変化

 ミサキさんに甘い支配を食らってから、ボクの体はおかしくなっていた。


「起立」


 ホームルームが終わり、放課後。

 ボクは前かがみになって、立ち上がる。


「礼」

「ありがとうございました」


 みんながボソボソとお礼を言う中、ボクはすぐに席へ腰を下ろす。

 明後日は終業式。

 もう夏休み間近だった。


 ミサキさんの家に通うようになってから、結構な日にちが経つ。

 気怠かったボクの体は、今やその逆。

 おかしいって分かってるのに、ずっと局部が疼いて仕方なかった。


 初めての快楽は、手足が震えるほどに強烈で、ミサキさんの匂いと味が頭から離れなかった。


「水野くん」

「な、なに?」


 みんながいなくなると、牛河さんが声を掛けてきた。


「今日も、一緒に帰ろうよ」


 牛河さんは、何やら怒っていた。

 日に照らされた顔は少しだけ赤らんでいて、目つきは鋭い。


「う、うん」


 手を握られるが、立ち上がれない。


「どうしたの?」

「やっぱり、先に行ってて」


 すると、手首をきつく握られた。


「ダメ。ほら。立って」

「う、うぅ」


 無理やり立たされると、ボクは前かがみになってしまう。

 局部が痛いくらいに熱を持っていて、上手く立てないのだ。


 気のせいか、牛河さんは笑っている気がした。


「水野くん。最近冷たいからさ」

「そんなこと、ないと思うけど」

「……お仕置き、しないと」

「え?」


 いつの間にか、手首を握っていた牛河さんの手が、ボクの手の平を包み込んでいた。指を絡ませ、逃げないように、と言わんばかりに食い込んでくる。


 ボクはされるがままに、牛河さんの後ろについていった。

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