第3話 クズは入学式へ①
学園都市アンダー。
そこには、未体験の技術を求めて多くの天才たちが集まってくる。
かくいう黒水もそのうちのひとり、というわけではなく――。
『五味黒水様。なんという幸運の持ち主なのでしょうか。黒水様は<特別枠>でこの世界に選ばれました。合格率0.1 %の狭き門です。黒水様のクラスは1年E組。クラスメイトは同様に<特別枠>で選ばれた方たちになります。同じ境遇の者として、きっと仲良くなれることでしょう』
学園都市アンダーの学校はどこもすべて当たり前のように受験が存在する。
しかも、日本の中でもトップクラスで難しく、偏差値は70を軽く超えている。
しかし、天才のみがこの世界に認められるというわけではない。
すべての学校の受験制度に<特別枠>というものが存在する。
受験方法はいたってシンプル。願書を出す、ただそれだけだ。
つまり、運だけで合否が決まるというわけだ。
なにしろテリスの試験運用において、頭の良い人だけではなく多様な人々を学園都市にきてもらうために国がこの制度を設けたらしい。
その手軽さから受験対象者の99%以上が<特別枠>に応募するため、圧倒的に狭き門となる。
学園都市アンダーの学校を卒業することは人生の安泰を意味する。
<特別枠>で合格した者だろうと、だ。
つまり、<特別枠>で合格した者は本当の幸運を意味するということになる。
五味黒水は、まさにそのひとりなのだ――。
「ぜえ、ぜえ……。な、なんか言ったか、テリス」
黒水本人はというと、<特別枠>の凄さには全く気づいておらず。
プラットフォームまで全力疾走したせいか、テリスの祝福の言葉は黒水の耳には届かなかった。
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