、魔法などの戦闘スキルや、農業、料理、錬金術

などの生産スキル。人々は持って生まれたスキルを活かして暮らして

いる。だが、極稀に突然変異を起こし、良くも悪くも異能と呼ぶに

相応しいスキルが生まれる事がある。それをエクストラスキルという。

「セクスのエクストラスキルは「リビドー」。自身の性欲の高ぶり

　によって強くなるという何ともバカげた力だ」　

「ええ…それはホントに…バカげた力ですね…はは」

国王と女王とココットは大きなため息をついた。

「おい、そんな事より本当なんだろうな。呪いを解くってのは」

「ええ、約束するわ。だから３人の魔族の王からこの世界を救ってちょうだい」

「次、俺を騙したらその時は…分かってるな？」

「う、うむ」

セクスの鋭い眼差しに王は喉を鳴らして頷いた。

「あとルルティミシア、呪いが解けたらヤらせろ」

「嫌よ。私、第三王子くんと仲良くなるのに忙しいの」

「あの、ルルティミシア殿…マルクはまだ10歳なのだが…」

「私、ショタ好きなの。ウフフ」

「チッ、まぁ呪いが解ければ後はどうとでもなる。いいぜ、やってやる」

「おおそうか！　やてくれるか！！　ならばまずはこれをお前に渡そう」

　王がパンパンと手を叩くと、控えていた者が小さなトレイを持って

セクスに近づいた。そのトレイには小さなカードが３枚乗っていた。

「それは冒険者ギルドに頼んで作った冒険者カードだ。冒険者になれば

　ヒュトレイアス国籍は無くなるが、国を跨ぐ時に面倒な手続きが不要

　になる。世界を回るお前には必要なものになるはずだ」

「ふ～ん、冒険者ねぇ…」

セクスは自分の冒険者カードを手に取ると、興味なさげに眺める。

「あとの２枚はリタ殿とココットの分だ」

「はい、ありがとうございます！！」

「わぁ～、私の分もあるんですねぇ…って私も！？」

　リタはカードを受け取ると、ニコニコと嬉しそうにセクスに見せる。

ココットは何かの間違いじゃないかと、わなわなと震えながらカードを見ていた。

「二人にはセクスのブレーキ役とお目付け役になってもらう。頼んだぞ」

「あの、私…この国の騎士なんですけど…」

「両親に家の伯爵への陞爵と新しい領地を与えると言ったら、お主の事は好きに

　していいと言っていたぞ」

「……陛下、今から親を殴ってきていいですか？」

「はぁ、私はリタの同行には反対なんだけど…全く、リタも何でこんなヤツの

　事を…」

「旅に必要な金と、今までこちらで手に入れた情報はまとめた物を用意した。

　後で確認してくれ。まずはこの国の北、自由都市「フリダムダ」に向かうのだ。

　そして冒険者ギルド本部長を頼るといいだろう。それでは3人とも、世界を

　頼んだぞ」

　そして王都に来た時と同じように兵士に囲まれ、護送馬車に揺られ、あれよあれよと国境の砦に連れて来られた。

「それでは、お気をつけて！！」

バターーーン！！　砦の兵が満面の笑みでセクスたちを送り出して門を閉じた。

「さぁ、冒険です！　行きましょう、セクス様！！」

「…これってさ、追い出されたよね？　体のいい国外追放だよね？　今頃王都じゃ

　お祭り騒ぎだよ。きっと今日を祝日に定めてたりしてるよ…」

「別にどうでもいい。しばらく帰るつもりは無いしな。それよりもだ！　俺は決め

　たぞ！　世界を回ってイイ女を全部手に入れてやる！！　そして呪いが解けた暁に

　は俺の考えた最強のハーレムで面白エロく暮らすのだ！！　わーはっはっは！！」

「…ねぇ、リタちゃん。この男、今の内に何とかした方が世界の為だと思うんだけ

　ど…」

「素晴らしいです！　さすがセクス様！！」

「こいつらマジか！？」

「よーし！！　お前ら付いてこい！！　わーはっはっは！！」

　こうしてセクス達はヒュトレイアス王国を出国。魔族からこの世界を守る為の旅が

始まった。目指すは自由都市「フリダムダ」だ。