向日葵(ひまわり)、向夜葵(よまわり)

 この前、お母さんと一緒に星を見に行ったときのことだ。

 一際眩まぶしい星があったため、私は正体が知りたくなった。

 お母さん曰く、アレは太陽らしい。

 太陽って、夜は隠れているものだと思ったけれど、意外とそんなこともないのかな。

 座り込んで空を眺めていると、ひまわりが寄ってきた。私たちと同じく、星を見に来たそうだ。


「こんばんは。お嬢ちゃん」

「こんばんは」


 私は挨拶を返す。

 ひまわりと会話をするのは初めてだったけれど、彼は物静かなひまわりだった。

 見た目ほど、陽気な生き物ではないらしい。


「大抵のひまわりは、朝が好きなんだけどね――」

 彼は呟き、私の隣にペタンと座った。

「僕は、夜が好きなんだ。向夜葵よまわり、なんて呼ばれてる」

「星とか、綺麗だもんね」

「そうそう。月光で光合成するのも、なかなか良いもんだよ」

「……月光で光合成が出来るの?」

「その気になればね」

「ふぅん」


 そういうひまわりも、いるらしい。

 太陽にもひまわりにも、いろんなのがいるんだなぁ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る